今日は、わたしから何でも奪ってきた妹が奪われてしまう日

柚木ゆず

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第12話 会話~3人が意識を失った直後の出来事~ 俯瞰視点

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「キアラたちも気絶したみたいね。どうする? わたし達も叩いておく?」
「やめておきましょ。あんな顔、汚くて触れないもの」

 叩き合いと失神によって、唾液と泡塗れになった顔。床に転がるキアラ、ガリー、セレストを見回し、使用人のひとり――リーダー格のオードリーは肩を竦めました。

「でも、コイツらは責任を転嫁してきて言いたい放題言ってきたのよ? 何かしないと気が収まらなくない?」
「そうよ。先にニコたちを気絶させられてるんだし、みんなでやりましょうよ」
「オードリーも腹が立ってるでしょ? やりましょうよ!」
「そうね、わたしも腹が立ってるわ。……だからね、別の方法でもっと大きな仕返しをしてあげようと思うの」

 にやり。オードリーは皺が目立つようになった口元を吊り上げ、この場にいる全員に『とあること』を告げました。

「――以上が、わたし流の復讐計画。どうかしら? こっちの方が良いと思わない?」
「思うわっ。私は賛成」
「わたしも、乗るわ。だって汚物・・に触れなくていい上に、何倍もダメージを与えられるんだもの」

 オードリーが閃いた作戦を使えば、この場で叩くよりも遥かに大きな影響を与えらえる。加えてそうしておけば、ストレスの発散以外にも『特大のメリット』がある。
 そのため反対意見はひとつも出ず、満場一致で決定しました。

「じゃあわたしは手紙を書くから……。スヴァンさん、アレの確保をお願いします」
「承知した。任せておいてくれたまえ」
「ありがとうございます。その間にライザ達には、あっちをお願いするわ」
「任せて頂戴。ワタシはミカたちを連れて二階を担当するから、オードリー以外のメンバーは1階を頼んだわ」

 そうして使用人達はそれぞれ動き始め、その作業は一時間程度で完了となりました。

「オードリー、間違いないわ。どこにも抜かりないわよ」
「そうね。ならもう、ここに用はないわね」

 頷きを返したオードリーは身体の向きを180度変え、今なお気絶しているキアラ達3人を見下ろします。そしてその後全員で慇懃無礼に一礼を行い、使用人達はぞろぞろと部屋を出て行って――
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