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第9話 長女からの置き土産 キアラ視点

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「どうなってるの!? ここってアレクシアの部屋よね!?」

 急いで部屋を飛び出して、周囲を見回す。
 二階のこの位置にあるのは、アイツの部屋。室内だってこのお屋敷で一番質素になってるから、やっぱり間違いないっ。ここはアイツの部屋!

「なんで!? この時間はカタリナと一緒にいるはずでしょ!? どうしていないの!?」
「か、隠れているのか!? 我々の怒りを予想して身を潜めているのか!?」
「この部屋で隠れられる場所は…………クローゼットだわ! 貴方たち調べなさい!!」

 駆け付けて来た使用人2人ニコとアンナに命じて、探させてみたら…………駄目。そこには誰もいなかった。

「……室内にいないだと……。そんなバカな……!」
「ここから出られないようにしているのに……。消えた……? 嘘でしょう……!?」
「窓も内側からカギがかかってるし、そもそも二階の窓から外へは降りられないし……。なにが起きたの……!? どうやって――まさか!! アンタ達が手助けしたんじゃないんでしょうね!?」

 私達を裏切って、脱出させた。この原因はアンタ達――もしくはアンタ達の誰かなの!?

「めっ、滅相もございません!! わたくし共は命に背きは致しませんっ!」
「わたくし共の心は、貴方様方と共にあります故っ。反故には致しませんっ」

 …………よく考えてみたら、コイツらはずっと私達に従順だった。それにアレクシアを味方をしても何のメリットもないんだし、裏切りはありえない。

「じゃあ、なんなの……!? ねえニコっ、アンナ! ちゃんと監視してたのよね!? 間違いなくアレクシアはここから出ていないのよね!?」
「ぁっ、えっと。ぁっ、はっ、はい! 常に監視の目を光らせておりましたっ」
「お手洗いすら行っておりませんっ。旦那様や奥様キアラ様が外出されている間はっ、一度たりとも廊下に出てはおりませんっ!」
「……? アンタたち、なにをそんなに焦ってるの?」
「もっ、申し訳ございませんっ。大変申し上げにくいのですが……。お嬢様の剣幕に、おもわず気圧されておりました……」

 そんな風には見えなかったけど、まあいいわ。今日に限って監視が疎かになるとは思えないし、とにかく部屋から出てはいないのね。

「…………だったら、どんな風にいなくなったの……? 窓もドアも使わずに、どうやってここから出て――あれ? あそこになにかあるっ!」

 動揺していて全然気が付かなかった。デスクに上には…………真っ白な封筒が置かれていて…………あっっ!! 『お父様お母様キアラへ』ってある!!

「これっ、アレクシアからの手紙だわ!!」

 この中に、答えがある。そう思った私は封筒を開け、中に入っている便箋を開いた。
 そうしたら、そこには――

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