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第5話 衝撃の事実×2 俯瞰視点(3)
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「カシアス様、ジェス様。これからわたくし達は現在結ばれている婚約を白紙とし、名誉棄損などを理由に貴方様がたを訴えることになります」
今手にしているのは裁判に関する書類で、これらを弁護士経由で裁判所に持って行く。アマリアは今後ミーヴェル家が行う行動を、はっきりと伝えました。
「うっ、訴える!? たっ、たったこれだけのことで!?」
「まだそんなに広がっていないのだぞ!? なぜそこまでの大事になるのだ!?」
捏造とはいえ友人にオフレコで伝え、友人が約束を破って広めてしまったもの。それも大したものではない。だからせっかくの繋がりは消滅してしまうものの、各所で謝罪を行い各種慰謝料を支払えば済む。
カシアスとジェスは、そのように考えていたのです。
「婚約の件はともかくっ、裁判は大げさだ!! やりすぎだ!!」
「カシアスとわたしが撤回して回れば収まる話ではないか!! あまりにも大げさだ!!」
「いいえ、大げさではありませんよ。今回広まった悪評の対象は、わたくし――ミーヴェル家の長女であり次期会頭なのですからね。家と商会のためにも、正式な形で捏造だと証明しなければならないのですよ」
もし単にカシアスとジェスに謝罪をさせた場合、アマリア達が圧力をかけて従わせている――あの噂は本当だった、などと邪推されてしまう危険性がありました。そういった事態を防ぐには、完全なる中立機関を間に挟む必要があったのです。
「こちらは仮に正直に回答がなされていても、性質上変わらなかった未来。絶対に回避できない、仕方のないものなのですよ」
「そっ、そんなっ! 待ってくれ! どうにか別の形で収めてくれ!!」
「圧力を受けていないと分かるように、何かしらの工夫を考える!! だから我々が撤回をして回るという形で手打ちにして欲しい!!」
裁判沙汰になってしまうといかなる理由があれ、『悪い』と判断された側の貴族は『格』を落とされてしまう。この罪ならば伯爵の剥奪はないものの序列は一気に下がり様々な面に支障が出てしまうため、二人は両ひざをついて懇願を始めたのでした。
今手にしているのは裁判に関する書類で、これらを弁護士経由で裁判所に持って行く。アマリアは今後ミーヴェル家が行う行動を、はっきりと伝えました。
「うっ、訴える!? たっ、たったこれだけのことで!?」
「まだそんなに広がっていないのだぞ!? なぜそこまでの大事になるのだ!?」
捏造とはいえ友人にオフレコで伝え、友人が約束を破って広めてしまったもの。それも大したものではない。だからせっかくの繋がりは消滅してしまうものの、各所で謝罪を行い各種慰謝料を支払えば済む。
カシアスとジェスは、そのように考えていたのです。
「婚約の件はともかくっ、裁判は大げさだ!! やりすぎだ!!」
「カシアスとわたしが撤回して回れば収まる話ではないか!! あまりにも大げさだ!!」
「いいえ、大げさではありませんよ。今回広まった悪評の対象は、わたくし――ミーヴェル家の長女であり次期会頭なのですからね。家と商会のためにも、正式な形で捏造だと証明しなければならないのですよ」
もし単にカシアスとジェスに謝罪をさせた場合、アマリア達が圧力をかけて従わせている――あの噂は本当だった、などと邪推されてしまう危険性がありました。そういった事態を防ぐには、完全なる中立機関を間に挟む必要があったのです。
「こちらは仮に正直に回答がなされていても、性質上変わらなかった未来。絶対に回避できない、仕方のないものなのですよ」
「そっ、そんなっ! 待ってくれ! どうにか別の形で収めてくれ!!」
「圧力を受けていないと分かるように、何かしらの工夫を考える!! だから我々が撤回をして回るという形で手打ちにして欲しい!!」
裁判沙汰になってしまうといかなる理由があれ、『悪い』と判断された側の貴族は『格』を落とされてしまう。この罪ならば伯爵の剥奪はないものの序列は一気に下がり様々な面に支障が出てしまうため、二人は両ひざをついて懇願を始めたのでした。
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