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第1話 四日前の出来事 俯瞰視点
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((くそっ。くそ! くそっ!! どいつもこいつもふざけやがって……!!))
遡ること、およそ四日。カシアスはとある高級リストランテで食事をしており、個室内にて歯がみをしていました。
『カシアスはいいよなぁ。アマリア様と婚約できてるんだからな』
『お美しい上に頭脳明晰で、おまけに家は強大な商会持ち。最高じゃないか』
『羨ましいよな。あ~あ。お前になりたいよ』
その原因となっているのは、一緒に食事を摂っている3人の友人――昔馴染みである、伯爵令息のケビンとダニエルとテオドールの発言。一様にアマリアを褒めてカシアスを羨ましがる――まるで自分が所謂『逆玉』であるかのように言われるため、激しく苛立っていたのです。
((俺は由緒正しき伯爵家の令息様なんだぞ!? 羨ましがられるのはアマリアの方だ!! なのにいっつもこうなりやがって……! おかしいだろこんなの!!))
と心の中で叫び、自分の方が上なのだと伝えようとしますが――。アマリアは『クールビューティー』『静寂の満月』と称される美しい容姿と雰囲気を持っている上に抜群の頭脳を擁しており、更にはすでに次期商会頭への就任が決まっています。
あまりにも強力な紛れもない事実が多数存在しており、そこを指摘されたら反論できなくなるため、『自分が上』だと主張できずにいました。
((く……。だ、だが……!))
これまでもずっとこのように言われていて、我慢の限界に達していた。せめて近しい仲間内では、どうにかして序列を逆転させたいと考えるようになっていました。
――でも――。
容姿も頭脳も財力もアマリアが上で、家的な地位も実際は相手に頭が上がらない状態。なので逆転する可能性は皆無で、それを可能にするには『自分にプラスな要素』あるいは『相手にマイナスな要素』を加える必要がありました。
((……腹立たしいが、現在俺にプラスになるものはないし……。アマリアにマイナスな効果をもたらすものもない……))
だったら、諦めるしかない? いいや諦めない! 諦めてたまるか!!
カシアスは僅か5秒で自問自答を終え、黙考を開始。自身のプライドを守るために必死になって頭を働かせ――
「いや、実はそうでもないんだよ。……こいつはオフレコで頼む。アマリアは屋敷の中では別人で、最低な人間なんだよ」
屋敷内ではふんぞり返っていて使用人に偉そうにしている――。困ったらすぐ『次期会頭だから』と地位を出し、俺に対しても我が儘を通そうとする――。誰に対しても平等に接する人というのは大間違いで、下に厳しく上には媚びへつらう――。優秀なのは有能な付き人がいて、都度アドバイスをもらっているから――。
という風に大量の捏造を行い、アマリアの評価を下げようとし始めたのでした。
((……よし、いいぞ。いける! 流れが変わって来たぞ……!))
これまでカシアスは家の関係者以外に本心こと不満を漏らしたことは一度もなく、そうであるが故に友人は信じ始める。そのため更に追撃を行い、上機嫌でドンドンとアマリアの評判を下げていった、のですが――
遡ること、およそ四日。カシアスはとある高級リストランテで食事をしており、個室内にて歯がみをしていました。
『カシアスはいいよなぁ。アマリア様と婚約できてるんだからな』
『お美しい上に頭脳明晰で、おまけに家は強大な商会持ち。最高じゃないか』
『羨ましいよな。あ~あ。お前になりたいよ』
その原因となっているのは、一緒に食事を摂っている3人の友人――昔馴染みである、伯爵令息のケビンとダニエルとテオドールの発言。一様にアマリアを褒めてカシアスを羨ましがる――まるで自分が所謂『逆玉』であるかのように言われるため、激しく苛立っていたのです。
((俺は由緒正しき伯爵家の令息様なんだぞ!? 羨ましがられるのはアマリアの方だ!! なのにいっつもこうなりやがって……! おかしいだろこんなの!!))
と心の中で叫び、自分の方が上なのだと伝えようとしますが――。アマリアは『クールビューティー』『静寂の満月』と称される美しい容姿と雰囲気を持っている上に抜群の頭脳を擁しており、更にはすでに次期商会頭への就任が決まっています。
あまりにも強力な紛れもない事実が多数存在しており、そこを指摘されたら反論できなくなるため、『自分が上』だと主張できずにいました。
((く……。だ、だが……!))
これまでもずっとこのように言われていて、我慢の限界に達していた。せめて近しい仲間内では、どうにかして序列を逆転させたいと考えるようになっていました。
――でも――。
容姿も頭脳も財力もアマリアが上で、家的な地位も実際は相手に頭が上がらない状態。なので逆転する可能性は皆無で、それを可能にするには『自分にプラスな要素』あるいは『相手にマイナスな要素』を加える必要がありました。
((……腹立たしいが、現在俺にプラスになるものはないし……。アマリアにマイナスな効果をもたらすものもない……))
だったら、諦めるしかない? いいや諦めない! 諦めてたまるか!!
カシアスは僅か5秒で自問自答を終え、黙考を開始。自身のプライドを守るために必死になって頭を働かせ――
「いや、実はそうでもないんだよ。……こいつはオフレコで頼む。アマリアは屋敷の中では別人で、最低な人間なんだよ」
屋敷内ではふんぞり返っていて使用人に偉そうにしている――。困ったらすぐ『次期会頭だから』と地位を出し、俺に対しても我が儘を通そうとする――。誰に対しても平等に接する人というのは大間違いで、下に厳しく上には媚びへつらう――。優秀なのは有能な付き人がいて、都度アドバイスをもらっているから――。
という風に大量の捏造を行い、アマリアの評価を下げようとし始めたのでした。
((……よし、いいぞ。いける! 流れが変わって来たぞ……!))
これまでカシアスは家の関係者以外に本心こと不満を漏らしたことは一度もなく、そうであるが故に友人は信じ始める。そのため更に追撃を行い、上機嫌でドンドンとアマリアの評判を下げていった、のですが――
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