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第28話 パーティー会場で シャーリィ視点(3)

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「実を言いますと、わたくし自身も皆様と同じでした。『見て見ぬフリをするのは寝覚めが悪い』、そんな理由でシャーリィを招き入れておりまして。当初は我が家(いえ)へのダメージを酷く懸念しておりました」

 固まってしまっているとお兄様は、僅かの間こちらを見たあと、首を左右に2回振りました。
 こちらは、私には分かります。一見すると自虐を含んだ動作に見えますが、『本心じゃないよ』『違うよ』と言ってくれているものです。

「ですがこの出来事を経験し、そんなわたくしの認識は大きく変化致しました。……よくよく考えてみると、おかしな話だったのですよ。フェルティール卿夫妻が口にしていた、彼女の性質は」
「「「「「………………」」」」」
「居る『家』の金運を最悪なものとしてしまう。叔父夫妻の屋敷を訪れた途端にそうなり、そこに気付いたというのは有名な話ですが――。彼女はかつて頻繁に我が屋敷を訪れており、最長3日間滞在したこともあるのですよ。……矛盾、していますよね?」

「確かに……」
「3日も滞在していたら、悪影響は出ているはずですわ……」

「つまりそちらは、酷い間違い。言いがかり。フェルティール卿夫妻や叔父夫妻は偶々その期間金運の向きが悪くなり、それをシャーリィのせいにしていただけなのですよ。むしろ彼女はプラスを与えてくれる存在で、お金に関するダメージをその程度に抑えてくれていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のでしょうね」

 フェルティール卿夫妻は、多くの事業を成功させてきた敏腕実業家です。鑑みると、プライドが認めたくなかったのでしょう――。
 お兄様は知り合い目線での解釈を口にされ、今一度、会場をゆっくりと見渡されました。

「ですのでわたくしは金銭的な不幸を招く『貧乏神』などとは全く思っておらず、今は『幸福の女神』と確信しております」
「「「「「こうふくの……。めがみ……」」」」」
「……先ほど申し上げましたように、わたくしもまた内心シャーリィを忌み嫌っていました……。そんなありもしない言い分を信じてしまっていたことへのお詫びとして、真実の説明、事実の修正を行うと決めまして。本日はこうしてお時間をいただき、彼女の説明をさせていただきました」

 よろしければ、皆様にもご協力いただきたく思います――。真実の浸透に、御力をお貸しくださいませ――。
 お兄様はそう続けられたあと深く頭を下げられ、そうしたら――

「ええっ、ご協力致しましょう!」
「ノランさんの頼みですもの。協力いたしますわ」
「わたしは、その手の理不尽は許せないタチでしてな。喜んで手を貸しましょう」

 ――参加者様は一様に協力の声を上げられ、皆様の中での私の認識ががらりと変わってしまったのでした……!


 そして――
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