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第10話 翌日~いつもとは違う、朝の目覚めとその後~ シャーリィ視点(2)
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「今日このあと、何をしたい?」
お兄様から、私へのご質問。そちらは、思いもよらないものでした。
「最後に会った時、俺は『再会したら10年分をまとめて』って言ってただろ? もちろん、覚えてくれてるよな?」
「はいっ。覚えていますっ。お兄様のお言葉は、一言一句忘れておりませんっ」
「ははっ、サンキュな。だから今日からそれをするつもりで、そうできるようにシャリィがやりたいと思っていることを教えて欲しいんだよ」
お兄様の目が柔らかく細まり、ぽんっと私の頭に右手が載りました。
「やっぱりシャリィがしたいことをやるのが一番で、今の俺はシャリィに喜んでもらうことが何よりの幸せなんだよ。だから遠慮なく、ありのままの気持ちを教えて欲しい」
「……お兄様、ありがとうございます。……はいっ。お伝えさせていただきます」
お兄様は心からのお返事を、望んでくださっています。ですので私は姿勢を正して頷きを返し、ずっと行いたかったものをお伝えすることにしました。
「ノランお兄様。私はノランお兄様と一緒に、『レフォレスの花畑』に行きたいです」
そちらはこの国の北部にある、色々なお花で賑わう広い広いお花畑。その近くには湖がある――おじ様とお父様が共通の趣味である釣りを行う場所があって、その関係で私達はよくそちらを訪れ遊んでいたのです。
「沢山のお花の中を一緒に歩いたり、チョウチョを追いかけたり、ランチを一緒に食べたり。あの時間は――あの時間もとても楽しくて、ずっとまた行きたいなと思っていました」
「俺も、ソレはいつかまたやりたいことの一つだったよ。……分かった、決まりだな。今日の目的地は、『レフォレスの花畑』だな」
「はいっ。よろしくお願い致します、お兄様っ」
こうして本日向かう場所が決まり、まずはお腹を満たすためお兄様に導かれて食堂へと向かいます。そしてそちらで、
「おおシャーリィくん、おはよう。なにやら良いことがあったようだね?」
「はいおじ様。まだ目覚めて1時間も経っていませんが、すでに2つも幸せをいただきました」
マルタンおじ様に朝のご挨拶を行ったあと、焼き立てのパンやできたてのオムレツ、シャキシャキのサラダや熱々のスープ――これまでとはまったく違う豪華な朝食をいただいて、ですが『いつもとは違う』は終わりではありませんでした。
「お嬢様っ。10年ぶりの記念すべき行動なのですから、しっかりとおめかしを致しましょうっ!」
昨日から侍女を務めてくださっているリラさんの手によって、私は『改造』を施されました。
貧乏神と呼ばれてから一度も使用を許されなかった、チークやマスカラやリップ。そちらによってお化粧が施され、仕上げは昨日お兄様に買っていただいたお洋服。春らしいホワイトカラーのワンピースを身につけると、姿見にはキラキラした私が映っていました。
「すごい……。別人に、変身しました……」
「わたくしは、少々『磨いた』だけでございます。その輝きは、お嬢様が本来お持ちのものでございますよ」
美しくしていただけた上に、そんな風に仰っていただけて。しかもそのあとには、
「綺麗でかわいい。よく似合ってるよ、シャリィ」
お兄様から、お褒めの言葉をいただいて。
私は初めての体験にドキドキしながら、頬を染めながら馬車に乗り込み、懐かしい場所を目指したのでした。
お兄様から、私へのご質問。そちらは、思いもよらないものでした。
「最後に会った時、俺は『再会したら10年分をまとめて』って言ってただろ? もちろん、覚えてくれてるよな?」
「はいっ。覚えていますっ。お兄様のお言葉は、一言一句忘れておりませんっ」
「ははっ、サンキュな。だから今日からそれをするつもりで、そうできるようにシャリィがやりたいと思っていることを教えて欲しいんだよ」
お兄様の目が柔らかく細まり、ぽんっと私の頭に右手が載りました。
「やっぱりシャリィがしたいことをやるのが一番で、今の俺はシャリィに喜んでもらうことが何よりの幸せなんだよ。だから遠慮なく、ありのままの気持ちを教えて欲しい」
「……お兄様、ありがとうございます。……はいっ。お伝えさせていただきます」
お兄様は心からのお返事を、望んでくださっています。ですので私は姿勢を正して頷きを返し、ずっと行いたかったものをお伝えすることにしました。
「ノランお兄様。私はノランお兄様と一緒に、『レフォレスの花畑』に行きたいです」
そちらはこの国の北部にある、色々なお花で賑わう広い広いお花畑。その近くには湖がある――おじ様とお父様が共通の趣味である釣りを行う場所があって、その関係で私達はよくそちらを訪れ遊んでいたのです。
「沢山のお花の中を一緒に歩いたり、チョウチョを追いかけたり、ランチを一緒に食べたり。あの時間は――あの時間もとても楽しくて、ずっとまた行きたいなと思っていました」
「俺も、ソレはいつかまたやりたいことの一つだったよ。……分かった、決まりだな。今日の目的地は、『レフォレスの花畑』だな」
「はいっ。よろしくお願い致します、お兄様っ」
こうして本日向かう場所が決まり、まずはお腹を満たすためお兄様に導かれて食堂へと向かいます。そしてそちらで、
「おおシャーリィくん、おはよう。なにやら良いことがあったようだね?」
「はいおじ様。まだ目覚めて1時間も経っていませんが、すでに2つも幸せをいただきました」
マルタンおじ様に朝のご挨拶を行ったあと、焼き立てのパンやできたてのオムレツ、シャキシャキのサラダや熱々のスープ――これまでとはまったく違う豪華な朝食をいただいて、ですが『いつもとは違う』は終わりではありませんでした。
「お嬢様っ。10年ぶりの記念すべき行動なのですから、しっかりとおめかしを致しましょうっ!」
昨日から侍女を務めてくださっているリラさんの手によって、私は『改造』を施されました。
貧乏神と呼ばれてから一度も使用を許されなかった、チークやマスカラやリップ。そちらによってお化粧が施され、仕上げは昨日お兄様に買っていただいたお洋服。春らしいホワイトカラーのワンピースを身につけると、姿見にはキラキラした私が映っていました。
「すごい……。別人に、変身しました……」
「わたくしは、少々『磨いた』だけでございます。その輝きは、お嬢様が本来お持ちのものでございますよ」
美しくしていただけた上に、そんな風に仰っていただけて。しかもそのあとには、
「綺麗でかわいい。よく似合ってるよ、シャリィ」
お兄様から、お褒めの言葉をいただいて。
私は初めての体験にドキドキしながら、頬を染めながら馬車に乗り込み、懐かしい場所を目指したのでした。
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