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第7話 喜びのあとの、異変 ノラン視点(1)

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「? ノラン。シャーリィくんとは、もう話をしなくていいのか?」
「二人とも話し足りていないけど、シャリィが喋りながら眠っちゃってね。続きは明日にするよ」

 シャリィの自室から出て、すぐのことだった。廊下にいた父さんに声をかけられて、俺は扉を一瞥しながら微苦笑を浮かべた。
 食事や湯浴みを済ませた後、俺達はお喋りを始めた――のだけど、1時間ほどが経過した辺りでコテンともたれかかってきたのだ。今日は色々あったし不安が消えたこともあって、色んな疲れがどっと押し寄せたんだろう。

「そうか。残念なことだが、良いことでもあるな」
「ソレは、意識が変わった証だからね。本当によかったよ」

 あの子は何ひとつ悪いことをしていないのに、存在を忌避されて。心ない言葉と行動に傷つけられて。
 そんな人生が、幸せなものであるはずがないからな。
 穏やかな寝顔を見られて――浮かべられるようになって、心からよかったと思う。

「……このような毎日を、シャーリィくんがいつまで続けられるように……。今後も引き続き、罪を償わせてもらうよ」
「父さん。これまではそうだったかもしれないが、今はそうするべきじゃないと思うよ?」
「…………そうだったな。罪滅ぼしではない。シャーリィくんの笑顔のために、動くとするよ」

『マルタンおじ様、そちらは当然の判断です。おかしな選択ではありません』
『それにそうしていただくことは、私の願いでした。その証拠に私はこれまで一度たりとも、おじ様に暗い感情を抱いたことはありません。ですのでどうか、お顔をお上げください』

 あの子は本心でああ言っていて、償いなんて望んでいない。だったらそっちの気持ちを抱いて、行動するべきだよな。

「わたしは明日、公務のあと今日の続きを行う。そちらは、時間は大丈夫か?」
「当面の指示を出していて、当分ゆっくりと過ごせるようにしてある。問題はないよ」

 各部署には期待に応えてくれる、信頼できる人材がいる。だから――

「坊ちゃまっ! 旦那様っ! ご報告申し上げます!!」

 ――だから時間はたっぷり確保できる。そう思っていたら、家令エンゾが血相を変えて飛んできたのだった。
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