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第10話 異変と異変 俯瞰視点(2)
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「もしかして……。またお姉様にロメット茸を探させたら、治る……?」
マロルトが、ジスランのもとを去った時。ロムレード邸内では、ララ、エクサ、マナンの3人が、相談を行っていました。
「あの時、ジスラン様は奇跡的に治りました。同じことをすれば、また同じことが起きるのではないでしょうか……?」
「それも、そうね」
「その可能性は、充分にあるな……!」
ジスランを治して、愛を育みたい。
ジスランを治して、より恩を売りたい。
そんな思いで3人は連日対策を練っていて、ルイゾンとネリーは大きく頷きました。
「急いでお姉様を送りましょう!」
「すぐには無理よ。あの子は今、お茶会に出ているもの」
「そうだったな……。まあ、そのくらいのロスは仕方ないさ。戻ったら即行かせられるように、準備をしておこう」
「難色を示すかもしれません! 脅せるように、おばあ様の形見を盗っておきましょう!」
「名案ね!」「名案だ!」
エルミーヌの都合も体力も思いも、一切考慮しない。3人は相変わらず好き勝手に振る舞い――
((相変わらず愚かだねえ))
――そんな姿を見て、マロルトは肩を竦めていました。
((ルイゾン、ネリー、ララ。お前達のコトは、調べてよ~く知ってるよ。色々なことをしたあげく、等しくエルミ―ヌ君を殺そうとしていたね?))
『せっかく理想的な人に出逢えたのに、『なし』になるのは嫌。だからあれこれ方法を模索して…………仕方なく、本当に仕方なく。お姉様に死んでもらう計画を立ててみたけど、独りで出来ることは限られていて……。結局、打つ手なんてなにもなくって……」
『……仕方ないな。エルミーヌには死んでもらうとするか』
『そうね、あなた。それが一番いいと思うわ』
ララも、ルイゾンも、ネリーも。自分達の都合で、殺そうとしていました。
((そんなお前達には、愚か者に相応しい未来をプレゼントしようじゃないか。遠慮なく受け取ってね))
不可視の姿で、3人の頭に順に右手を添える。そうすることでマロルトはララたちに、『200年間健康で生き続けられる』という力を与えました。
『ああごめんごめん。ボクはルベルッズの神だから、この国の人間に直接力を使うと色々と厄介なコトが起きちゃうんだよね』
あの時エルミーヌに告げていた、『厄介なコト』が起きる条件を満たしてしまいました。
((さあ、間もなく始まるよ。たっぷりと楽しんでね、愚か者ども))
マロルトが、ジスランのもとを去った時。ロムレード邸内では、ララ、エクサ、マナンの3人が、相談を行っていました。
「あの時、ジスラン様は奇跡的に治りました。同じことをすれば、また同じことが起きるのではないでしょうか……?」
「それも、そうね」
「その可能性は、充分にあるな……!」
ジスランを治して、愛を育みたい。
ジスランを治して、より恩を売りたい。
そんな思いで3人は連日対策を練っていて、ルイゾンとネリーは大きく頷きました。
「急いでお姉様を送りましょう!」
「すぐには無理よ。あの子は今、お茶会に出ているもの」
「そうだったな……。まあ、そのくらいのロスは仕方ないさ。戻ったら即行かせられるように、準備をしておこう」
「難色を示すかもしれません! 脅せるように、おばあ様の形見を盗っておきましょう!」
「名案ね!」「名案だ!」
エルミーヌの都合も体力も思いも、一切考慮しない。3人は相変わらず好き勝手に振る舞い――
((相変わらず愚かだねえ))
――そんな姿を見て、マロルトは肩を竦めていました。
((ルイゾン、ネリー、ララ。お前達のコトは、調べてよ~く知ってるよ。色々なことをしたあげく、等しくエルミ―ヌ君を殺そうとしていたね?))
『せっかく理想的な人に出逢えたのに、『なし』になるのは嫌。だからあれこれ方法を模索して…………仕方なく、本当に仕方なく。お姉様に死んでもらう計画を立ててみたけど、独りで出来ることは限られていて……。結局、打つ手なんてなにもなくって……」
『……仕方ないな。エルミーヌには死んでもらうとするか』
『そうね、あなた。それが一番いいと思うわ』
ララも、ルイゾンも、ネリーも。自分達の都合で、殺そうとしていました。
((そんなお前達には、愚か者に相応しい未来をプレゼントしようじゃないか。遠慮なく受け取ってね))
不可視の姿で、3人の頭に順に右手を添える。そうすることでマロルトはララたちに、『200年間健康で生き続けられる』という力を与えました。
『ああごめんごめん。ボクはルベルッズの神だから、この国の人間に直接力を使うと色々と厄介なコトが起きちゃうんだよね』
あの時エルミーヌに告げていた、『厄介なコト』が起きる条件を満たしてしまいました。
((さあ、間もなく始まるよ。たっぷりと楽しんでね、愚か者ども))
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