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第12話 なんだこれは⁉ アンベール視点(3)

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「「「「「…………………………」」」」」

 エヴァとディオンの視線を追ってみると、そこにあったのは大量の白眼視。『罪人め!』と俺を蔑む、平民の姿が大量にあった。

「…………アンベール様。貴方様は私に、何かあっても『治安局に仲間が居てもみ消せる』、と仰りましたよね?」
「けれどそれは、不可能なんだよ。……実を言うと隠し撮りしていたものが映し出されているのは、ここだけじゃない。エヴァが人集めをしてくれた国内の二十一か所で、こうなっているんだよ」
「っっ!! だからあっという間に噂が変わったのか!!」

 おかしいと思っていたんだ!! あんな異常なスピードだったのは、そういうことか……!!

「その通り、正解だよ。でも僕達の目的は、それだけじゃない。僕達の真の目的は、目撃者を大量に作ることなのさ」
「いくら治安機関に強力な味方がいても、これだけの認知度となってしまえばもみ消しようがありません。私達に対してあらゆる対抗手段を取ったとしても、こちらをなかったことにはできません」
「ちょっとやそっとでは罪に問えない敵を、罪に問うために。僕達は6日前から水面下で動いて、仕込みを行っていたのさ」

 この装置の稼働にはエネルギーが必要で、動力源となる『雲母』をかき集めたり……。お菓子の無料配布などを行うと伝えて、人手を増やしていたり……。
 コイツらは俺が知らないところで、そんな風に動いてやがった…………。

「こんなにも多くの人間が『アンベール・ザネトリア=殺害を宣告した犯罪者』と認識しているのに、治安局は動かない。そんなことがあれば暴動が起き、やがては陛下も腰を上げられるだろうね」
「そちらは、内通者がコントロールできる範疇を超えています。ですのでその方、或いはその方々が抑え込めず、こうなります」


「「「「「アンベール・ザネトリア様。貴方様を拘束させていただきます」」」」」


 白の制服を纏った、9人の男女……。治安局の人間が、現れた……!!

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