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補完編その1 結婚の報告と、報告の思い出(3)

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「あの時は、まんまとやられちゃったよな。今度こそリベンジだ」

 またまた、シンクロが発生。思い出し終えるとアルフレッドも終わったみたいで、ダイニングへの扉を一瞥した。
 そうだね。今回は、こっちがビックリさせる番だ。

「まずは2人で作ったお料理を食べてもらって、それが済んだらスタート。アルフレッド君。食事中も、悟られないよう表情は現状維持でお願いしますよ?」
「お任せください。リルさんこそ、現状維持でお願いしますよ?」

 あたし達はいつもの調子で拳と拳をコツンと合わせ、揃ってキッチンに戻ってディナーの準備を行う。そして特製の料理達をワゴンに乗せてダイニングへと運び込み、


「「お待たせしましたっ。リルとアルフレッドによる、ディナーの始まりですっ!」」


 これはカムフラージュだけど、気持ちは本物。あたしが(アルフレッドの力を借りつつ)丹精込めて作った『エビのビスク』、アルフレッドが作った『ヴィネグレットソースでいただく、レタスやトマトやパプリカのサラダ』、そして2人で作った『パテ・アン・クルート』――鴨肉などで作ったパテをパイ生地で包んで焼いたものなどを、全員が座れるよう増設したテーブルに並べてゆく。

「旨(うま)っ! このビスク、濃厚で美味しいっ!」
「ザック、それはお前の姉ちゃんが殆ど作ったんだぜ? 俺はアドバイスをしただけで、作ったのはリルなんだよ」

「!! リー様がビスクを調理されている姿が、目に浮かびます……!! 『みんなに喜んでもらえると、嬉しいな』。リー様らしい独り言だわ……!!」
「「っっっっっ!? この人ホントに目に浮かんでる!? どうなってるの!?」」

「「アルフレッドくん、リル。二人らしい味になっているよ(なっているわ)」

「エミル。アルフレッドとリル君、2人が一緒に作った料理だよ。どうだい? 美味しいだろう?」

「「「「「っっっ。美味しゅうございます……っっ」」」」」

 使用人さん達が、首が取れそうなくらい頷いてくれたり。お父様とお母様が、感嘆の息を吐いてくれたり。ザックが絶賛して、さり気なくアルフレッドが持ち上げてくれたり。レナちゃんがレナちゃんだったり。
 みんな心からあたし達のプレゼントを楽しんでくれて、今夜のイベントその1が終わった。……いよいよ、今日のメインが始まります。

((アルフレッド))
((リル))

 あたし達はアイコンタクトを交わし、みんながしっかりと見える位置で2人並ぶ。
 お父様達は締めの挨拶をすると思っているみたいだけど、大違いなのです。これから始まるのは、そういうものではないのだっ。

「「皆さん。あたし達(俺達)から、大切な話があります」」
「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」

 全員に疑問符が点灯している中、2人で同じ台詞を紡いでいって――

「「あたし達(俺達)は準備が整い次第、結婚することに決めました!」」

 ――全員の顔、瞳を見渡しながら、大きな声でお伝えする。
 そうしたらっ。

「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」

 今度のサプライスは、大成功。お父様もお母様もザックもおじ様も、きっとおば様も、レナちゃんも、使用人さん達も。
 目を大きく見開いて、一斉にイスから立ち上がったのでした!

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