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第27話(2)

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「「王宮を出る際、大公閣下が挙式に関するお話をされていたそうですね? お二人はハズマ様が仰られていた、あのご提案をお受けになるのですか?」」

 お二人は自分のことのように、幸せそうに目を細めてくれた。
 今回のことは明日中には全国に知れ渡り、捏造されたあたしの悪事も消える。そのためいつでも結婚ができるようになって、大公閣下が『せめてものお詫びとして、会場の用意をさせて欲しい』と仰ってくださってるんだよね。

「それなんですけど、実は……。あたし達はあのあと、お断りしたんです」
「俺らには、前々から式を挙げたい場所がありまして。そこしか、考えられないんですよ」

 アオプ湖で告白をされたあの日、帰りに二人で寄った場所。丘の上にある小さな教会、そこがあたし達が決めたところ。
 その日は偶然、式が開かれていて……。そこにいる新郎新婦がキラキラしてて……。


 自分もああなりたい!


 そう感じて、その瞬間からソコが憧れの場所。
 人数的にも近しい関係者しか参加できなくて、本来は貴族用ではないんだけど――。どうしても、そこで夫婦になりたいんだよね。

「まあ、そうだったのですか。お二人とは、こんなところまでそっくりなのですね」
「「えっ? ということは、お二人も……?」」
「「はい、そうなんです。わたし達(僕達)にも思い出の場所がありまして、近々そちらで式を挙げるのですよ」

 アオプ湖で告白した帰りに寄った、自国にある教会。そこでお二人は新郎新婦を目にして、強い憧れを持ったそう。

「時期は、来月を予定しております。後日招待状を送らせていただきますので、よろしければお越しください」
「離れ離れになって抑圧されていた影響で、我慢できなくなって予定を早めたのですよ。お二人ももうじき、その衝動がやって来ると思いますよ?」
「全ての問題が片付き、心配事もなくなったことですし。きっと、居てもたってもいられなくなりますよ」

 そんなお二人の予想は、なんと――。おおはずれ、ではなくて、的中。
 完全に落ち着いて過ごせるようになると時間に比例してそういう気持ちが大きくなっていって、その日から3日後に準備がスタート。
 教会の予約やドレスのオーダーをしていると『そんな気持ち』がもっと大きくなって、お二人の挙式に参加するともっともっと大きくなって。


 ついに、その時が来た。


 事件解決から約1か月半後の、6月24日。
 あたし達の式が、始まったのです。

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