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第19話

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「リル様、アルフレッド様。いってらっしゃいませ」
「お気をつけて。僕らは使用人の方々と共に、ご馳走の準備をして待っております」

 次の日の、午後5時20分過ぎ。我が家の敷地内。あたしはお父様達と共にウチの馬車に、アルフレッドはおじ様とレナちゃんと使用人さん4人と共にロザス家の馬車に乗り、お二人によるお見送りをしてもらっていた。
 ナナユ・・・様達は最後まで一緒に戦いたいと仰ってくれて、ナナユ様はウチで、ハイオラ様はアルフレッドの家で一泊。その際に色々とお話をして、すっかりお友達になっているのです。

「ありがとうございますっ。ナナユ様、ハイオラ様、いってきます……っ」
「御協力、感謝します。アイズ様、ジャンス様。いってきます」

 あたし達は揃って手を振り返し、それを合図にゆっくりと馬車が動き出す。

「…………母さん。威嚇のために、順に銃をぶっ放すんだったよね?」
「ええ、そうなっているわ。ザック、あなた。ようやく、その時が来たわよ」
「…………今夜のオレ達は、狙撃手スナイパーだ。挨拶代わりに、磨きに磨いた腕を見せてやろうじゃないか」

 殺し屋のように無表情で、慣れた手つきで弾を装填する3人。
 ここだけを見るとギョッとなっちゃうけど、経緯を知っているから感謝しかない。

 お父様。お母様。ザック。ありがとうね。

 改めて家族に感謝しながら、あたしは北を――王宮がある方角を、見つめたのでした。


   〇〇


((きた。ついにきたぞ……!))

 朝起きた時から様々なサプライズを行って、夕方に300日記念のサプライズは全て終了となった。というのも、サプライズの一つ。
 食事を終えたると部下に目配せを行い、やがて特大の箱が載ったワゴンが運ばれてきた。

「「エメリック……? これは、なんなのだ(なんなの)……?」」
「殿下……? こちらは一体……?」

 サーフィナは、目をパチパチとさせている。
 あぁ。そんな様子も愛おしい。そのシーンを、永遠に残しておきたいよ――おっと、いけない。見入っている場合じゃなかった。

「さあ、なんだろうね? サーフィナ、開けてみてくれるかな?」
「えっ。わたくしが、ですか?」
「当たり前だけど、ビックリ箱など害があるものじゃない。安心してくれ」
「わ、分かりました。開けてみますわ」

 彼女は可愛しく戸惑いながら、ゆっくりと両手を伸ばしていって……。『祝300日 これからもずっと一緒にいようね』と記されたプレートのある、特製特大ケーキが――

「「「「「陛下っ! 緊急事態発生でございます!!」」」」」

 ――ケーキがお披露目となる直前。衛兵が、血相を変えて飛び込んできたのだった。

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