婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第15話(4)

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「ようやく、狙いやすい位置に来てくれたぜ。リル、遅くなって悪かったな」

 ポカンとしてしまっていると、銃を持ったアルフレッドが走ってきてくれた。
 ううんっ。アルフレッドだけじゃない。

「計18人のゴミな皆様および、買収されたスタッフの皆様。動かないでくださいね? わたくし非常に虫の居所が悪く、逆らうと何をするか分かりませんので」

 そう言いながら男性を銃で殴りまくるレナちゃんと、十数人の男性達――治安局員さん達もなだれ込む様にやってきて、あっという間に全員が拘束されてしまった。
 な……。なんなの、これ……? なにがどうなってるの……?

「別れ際のあの態度が気になって、シルフィ・ガーネを監視してたんだよ。そうしたら怪しい動きを始めて、やがてリルと接触した」
「そのため坊ちゃまは『いつ何があっても対処できる』ように準備を整え、リー様達の様子を窺っていたのでございます。そしてそうしているとこの女が本性を表しましたため、こうして突入となりました」

 拘束されて、引き続き呻き声をあげるガーネさま――ガーネ。そんな彼女を、殺気に満ちた視線で一瞥した。
 そ、そうなんだ。ずっと、見てくれてたんだね。

「できればすぐに阻止したかったんだけどよ、こういう場面・・・・・・を治安局員に見せないと現行犯逮捕はできない。だから攻撃を仕掛けるまで待つ必要があって、あの瞬間が確実に狙撃できるタイミングだったんだよ。怖い思いをさせて、ごめんな」
「ううん。約束してくれてたから、信じさせてもらってた。怖くはなかったよ。助けに来てくれてありがとう」

 アルフレッドの左手を両手で握りながら頭を下げて、そのあとレナちゃんにも頭を下げてお礼を伝える。
 治安局員の方にもお礼を言いたかったけど、連行などの作業をしていて忙しそう。なのでそれはあとにして、気になっていることを尋ねてみることにした。

「ねえ、アルフレッド。アルフレッドとおじ様は、会えないくらい忙しいはずだよね? どうして監視とかをできたの?」

 再会した日からずっと慌ただしくしてて、それは敵を油断させるための方便じゃない。3日後までは時間的な余裕なんてなかったはずなのに、なんでその日から監視できてるんだろ?

「それに、その銃。アルフレッドとレナちゃんが持ってるのって、高性能な最新式のものだよね? どうしてそんな高価なものを持ってるの?」

 ロザス家の財政事情はウチとおなじくらいで、こういう銃は買えないはず。アルフレッドは一丁、レナちゃんに至っては二丁も携帯しているのは、なぜ?

「あと、アルフレッドは当然のように銃を扱ってたよね? そういう訓練は一度もしてなかったのに、いつの間に身につけたの?」
「あー、そこは気になるよな。これから順番に説明して――いきたいところだけど、俺とレナモさんは治安局員に呼ばれてる。代わりにあの方が語ってくださるみたいだから、色々と伺ってくれ」

 足早に離れていった2人と入れ替わる形でやって来たのは、ガッシリとした体形の偉丈夫さん。
 こ、この方は……。国王陛下の実弟、メドス大公閣下。
 こんな身分の方がどうしてこんなところにいて、なんでアルフレッドと親しげにしてるの……!?

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