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第9話(2)
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「………………………………………………………」
あれから、一分が経過。アルフレッドは眉を寄せて、考え込んでいます。
うん、そうだね。そうなっちゃうよね。
あたしは、料理が苦手。
殆ど作った経験が、ないもんね。そもそもどんなメニューを作れるのか知らないから、推測すら難しいよね。
「ヒント1。この中にあるものは、焼き菓子です」
「焼き菓子か……。クッキー、マドレーヌ、クラフティ、スコーン、パウンドケーキ……。この辺りか……?」
「ヒント2。この中にあるものは、アオプ湖に関係があります。さあてなんでしょう?」
「は~、やっと分かった。答えは、カップケーキ。クリームチーズのカップケーキだ」
「大正解っ。バスケットの中身は、カップケーキでしたっ」
6月の伝説のもととなった人物、初代国王様と王妃様。お二人がここでデートをした際に食べたお菓子が、クリームチーズのカップケーキなのだ。
「手作りって言ってるから、焼き菓子って出るまで頭になかった。カップケーキなんて、いつの間に覚えたんだ?」
「料理本を何時間もじっくり読み込んで、つきっ切りで教えてもらったの。そのおかげで、あたしでも出来たんだよ」
今日のランチは記念すべきランチだから、自分も何かしたかった。
改めて、気合の力ってすごいと思ったよ。やる気になったらできちゃうもんだね。……まあ、何度も失敗しましたけども……。
「リル、ありがとな。滅茶苦茶幸せだよ」
「あたしも、そう言ってもらえて幸せ。それじゃ、食べよ」
アルフレッドの手に置いて、2人揃ってパクっと食べる。そうしたら、
「美味い! ふんわりで、しっとり。クリームチーズの風味が活きてて、ホントに美味しい!」
彼は破顔を作ってくれて、ビシッと親指が立った。
自分では改心の出来だったけど、アルフレッドはどう感じるか心配だった。だからずっと内心ドキドキで、ようやく安心できました。
「焼き加減も完璧だぞっ。もう一つもらってもいいか?」
「とうぜんっ。ドンドン、遠慮なく食べて食べてっ」
そっか――。喜んでもらえるのって、こんな気持ちなんだ――。
あたしも、もっと色んなものを作れるようになりたいな――。
アルフレッドと一緒に、お料理をしたいな――。
そんなことを考えたり、はにかんだりして、デザートの部門も終了。
「リル、美味しかった。俺のために、ありがとうな」
「どういたしまして。こちらこそ、あたしのためにありがとう」
まずは向かい合ってお辞儀をして、それからは時間が許す限りお喋りをすることになった。
の、だけど――。
お喋りを開始して、およそ20分後。あたし達は揃って、信じられないものを目撃してしまうのでした――。
あれから、一分が経過。アルフレッドは眉を寄せて、考え込んでいます。
うん、そうだね。そうなっちゃうよね。
あたしは、料理が苦手。
殆ど作った経験が、ないもんね。そもそもどんなメニューを作れるのか知らないから、推測すら難しいよね。
「ヒント1。この中にあるものは、焼き菓子です」
「焼き菓子か……。クッキー、マドレーヌ、クラフティ、スコーン、パウンドケーキ……。この辺りか……?」
「ヒント2。この中にあるものは、アオプ湖に関係があります。さあてなんでしょう?」
「は~、やっと分かった。答えは、カップケーキ。クリームチーズのカップケーキだ」
「大正解っ。バスケットの中身は、カップケーキでしたっ」
6月の伝説のもととなった人物、初代国王様と王妃様。お二人がここでデートをした際に食べたお菓子が、クリームチーズのカップケーキなのだ。
「手作りって言ってるから、焼き菓子って出るまで頭になかった。カップケーキなんて、いつの間に覚えたんだ?」
「料理本を何時間もじっくり読み込んで、つきっ切りで教えてもらったの。そのおかげで、あたしでも出来たんだよ」
今日のランチは記念すべきランチだから、自分も何かしたかった。
改めて、気合の力ってすごいと思ったよ。やる気になったらできちゃうもんだね。……まあ、何度も失敗しましたけども……。
「リル、ありがとな。滅茶苦茶幸せだよ」
「あたしも、そう言ってもらえて幸せ。それじゃ、食べよ」
アルフレッドの手に置いて、2人揃ってパクっと食べる。そうしたら、
「美味い! ふんわりで、しっとり。クリームチーズの風味が活きてて、ホントに美味しい!」
彼は破顔を作ってくれて、ビシッと親指が立った。
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「焼き加減も完璧だぞっ。もう一つもらってもいいか?」
「とうぜんっ。ドンドン、遠慮なく食べて食べてっ」
そっか――。喜んでもらえるのって、こんな気持ちなんだ――。
あたしも、もっと色んなものを作れるようになりたいな――。
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そんなことを考えたり、はにかんだりして、デザートの部門も終了。
「リル、美味しかった。俺のために、ありがとうな」
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まずは向かい合ってお辞儀をして、それからは時間が許す限りお喋りをすることになった。
の、だけど――。
お喋りを開始して、およそ20分後。あたし達は揃って、信じられないものを目撃してしまうのでした――。
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