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第7話 おねだりは予想外?  エメリック視点(1)

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『エメリック様が掛け合ってくださったおかげで、王宮で一緒に暮らせるようになりましたわ。わたくし、それがとても嬉しくて……っ。お時間がある時に、二人でお祝いを致しませんか?』
 サーフィナが王宮に来てくれた日。彼女からそんな提案があり、即諾。僕達は早速その夜、ケーキやご馳走を並べてパーティーを開いた。

『エメリック様、わたくし幸せですわ。素敵なものを、ありがとうございます……っ』

 予想通り、彼女は大満足。嬉し涙を浮かべ、何度も何度も感謝を口にしてくれた。
 ……普通の男なら十中八九、そこで終わってしまうだろう。
 これで、これごとき・・・・・で満足して、終わりにしてしまうだろう。

 だが僕は、王太子。デキル男だ。
 この記念すべきイベントの締めとして、引っ越し祝いを贈ることにした。

 秘密裏の調査の結果、彼女が欲しているものは指輪。そこで有名なジュエリーショップのオーナーを呼び寄せ、自由に選んでもらう事にしたのだ。

「サーフィナ、好きなものを選んでいいよ。値段は一切気にせず、欲しいと思ったものを教えてくれ」
「……エメリック様……っ。ありがとうございます……っっ」

 肩を抱くと赤面しつつはにかみ、僕の右腕に腕を絡めたまま宝石を覗き込んでゆく。
 表情も台詞も仕草も、全てが愛らしい。今夜は良い夢を見れそうだ。

「君に贈る言葉は全て真実、心からのものだ。遠慮なく選んでくれ」

 そう告げると彼女は可愛らしくコクンと頷き、オーナーが持参したいくつものケースを――宝石達を、引き続き眺める。
 サーフィナが望むものは、ダイヤ? ターコイズ? それとも、ラピスラズリかな?

「………………………………ぁっ。これ、素敵ですわ」

 彼女の目に留まったのは、ルビーの指輪。宝石の女王、とも称される石が施された一品だ。

「やはりお目がお高い……っ。こちらは大粒3・18カラットの天然ルビーを中心として、両脇には合計0・80カラットのパケットカットダイヤモンドを散りばめたものとなっております」

 流石サーフィナ、プロフェッショナルを唸らせる商品に目を付けたか。
 すでに一周していて、一番気に入っているようだしな。これに決まりで――ぃっ!?

《2200000》

 値札を見て、慌てて言葉を呑み込む。

((ま、マズいな……。予算を軽々と超えてしまっている……))

 僕が今自由に使える金は、残り150万。余裕だと思っていたら、まるで足りないじゃないか……っ。

((先月無茶を言ったせいで、当分は…………今月は、増やしてもらえない……))

 何でもと言っているから、恐らくはコレを選んでしまう。
 だが、それを買うだけの金はない……っ。

 どうする……っ。どうする……っっ。どうする……っっ!?

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