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第4話(2)
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「アルフレッド? どうしたの?」
「前方の結構離れた場所に、馬車が停まってるだろ? 多分、アレに尾行されてる」
対面に向かって首を傾げていたら、予想外の言葉が返ってきた。
尾行? あたし達、つけられてる……?
「でもあの馬車はあたし達のを追い越してるし、乗ってる人は降りて誰かと話してるよ? 道を聞いてるみたいだし、勘違いじゃない?」
「いいや、間違いないな。断言できる」
「そ、そうなの? その根拠は?」
「俺が来る時から付かず離れずな距離で停まってて、出発とほぼ同時に動き出して、こちらが停まるとあちらも停まった。敢えて行きすぎたり一般人を使ったりと小細工をしてるけど、肝心なトコに不自然が多い。それが言い切れる理由だな」
なるほど……。そう言われると、そうとしか思えない。
「あたし、全然気付かなかったよ。よく気付けたね」
アルフレッドは、そういう部分に鋭い人じゃなった。だから、ビックリしてる。
「まー色々あったんだよ。というワケで、怪しいから接触してみる。他に不審者はいないから、ここでちょっと待っててくれ」
「だっ、大丈夫なのっ!? 治安員の人とかに、頼んだ方がいいんじゃないっ!?」
「俺の予想だと暴漢とかじゃないから、平気平気。じゃあ行ってくる」
彼は馬車を降りてスタスタと歩き、不審な人――20代半ばの男性に声をかけて、暫く話し込んで……………………え? その人を連れて、馬車に入ってきた?
「ただいま。俺の予想は、的中。この人は、王宮関係者だった」
「王宮の、関係者……!? どうしてそんな人が尾行してるの……!?」
「『リルが外で、真実を言いふらさないか』。陛下と殿下に命じられて、外出時は常時リルを監視してるんだってさ」
あの話は捏造なので、当然あたしは嘘だと知っている。
もしも『あれは根も葉もない』と言いふらされたら、信じる者がでてくる。
信じる者がでてきてしまえば、再婚約を行いにくくなる危険性がある。
そういう理由で常に、あたしの周辺の動きを警戒している。そして万が一そういう行動を取った場合は、しかるべき手段を取る。
そんな内容が、この人の口から明かされた。
「陛下達は、そういうことを考えてたんですね。……ところでこれって、簡単に白状してもよかったんですか?」
「陛下と殿下は秘密裏を望んでおられましたが、わたくし共は敢えて明かす――釘を刺す事が、最も効果的と考えておりました。故に独断ではありますが、この機会にそちらのルートに変更したのでございます」
うん。あたしも、そう思う。
陛下と殿下のスタイルは、いつも『力でごり押し』。とにかく権力でぶん殴っていくやり方だから、ハッキリいってバカ。しかもタチの悪い、『人の話を殆ど聞かないバカ』なんだよね。
だからたぶん、サーフィナさんにもいいように操られてるはず。
「わたくしは貴女様に怨みは一切ありませんが、代々王家に仕える家系。忠誠を誓っておりますゆえ。陛下殿下が御納得をされるまで、忠実に動かせていただきます」
「分かりました。間違いなくそんな真似はしませんが、どうぞご自由になさってください」
仕返しとか賠償金の要求だとか、そんなものに興味はない。あたしはとにかく、王家と関わりたくないの。この生活が続けばそれでいいの。
だからソレは全く無意味だけど、指示が出てるんだからしょうがない。こちらが何かしない限りあちらは邪魔をしないみたいだし、コバエ的な生き物と思っておこう。
「さってと、これで話は終わりだな。リル、楽しい時間の再開だ」
「うん、そうだね。いこっ」
王宮関係者のラングスさんが降りて、あたし達は再び出発。今度こそトランプやお喋りを行って、無事目的地に着いたのでした。
いよいよ、10ヵ月ぶりのショッピングデート。めいっぱい、楽しみますっっ!
「前方の結構離れた場所に、馬車が停まってるだろ? 多分、アレに尾行されてる」
対面に向かって首を傾げていたら、予想外の言葉が返ってきた。
尾行? あたし達、つけられてる……?
「でもあの馬車はあたし達のを追い越してるし、乗ってる人は降りて誰かと話してるよ? 道を聞いてるみたいだし、勘違いじゃない?」
「いいや、間違いないな。断言できる」
「そ、そうなの? その根拠は?」
「俺が来る時から付かず離れずな距離で停まってて、出発とほぼ同時に動き出して、こちらが停まるとあちらも停まった。敢えて行きすぎたり一般人を使ったりと小細工をしてるけど、肝心なトコに不自然が多い。それが言い切れる理由だな」
なるほど……。そう言われると、そうとしか思えない。
「あたし、全然気付かなかったよ。よく気付けたね」
アルフレッドは、そういう部分に鋭い人じゃなった。だから、ビックリしてる。
「まー色々あったんだよ。というワケで、怪しいから接触してみる。他に不審者はいないから、ここでちょっと待っててくれ」
「だっ、大丈夫なのっ!? 治安員の人とかに、頼んだ方がいいんじゃないっ!?」
「俺の予想だと暴漢とかじゃないから、平気平気。じゃあ行ってくる」
彼は馬車を降りてスタスタと歩き、不審な人――20代半ばの男性に声をかけて、暫く話し込んで……………………え? その人を連れて、馬車に入ってきた?
「ただいま。俺の予想は、的中。この人は、王宮関係者だった」
「王宮の、関係者……!? どうしてそんな人が尾行してるの……!?」
「『リルが外で、真実を言いふらさないか』。陛下と殿下に命じられて、外出時は常時リルを監視してるんだってさ」
あの話は捏造なので、当然あたしは嘘だと知っている。
もしも『あれは根も葉もない』と言いふらされたら、信じる者がでてくる。
信じる者がでてきてしまえば、再婚約を行いにくくなる危険性がある。
そういう理由で常に、あたしの周辺の動きを警戒している。そして万が一そういう行動を取った場合は、しかるべき手段を取る。
そんな内容が、この人の口から明かされた。
「陛下達は、そういうことを考えてたんですね。……ところでこれって、簡単に白状してもよかったんですか?」
「陛下と殿下は秘密裏を望んでおられましたが、わたくし共は敢えて明かす――釘を刺す事が、最も効果的と考えておりました。故に独断ではありますが、この機会にそちらのルートに変更したのでございます」
うん。あたしも、そう思う。
陛下と殿下のスタイルは、いつも『力でごり押し』。とにかく権力でぶん殴っていくやり方だから、ハッキリいってバカ。しかもタチの悪い、『人の話を殆ど聞かないバカ』なんだよね。
だからたぶん、サーフィナさんにもいいように操られてるはず。
「わたくしは貴女様に怨みは一切ありませんが、代々王家に仕える家系。忠誠を誓っておりますゆえ。陛下殿下が御納得をされるまで、忠実に動かせていただきます」
「分かりました。間違いなくそんな真似はしませんが、どうぞご自由になさってください」
仕返しとか賠償金の要求だとか、そんなものに興味はない。あたしはとにかく、王家と関わりたくないの。この生活が続けばそれでいいの。
だからソレは全く無意味だけど、指示が出てるんだからしょうがない。こちらが何かしない限りあちらは邪魔をしないみたいだし、コバエ的な生き物と思っておこう。
「さってと、これで話は終わりだな。リル、楽しい時間の再開だ」
「うん、そうだね。いこっ」
王宮関係者のラングスさんが降りて、あたし達は再び出発。今度こそトランプやお喋りを行って、無事目的地に着いたのでした。
いよいよ、10ヵ月ぶりのショッピングデート。めいっぱい、楽しみますっっ!
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