婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第4話(1)

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「朝。目を開けると、そこにあるのは見慣れた天井。……小さな幸せだね……!」

 あれから約6時間後、少し遅めに起床。おもわず感嘆の息を吐いたあと服を着替えて、お父様達と4人でブランチを摂る。
 今日の服は高級品ではないし、食事だって最高級のものじゃない。しかしながらあたしは、知っている。身を以て実感してきた。


 豪華豪奢では補えないものが、世の中にはあるのだと!


「う~ん。やはり、4人での食事は格別だな」
「ええ。今年一番の味ね」
「家族が一番のスパイス。コレさえあれば、他には何もいらないよね」
「ザックの言う通りっ。このオムレツは、トリュフ入りオムレツよりも遥かに美味しいよ!」

 点数で表すと、100と1。殿下と食べる食事は、本当にマズかったなぁ。マズいってことしか覚えてないや。
 そんなことを考えながら楽しい時間を過ごし、それが終わると外出の準備を始める。まずはお化粧で、

「「「今日は記念すべき、久しぶりの外出でございますっっ! ここは是非わたくし達にお任せを!!」」」

 使用人さん達に囲まれ、有無を言わさずメイクがスタート。顔をポンポンされたりシャシャッとされたりして、あっという間にできあがり。
 愛のあるメイクをしてもらったあとはお気に入りの服に着替えて、変装用のサングラスをポケットに詰め込む。こうしてリル・サートルとバレないように見つかって大騒ぎにならないように対策をして、出発の準備は全て整った。

「どうも、こんにちは――おっ、万端みたいだな。その服、よく似合ってるぜ」

 アルフレッドは約束の時間の5分前に来てくれて、真っ先にあたしを褒めてくれる。

「リルは、かわいいからな。白とかピンクで、ヒラヒラしたのがよく合うんだよな」
「ぁ、ありがと。アルフレッドもその服、似合ってるよ」
「そか? サンキュ。じゃあリル、行こうか」

 そう言いながら差し出された手に掴まり、彼にリードされてロザス家の馬車に乗り込む。
 この幼馴染はこういうことも、自然とできちゃうんだよねぇ。殿下も人前では似たことをやってくれてたけど、それは打算アリ。同じ内容でも、届いてくるものが全然違うよね。

「リル、いってらっしゃい。たっぷり楽しんでくるんだぞ?」
「遅くなってもオッケーだからね。楽しんでらっしゃい」
「いってらっしゃい。アルフ兄さん、姉さんをヨロシクね」
「ああ、任せとけ。おじさんおばさん、いってきます」
「お父様、お母様、ザック。いってきます」

 破顔一笑の家族に見送られて、馬車が動き出す。
 ここから目的地までは、およそ50分。この時間は持ってきたトランプやお喋りをして、楽しく過ごそう――

「すみません。ちょっと止まってください」

 そう思ってカードを出していたら、アルフレッドの指示で馬車が停まった。
 まだ出発して、2分くらいだよね? どうしたんだろ?





突然申し訳ございません。ご報告になります。
今回はあまりお話が進んでおりませんので、本日はあと1回、夜ごろに投稿をさせていただきます。


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