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第1話 王城に着いたら シュゼット視点(1)

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((…………??))
((…………??))
((…………??))

 数日後。王都の中央にある王城に到着したわたし達親子は、揃って心の中で疑問符を浮かべていました。
 なぜならば――

「送られてきたものにより、そちらの主張・・は把握してある。経緯を含め、改めて聞こうじゃないか」

 王の間での謁見が叶い、陛下、王妃殿下、王太子殿下、第2、第3王子殿下、王女殿下の御前で片膝をついていると、陛下はそのようなことを仰られたからです。

((主張……?))

 その言葉は、こういった状況で用いる言葉ではありませんよね?
 それに……。

((陛下も、王妃殿下も、王太子殿下も、第2、第3王子殿下、王女殿下も……。薄笑いを浮かべていらっしゃいます、よね……?))

 こちらも同じく、こういった状況でなさる表情ではありませんよね?
 どう、なっているのでしょうか……?

「経緯を含め改めて聞こうじゃないか。と言っているのだが?」
「もっ、申し訳ございません! 仰せのままに!」

 不思議な声が聞こえて来て疑問に思っていたら、やがて頭の中に文字が浮かび上がってきたこと――。その文字は守り神ホズラティア様のものだったこと――。厄災が迫っていること――。それを防ぐ聖女にわたしが選ばれたこと――。当時から1週間以内に厄災と聖女の力を相殺させる必要があり、適切なタイミングがやって来たらホズラティア様がお伝えしてくださること――。
 あの日の出来事とホズラティア様が仰られていたことを、皆様の前で詳説させていただきました。

「…………ふむ、スラスラと語ったか。王太子ナタナエル、お主はどう思う?」
「父上と同じ感想を抱いておりますよ。あえて言うとするならば、そうですね。よく頑張った、というところでしょうかね」
「確かにな。その通りだ」
((??))
((??))
((??))

 スラスラ? よく頑張った?
 思い当たる節がなく、おもわずお父様とお母様と顔を見合わせてしまいます。

「父上、もういいでしょう」
「そうだな。では――む? なにやら急用のようだ。ナタナエル、あとはお前に任せたぞ」

 え!?
 お城の方と陛下は王の間を去られ――

「………………」
「………………」
「………………」

 ――全員で、唖然となってしまっていたその時でした。わたし達は更に、信じられない光景と言葉を目の当たりにすることとなるのでした。


「貴様らのような人間は、この国には要らない。これから貴様らを国外へと追放する」

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