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プロローグ シュゼット・ノムゾロット視点(2)
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「? どうしたんだい、シュゼット?」
「もしかして。また、不思議な声が聞こえたの?」
「………………違います……。声、ではなくて……。頭の中に、文字が浮かんで来て……。わたしは、聖女、になったみたいです……」
この国・ホズラティアに厄災が迫った時に誕生すると言われている、国や民を護る力が宿った女性・『聖女(せいじょ)』。お話の中に登場するキャラクター――ヒーローのような存在に、なったそうです。
「聖女様!?」
「聖女様に覚醒した方は確か、過去に11名いらっしゃって……。全員が、王族の方々よね……? どうして、シュゼットが……?」
「文字――この国の守り神であるホズラティア様によりますと、もっとも相応しい人間がわたしだそうです」
《人間界に直接干渉できるのは、人のみ。ゆえに現在生きている人間の中でもっとも『聖女の力を最初から最後まで正しく使える心の持ち主』に力を貸し、その者が当代の聖女となるのです》
宿った聖女の力はその全てを『厄災』にぶつけて相殺させるそうなのですが、神の力と交わったことによって『なんでも好きなことを一つだけ叶えられる』という奇跡を起こせる力が手に入るとのこと。そちらを悪用すると世界崩壊だって実現してしまうため、現在の世界で一番正しく使える者を――悪いことではなく、更には国や国民のために使うことのできる者が選ばれているそうです。
「王族の方々は国民を護り、国民の幸せを願う――民を想われている方が多く、そういった理由でこれまでは該当者となっていたみたいですね。ですが、その……。現在の王族の方々は――他の貴族様も含め私利私欲が多い方ばかりのようでして、わたしとなったそうです」
「な、なるほど……。他貴族はともかく王家のお歴々はそのようには思えんが、ホズラティア様が仰るのならそうなのだろうな」
我がノムゾロット家は他貴族に『ほぼ平民な男爵家』『世界一農作業が似合う貴族モドキ』と嗤われるほどの家ですが、それでも貴族。国の動きはそれなりに把握できます。
我が国ホズラティアは周辺国に比べて非常に民想いの国で、王族の方々は人格者だというイメージがありましたが――。ホズラティア様が嘘を吐く理由がありません。
わざわざわたしを選ばれたということは、こそういうことなのでしょう。
「……そ、それでシュゼット。貴方はこれから何をすればいいの……? もちろん、貴方自身に危険はないのよね?」
「はい、ないみたいです。わたしはこれから――3日以内に王都にある王城へと向かいこの件の説明を行い、然るべきタイミングでお城の中心に祭られているホズラティア様の像に触れたらよいそうです」
そうして像に力を注ぐことで、『厄災』と相殺させることができる。
ちなみに触れるタイミングは、『厄災』の動きに合わせる必要があるため未定。とはいえ3日後から1週間以内にはやって来るみたいで、その時が近づいたらホズラティア様が合図を出してくださると仰っていました。
「分かった。じゃあ明日、出発しよう」
「そうね。今回はわたくしも行くわ」
この件は、わたし独りで処理できるような問題ではありません。当主であるお父様と母様も同行をすることとなり、わたし達は翌朝陽が昇ると同時に出発します。
聖女覚醒や厄災の訪れを知らせるべく、謁見を希望する手紙を追いかけるように王都にある王城を目指したのですが――。
その時のわたしは――わたし達は、まだ知りませんでした。
王城に着いたあと、あんなことになるだなんて……。
「もしかして。また、不思議な声が聞こえたの?」
「………………違います……。声、ではなくて……。頭の中に、文字が浮かんで来て……。わたしは、聖女、になったみたいです……」
この国・ホズラティアに厄災が迫った時に誕生すると言われている、国や民を護る力が宿った女性・『聖女(せいじょ)』。お話の中に登場するキャラクター――ヒーローのような存在に、なったそうです。
「聖女様!?」
「聖女様に覚醒した方は確か、過去に11名いらっしゃって……。全員が、王族の方々よね……? どうして、シュゼットが……?」
「文字――この国の守り神であるホズラティア様によりますと、もっとも相応しい人間がわたしだそうです」
《人間界に直接干渉できるのは、人のみ。ゆえに現在生きている人間の中でもっとも『聖女の力を最初から最後まで正しく使える心の持ち主』に力を貸し、その者が当代の聖女となるのです》
宿った聖女の力はその全てを『厄災』にぶつけて相殺させるそうなのですが、神の力と交わったことによって『なんでも好きなことを一つだけ叶えられる』という奇跡を起こせる力が手に入るとのこと。そちらを悪用すると世界崩壊だって実現してしまうため、現在の世界で一番正しく使える者を――悪いことではなく、更には国や国民のために使うことのできる者が選ばれているそうです。
「王族の方々は国民を護り、国民の幸せを願う――民を想われている方が多く、そういった理由でこれまでは該当者となっていたみたいですね。ですが、その……。現在の王族の方々は――他の貴族様も含め私利私欲が多い方ばかりのようでして、わたしとなったそうです」
「な、なるほど……。他貴族はともかく王家のお歴々はそのようには思えんが、ホズラティア様が仰るのならそうなのだろうな」
我がノムゾロット家は他貴族に『ほぼ平民な男爵家』『世界一農作業が似合う貴族モドキ』と嗤われるほどの家ですが、それでも貴族。国の動きはそれなりに把握できます。
我が国ホズラティアは周辺国に比べて非常に民想いの国で、王族の方々は人格者だというイメージがありましたが――。ホズラティア様が嘘を吐く理由がありません。
わざわざわたしを選ばれたということは、こそういうことなのでしょう。
「……そ、それでシュゼット。貴方はこれから何をすればいいの……? もちろん、貴方自身に危険はないのよね?」
「はい、ないみたいです。わたしはこれから――3日以内に王都にある王城へと向かいこの件の説明を行い、然るべきタイミングでお城の中心に祭られているホズラティア様の像に触れたらよいそうです」
そうして像に力を注ぐことで、『厄災』と相殺させることができる。
ちなみに触れるタイミングは、『厄災』の動きに合わせる必要があるため未定。とはいえ3日後から1週間以内にはやって来るみたいで、その時が近づいたらホズラティア様が合図を出してくださると仰っていました。
「分かった。じゃあ明日、出発しよう」
「そうね。今回はわたくしも行くわ」
この件は、わたし独りで処理できるような問題ではありません。当主であるお父様と母様も同行をすることとなり、わたし達は翌朝陽が昇ると同時に出発します。
聖女覚醒や厄災の訪れを知らせるべく、謁見を希望する手紙を追いかけるように王都にある王城を目指したのですが――。
その時のわたしは――わたし達は、まだ知りませんでした。
王城に着いたあと、あんなことになるだなんて……。
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