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番外編 十年前 ユリオスが動き出した日(2)
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行動を起こした日から、4年後。仲間の数が充分に揃った頃。用心深く念入りに戦力を揃えたユリオスは、作戦を次の段階に進める事にしました。
「「「こんばんは、ユリオス様。どうされたのですか?」」」
「貴方がたは、治安所の所長さんと懇意にされていましたよね? 所内にも協力者が欲しいので、今度あるという所(しょ)のパーティーに『身内として』呼んでくれませんか?」
そうしてユリオスは、治安所の人間――これまでよりも王族に近い存在と接触し、ここでも接触。2年の歳月をかけて慎重にじわじわと現職とOGOBの仲間を増やし、所内で充分な数を確保できたら最終ステップに移行。そのツテを使い、城で働く人間への接触を始めました。
「近衛兵への給与は割に合わず、おまけに王太子殿下は態度が悪いと聞きました。……俺と繋がってくだされば、いずれは全てに満足していただけますよ?」
「大臣殿。貴方でさえも、彼らの気分次第で簡単に首が飛びます。もしもの保険があればいいと、思いませんか?」
ユリオスはこうして『城』を侵食してゆき、4年後に満足できる環境が整いました。
何もかも、ユリオス・ガーソルの思い通り。彼は約10年間をかけて、完璧な対応策を作り上げたのです。
けれど。そんなユリオスにも、たった一つだけ想定外なことがありました。
それは、エステルとの出会い。
彼は一瞬にして、少女に恋をする。その結果自分のために築き上げたものを、彼女のために使うことになるのです。
「まさかこんな形で、『仕込み』を使用するとはね。…………俺でも、恋というものにだけは勝てないようだ」
エステルの救出に向かう、少し前。人知れず待機をしていたユリオスは小さく笑い、白い仮面をつけたのでした――。
「「「こんばんは、ユリオス様。どうされたのですか?」」」
「貴方がたは、治安所の所長さんと懇意にされていましたよね? 所内にも協力者が欲しいので、今度あるという所(しょ)のパーティーに『身内として』呼んでくれませんか?」
そうしてユリオスは、治安所の人間――これまでよりも王族に近い存在と接触し、ここでも接触。2年の歳月をかけて慎重にじわじわと現職とOGOBの仲間を増やし、所内で充分な数を確保できたら最終ステップに移行。そのツテを使い、城で働く人間への接触を始めました。
「近衛兵への給与は割に合わず、おまけに王太子殿下は態度が悪いと聞きました。……俺と繋がってくだされば、いずれは全てに満足していただけますよ?」
「大臣殿。貴方でさえも、彼らの気分次第で簡単に首が飛びます。もしもの保険があればいいと、思いませんか?」
ユリオスはこうして『城』を侵食してゆき、4年後に満足できる環境が整いました。
何もかも、ユリオス・ガーソルの思い通り。彼は約10年間をかけて、完璧な対応策を作り上げたのです。
けれど。そんなユリオスにも、たった一つだけ想定外なことがありました。
それは、エステルとの出会い。
彼は一瞬にして、少女に恋をする。その結果自分のために築き上げたものを、彼女のために使うことになるのです。
「まさかこんな形で、『仕込み』を使用するとはね。…………俺でも、恋というものにだけは勝てないようだ」
エステルの救出に向かう、少し前。人知れず待機をしていたユリオスは小さく笑い、白い仮面をつけたのでした――。
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退会済ユーザのコメントです
平沢美月様。通知を見落としており、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
こちらこそ、最後までお付き合いくださりありがとうございました。
そうですね。出会いがここまで人生観を変えたお話は、これまでありませんでした。その点を何度も評価していただけて、有難く嬉しいです。
やはり新作を投稿する際は緊張するのですが、今回も平沢美月様に気に入っていただけてよかったです。
本当に、ありがとうございました。