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第18話 後悔と覚悟 フィリベール視点(2)
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「レイオズン様、俺に話があるらしいね? もしや負け犬の遠吠えを言いにきたのかな?」
「……そうではありませんよ。ミシェルですが、彼女の『独占欲』は恐ろしい――想像を絶するものがあります。彼女の自己中心的かつ凶暴な愛を、貴方様は受け止め続けられますか?」
「………………ふむふむ、へえ~。そんなことがあったのか」
「こちらは負け犬の遠吠えではなく、紛れもない事実です」
「表情を見ていて、それは分かったよ。とはいえ、なにも問題はないさ。むしろ大歓迎。愛している人から特大の矢印を向けられるなんて、これ以上に喜ばしいことはないさ」
新たな相手に、こっそり接触してみた際のこと。事細かに伝えた結果彼は自信満々に返事をしたが、その様子を見るに甘く見ている――すぐに離れたくなるのだろうと確信をした。
((ミゾエルエ様は婚約の話をなかったことにしようとするが、ミシェルがそれで納得するはずがない。最悪の事態になるだろう……))
この場合――生命の危機を感じたミゾエルエ様は身を隠し、会話ができなくなる。となれば彼女は『何もなく突然こんなことを言い出すはずがない!』『自分より好きな女ができたんだ!』『彼はわたくしにずっと夢中だったっ、たぶらかした女がいるのよ!!』という発想に至り、直近彼に近づいた女を探して殺してしまうだろう。
一切無関係な人がそんな目に遭うなんて、あってはならない。
そんな悲劇を防ぐためには、2つの方法があった。
――その1。
我慢をさせる。
彼女は絶対に改心などしない。なぜなら、『悪い』と微塵も思っていないのだから。
なので、新たな『悪い刺激』を受けない環境に置いて――その上で集中できる夢中になれる趣味を見つけさせ、意識や感情を分散させて大人しくさせる。
これは全員が幸せになれる最高の選択肢、なのだが――。実現する確率は、恐ろしく低い。
いくら『素質』があったとはいえ、そうではない時があるにはあったんだ。
だから内側に引っ込む可能性は0ではない。ないのだが――非常に難しい。あくまで説得による改心より可能性が高いというだけで、奇跡でも起きない限り実現してはくれないだろう。
したがって、2つ選択肢があるものの……。ほぼ間違いなく、実行するのはその2となるだろう。
((……………………))
この選択肢はずっと前から、僕が檻になると決める前からあったんだ。
だが、それはミシェルからあらゆるものを奪うことになってしまう。
((……あんなことになっていても、彼女は幼馴染だ……))
物心ついてからずっと知っている人に、そんなことをするのは嫌だった。
そんなことをするくらいなら、僕が犠牲になった方がマシ。
そう思っていた、ソレを貫くつもりだった、けれど……。
第三者の命が危険に晒されるのなら、仕方がない。
((…………やるしか、ない))
その日僕は覚悟を決め、とある人物に連絡を取ったのだった。
「……そうではありませんよ。ミシェルですが、彼女の『独占欲』は恐ろしい――想像を絶するものがあります。彼女の自己中心的かつ凶暴な愛を、貴方様は受け止め続けられますか?」
「………………ふむふむ、へえ~。そんなことがあったのか」
「こちらは負け犬の遠吠えではなく、紛れもない事実です」
「表情を見ていて、それは分かったよ。とはいえ、なにも問題はないさ。むしろ大歓迎。愛している人から特大の矢印を向けられるなんて、これ以上に喜ばしいことはないさ」
新たな相手に、こっそり接触してみた際のこと。事細かに伝えた結果彼は自信満々に返事をしたが、その様子を見るに甘く見ている――すぐに離れたくなるのだろうと確信をした。
((ミゾエルエ様は婚約の話をなかったことにしようとするが、ミシェルがそれで納得するはずがない。最悪の事態になるだろう……))
この場合――生命の危機を感じたミゾエルエ様は身を隠し、会話ができなくなる。となれば彼女は『何もなく突然こんなことを言い出すはずがない!』『自分より好きな女ができたんだ!』『彼はわたくしにずっと夢中だったっ、たぶらかした女がいるのよ!!』という発想に至り、直近彼に近づいた女を探して殺してしまうだろう。
一切無関係な人がそんな目に遭うなんて、あってはならない。
そんな悲劇を防ぐためには、2つの方法があった。
――その1。
我慢をさせる。
彼女は絶対に改心などしない。なぜなら、『悪い』と微塵も思っていないのだから。
なので、新たな『悪い刺激』を受けない環境に置いて――その上で集中できる夢中になれる趣味を見つけさせ、意識や感情を分散させて大人しくさせる。
これは全員が幸せになれる最高の選択肢、なのだが――。実現する確率は、恐ろしく低い。
いくら『素質』があったとはいえ、そうではない時があるにはあったんだ。
だから内側に引っ込む可能性は0ではない。ないのだが――非常に難しい。あくまで説得による改心より可能性が高いというだけで、奇跡でも起きない限り実現してはくれないだろう。
したがって、2つ選択肢があるものの……。ほぼ間違いなく、実行するのはその2となるだろう。
((……………………))
この選択肢はずっと前から、僕が檻になると決める前からあったんだ。
だが、それはミシェルからあらゆるものを奪うことになってしまう。
((……あんなことになっていても、彼女は幼馴染だ……))
物心ついてからずっと知っている人に、そんなことをするのは嫌だった。
そんなことをするくらいなら、僕が犠牲になった方がマシ。
そう思っていた、ソレを貫くつもりだった、けれど……。
第三者の命が危険に晒されるのなら、仕方がない。
((…………やるしか、ない))
その日僕は覚悟を決め、とある人物に連絡を取ったのだった。
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