婚約者を奪われて悔しいでしょう、ですか? いえまったく

 かつて私の婚約者だった方・フィレーダ侯爵家のセヴラン様と婚約された、ミレネア子爵家のナディーヌ様。公爵家主催の夜会でお会いしたミレネア様は突然、『愛する人を奪われて悔しいでしょう?』と嘲笑混じりで仰られました。
 どうやらあの日の婚約解消は、この方との浮気によるもの。ミレネア様は、私からフィレーダ様を奪い取れたことが嬉しくて仕方がないようです。


 ……そう、だったのですね。
 ですが、ミレネア様。私はまったく、悔しいと感じてはいませんよ?
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