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第7話 悪夢 父ケヴィック視点(2)
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「なっ!? なにをする!?」
「元会頭。さよならのお時間ですよ」
ゆっくり俺へと近づいて来て、両腕を拘束したヴィッケルとアルセル。ヤツらは嫌みたっぷりに微笑み、扉を一瞥した。
「ここは曰く『聖域』、会頭が有する部屋。会頭ではない、かつ、滞在を許されていない者が存在していい空間ではありません」
「それゆえ、これから外へと――建物の外へと移動していただきます。素直に従っていただけるのであればこの手を外しますが、いかがでしょうか?」
「ふっ、ふざけるな!! こんなこと認められるか!! 俺は会頭だ!! 今のこの先もっ、ずっとこの商会のトップに立ち続け――」
「なるほど。従っていただけないようですね」
「ならば仕方ありません。強制的に移動をさせましょうか」
ぐぁ!? ヴィッケルとアルセルは乱暴に腕を引っ張り、俺の身体はずるずると引きずられていく!
「離せっ! 離せ! 離せっ!!」
「「…………。…………」」
「離せ! 離せといっている――そうだお前達考えなおせ直すんだ!! きっとお前達は現状に満足してなかったんだろう!? なら満足するだけ金をやろう! 物もやろう! だから離せっ再び俺の側につくんだ! これなら文句はないだろう!? なっ? なっ!?」
「「……………………」」「「「「「「「………………」」」」」」」
これでも、だめだった……。全員が首を縦に振らない……それどころか無視を貫き……。
会頭室から引きずり出され……。そのまま廊下を引きずられ……。建物から出されて……。商会の土地を引きずられ……。
門の外に停車していた馬車の前に来たところで、強制的な連行は終わった。
「「ルシアン新会頭。連行が終わりました」」
「ご苦労。……それでは兄上、そちらに乗っていただきます」
「…………分かった。いいだろう。乗ってやる」
腹立たしいが、この場は負けておいてやる。
((ルシアン、エリオッツ、そして裏切り者9匹!! 俺に楯突いたこと、後悔させてやるからな……!!))
クーデターによって地位を奪われてしまったが、それは商会内での話だ!
俺にはっ、俺様にはっ、まだもう一つ肩書がある。
フェリルーザ家の当主
こいつを使い、徹底的に仕置きをしてやる。
闇の世界の住人を雇い、全員この世から消してやるからな。覚悟しておけ――
「父上。どうやら伯父上は勘違いをされているようですよ?」
「うむ、そのようだな。残念ながら兄上、この馬車は屋敷へは向かいませんよ」
「元会頭。さよならのお時間ですよ」
ゆっくり俺へと近づいて来て、両腕を拘束したヴィッケルとアルセル。ヤツらは嫌みたっぷりに微笑み、扉を一瞥した。
「ここは曰く『聖域』、会頭が有する部屋。会頭ではない、かつ、滞在を許されていない者が存在していい空間ではありません」
「それゆえ、これから外へと――建物の外へと移動していただきます。素直に従っていただけるのであればこの手を外しますが、いかがでしょうか?」
「ふっ、ふざけるな!! こんなこと認められるか!! 俺は会頭だ!! 今のこの先もっ、ずっとこの商会のトップに立ち続け――」
「なるほど。従っていただけないようですね」
「ならば仕方ありません。強制的に移動をさせましょうか」
ぐぁ!? ヴィッケルとアルセルは乱暴に腕を引っ張り、俺の身体はずるずると引きずられていく!
「離せっ! 離せ! 離せっ!!」
「「…………。…………」」
「離せ! 離せといっている――そうだお前達考えなおせ直すんだ!! きっとお前達は現状に満足してなかったんだろう!? なら満足するだけ金をやろう! 物もやろう! だから離せっ再び俺の側につくんだ! これなら文句はないだろう!? なっ? なっ!?」
「「……………………」」「「「「「「「………………」」」」」」」
これでも、だめだった……。全員が首を縦に振らない……それどころか無視を貫き……。
会頭室から引きずり出され……。そのまま廊下を引きずられ……。建物から出されて……。商会の土地を引きずられ……。
門の外に停車していた馬車の前に来たところで、強制的な連行は終わった。
「「ルシアン新会頭。連行が終わりました」」
「ご苦労。……それでは兄上、そちらに乗っていただきます」
「…………分かった。いいだろう。乗ってやる」
腹立たしいが、この場は負けておいてやる。
((ルシアン、エリオッツ、そして裏切り者9匹!! 俺に楯突いたこと、後悔させてやるからな……!!))
クーデターによって地位を奪われてしまったが、それは商会内での話だ!
俺にはっ、俺様にはっ、まだもう一つ肩書がある。
フェリルーザ家の当主
こいつを使い、徹底的に仕置きをしてやる。
闇の世界の住人を雇い、全員この世から消してやるからな。覚悟しておけ――
「父上。どうやら伯父上は勘違いをされているようですよ?」
「うむ、そのようだな。残念ながら兄上、この馬車は屋敷へは向かいませんよ」
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