もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました

柚木ゆず

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第15話 兄~夜会・戸惑いの時~ ロマニ視点(1)

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「な、なにをいってるんだ……? は……? え……? 何を言ってるんだ……!?」
「ん? 兄さん、違うのですか? そちらに、そういったものがあるのではないのですか?」
「そ、そうだ! そこにはそういったものがある、そう言うつもりだったんだっ! そっ、それはいいんだっ。どうしてそれをお前が知ってるんだ……!?」

 今度は、さっき以上の戸惑いに襲われる。

『あら? ダヴィッド様は、ずっと場内にいらっしゃったはずですわよね?』
『ええ。確かにいらっしゃって、アニー様がお近づきになられてもいませんわ』
『……??? アニー様は勇気を出して、ロマニ様にお伝えした。そのはずでは……?』
『わたくしも、そう伺いましたわ。なのに、ダヴィッド様までご存じなんて。妙ですわね……』

 ああ、そうだ! 他の参加者お前達の言う通りだ!!
 さっきヒソヒソ話をした時、周りには誰もいなかった! この計画を知っているのは俺とアニーだけっ。協力者である従者ライエン御者ニッカ―ですら知らないんだぞっ! なぜそれを、ダヴィッドがスラスラ言えたんだ……!?

「その前に、今一度確認をしておきたいことがあります。兄さん」
「なんだっ? なんなんだっ?」
「隣にいらっしゃられる方――アニー・ザレテリア様。これまでこの方との面識はほぼなく、先程初めてアンナ様にまつわるお話を知った。間違いありませんね?」
「ああそうだっ。間違いないない!」
「でしたら、当然――。ネックレスに関するお話も、先程初めて知ったのですよね?」
「当たり前だっ!! そっ、それがどうしたんだ!?」

 コイツが何を言いたいのか、全く理解できない。そこでおもわず声を荒げていると、「皆様には、証人となっていただきましょう」と言い出した。
 そしてダヴィッドは、??? 「それはおかしいですね?」と独りごちて懐へと右手を入れ、その手が出てくると――……………………。

「でしたらなぜ兄さんは昨日、こんなものをアンナ様の部屋に持ち込んだのでしょうか? そちらの説明をお願いします」

 ヤツの手には…………。俺が隠した…………アニーのネックレスが、あった…………。

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