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第11話 確認と真実と アンナ視点

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「昨日(さくじつ)オペラにローズマリーを合わせようとした理由が、分かりました。ですがそうして過ごした記憶は一切なく、ダヴィッド様との関係が分からないのです」
「………………」
「でも、ダヴィッド様は違います。貴方様は、そちらの詳細をご存じなのですよね?」

 昨夜見た夢の説明を行った私は、改めて戸惑いながらも首を傾けます。
 あの夢は幻ではなく、現実に起きていたこと。そちらは本能的に確信できるのに、そんな思い出はありません。そこを突き詰めるべく疑問符を出し、続けさせていただきます。

「ダヴィッド様は前回お喋りを行っている際に、『懐かしいひと時をくださり、ありがとうございました』、と仰られました。そうですよね?」
「……ええ。そうでしたね」
「あのお言葉の意味を、ずっと思い違えていました。『懐かしい』それは、その出来事に触れたものだったのですよね?」

 夢で最後に見た光景は、オペラを食べお喋りをしている昨日の光景とそっくりでした。
 あの時私は生徒会室での出来事だと思い言及しましたが、そのあとに返ってきたのは『…………そうですね。ええ、そうでした』。改めて振り返ってみるとそちらは、話を合わせるものに感じます。

「夢の中でキスをいただいた時、私の心は幸せで満ち溢れました。あの感覚、数々の違和感は、放置できるようなものではありません。ダヴィッド様、お願い致します。私が知らない部分を、真実を、お教えください」
「……………………」
「ダヴィッド様。どうか、お願い致します」
「……………………。その件に関しては、じっくりと話し合える解決後にお伝えする予定でしたが――。思い出されたのであれば、その判断は逆効果。作戦に集中できなくなってしまいますね」

 しばらくの間俯きがちで黙考されていたダヴィッド様は、小さく首肯。お顔が上がると、「分かりました。お伝えしましょう」と仰ってくださいました。

「……アンナ様。これから僕の口から出るものは、荒唐無稽なものとなります。ですがすべて真実ですので。落ち着いてお聞きください。もしもパニックになりそうになった場合はただちに中止しますので、決して無理をせずにお教えくださいね」
「……承知いたしました。よろしくお願い、致します」

 自然と口内に溜まっていた唾液を飲み込み、今一度姿勢を正してお口を見つめます。そうするとやがてそちらが動き出し、すぐに私は、その注意事項が出された意味を理解することとなりました。
 なぜ、そちらが必要だったのか。それは――

「僕とアンナ様。僕達は学院に入学してから出会いましたが、実はその遥か前に出会っているのですよ。なぜならば僕達は、前世で夫婦だったのですから」

 ――僅かさえも予想していなかった、できるはずのなかった、そんな内容が紡がれ始めたのですから。

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