11 / 33
第7話 兄~報告と、アニー。そして~ ロマニ視点
しおりを挟む
「さっき、アンナの部屋にネックレスを隠してきた。無事、明日の最終ステップへと進めるようになったよ」
白を中心とした、アンナのつまらない部屋。そんなものとは正反対に位置する、ピンクを基調とした可愛らしい部屋。俺はそんな場所に入るや、目の前にいるリスのような愛らしい人――アニーに対し、パチリと片目を瞑ってみせた。
「わぁ、おめでとうございますぅ~っ。ありがとうございますぅ~っ。大好きですぅ、ロマニ様ぁっ」
「はははっ。いやぁ、嬉しいなぁ。あははははははははっ」
可愛らしいタレ目がへにゃっとなって、ぎゅっと抱き付いてきてくれる。それを幸せと感じないはずがなく、左右の頬は無意識的に緩みきってしまった。
このまま2人の甘い時間に入り込みたい――ところだが、あいにくと今日は長く滞在できない。早く最終確認を行わないと家族に怪しまれてしまうから、その作業を行うとしよう。
「決行は予定通り、明日の夜会。会場に着いたら、まずはどうするんだったっけ?」
「えっとぉ。まずはアンナ様に、ご挨拶をするんでしたよねぇ」
「正解。次は、覚えているかな?」
「はぃ~。そのあとわたしは深刻なお顔を作って、隅っこで悩むお芝居をしてぇ。それから、ロマニ様にお声をかけるんでしたぁ」
「うん、そっちも正解。流石はアニーだよ」
挨拶の際に厳しいことを言われ、悩んでいたアニーは勇気を出して婚約者に――人格者として有名な人に、助けを求める。これらの行動は、それらを周囲に認識させるためのものだ。
「そこからは、俺がバトンを受け取る。まず大声を出して注目を集め、アンナのイジメを追及し始める。そうしたらもちろん?」
「アンナ様は、否定しますよねぇ~」
「そこで、さっきの仕込みの出番。その存在を明らかにして、でも再び、アイツは否定するだろう。そこで確認を行えば…………?」
「お部屋から、わたしのネックレスが出てきますぅ」
「そうして。ジ・エンド。即日婚約破棄を宣告し、アンナ・リロレットとの縁は完全に切断されることとなる」
反対に謝罪などを行ったことによって、アニーとの縁が誕生。これによって堂々と交際を行えるようになって、やがては堂々と夫婦になれる。
完璧な、作戦だ……!
「あと一つ乗り越えれば、俺達の間に障害はなくなる。明日力を合わせて、アンナを倒そう!」
「はぃ~、頑張りましょぅ~。えいえい、お~っ!」
ニッコリとはにかみ、ゆったりと拳を突き上げる。その姿はたまらなく愛おしく、おもわず抱き締めてしまう。
――いつまでもこうしていたい――。
そう強く思うが、今日は時間がない。アンナの屋敷で仕込みをしていたせいで、もう去らねばならない。
((くそっ、あの女はどこまでも邪魔をする……!))「ごめんよアニー。今日はもう帰るね」
「わざわざぁ、ありがとうございますぅ~。お気をつけて、くださいねぇ~」
「ああ、ありがとう。じゃあ、また明日(あした)ね」
最愛の人に、不機嫌な顔を見せるわけにはいかないからな。俺は心の中でアンナを足蹴にし、笑顔でバイバイ。
明日(あす)の再会を約束し、屋敷へと戻ったのだった。
〇〇
そうしてロマニはザレテリア邸を去り、ロマニを見送ったアニーは――
白を中心とした、アンナのつまらない部屋。そんなものとは正反対に位置する、ピンクを基調とした可愛らしい部屋。俺はそんな場所に入るや、目の前にいるリスのような愛らしい人――アニーに対し、パチリと片目を瞑ってみせた。
「わぁ、おめでとうございますぅ~っ。ありがとうございますぅ~っ。大好きですぅ、ロマニ様ぁっ」
「はははっ。いやぁ、嬉しいなぁ。あははははははははっ」
可愛らしいタレ目がへにゃっとなって、ぎゅっと抱き付いてきてくれる。それを幸せと感じないはずがなく、左右の頬は無意識的に緩みきってしまった。
このまま2人の甘い時間に入り込みたい――ところだが、あいにくと今日は長く滞在できない。早く最終確認を行わないと家族に怪しまれてしまうから、その作業を行うとしよう。
「決行は予定通り、明日の夜会。会場に着いたら、まずはどうするんだったっけ?」
「えっとぉ。まずはアンナ様に、ご挨拶をするんでしたよねぇ」
「正解。次は、覚えているかな?」
「はぃ~。そのあとわたしは深刻なお顔を作って、隅っこで悩むお芝居をしてぇ。それから、ロマニ様にお声をかけるんでしたぁ」
「うん、そっちも正解。流石はアニーだよ」
挨拶の際に厳しいことを言われ、悩んでいたアニーは勇気を出して婚約者に――人格者として有名な人に、助けを求める。これらの行動は、それらを周囲に認識させるためのものだ。
「そこからは、俺がバトンを受け取る。まず大声を出して注目を集め、アンナのイジメを追及し始める。そうしたらもちろん?」
「アンナ様は、否定しますよねぇ~」
「そこで、さっきの仕込みの出番。その存在を明らかにして、でも再び、アイツは否定するだろう。そこで確認を行えば…………?」
「お部屋から、わたしのネックレスが出てきますぅ」
「そうして。ジ・エンド。即日婚約破棄を宣告し、アンナ・リロレットとの縁は完全に切断されることとなる」
反対に謝罪などを行ったことによって、アニーとの縁が誕生。これによって堂々と交際を行えるようになって、やがては堂々と夫婦になれる。
完璧な、作戦だ……!
「あと一つ乗り越えれば、俺達の間に障害はなくなる。明日力を合わせて、アンナを倒そう!」
「はぃ~、頑張りましょぅ~。えいえい、お~っ!」
ニッコリとはにかみ、ゆったりと拳を突き上げる。その姿はたまらなく愛おしく、おもわず抱き締めてしまう。
――いつまでもこうしていたい――。
そう強く思うが、今日は時間がない。アンナの屋敷で仕込みをしていたせいで、もう去らねばならない。
((くそっ、あの女はどこまでも邪魔をする……!))「ごめんよアニー。今日はもう帰るね」
「わざわざぁ、ありがとうございますぅ~。お気をつけて、くださいねぇ~」
「ああ、ありがとう。じゃあ、また明日(あした)ね」
最愛の人に、不機嫌な顔を見せるわけにはいかないからな。俺は心の中でアンナを足蹴にし、笑顔でバイバイ。
明日(あす)の再会を約束し、屋敷へと戻ったのだった。
〇〇
そうしてロマニはザレテリア邸を去り、ロマニを見送ったアニーは――
140
あなたにおすすめの小説
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
私の事を婚約破棄した後、すぐに破滅してしまわれた元旦那様のお話
睡蓮
恋愛
サーシャとの婚約関係を、彼女の事を思っての事だと言って破棄することを宣言したクライン。うれしそうな雰囲気で婚約破棄を実現した彼であったものの、その先で結ばれた新たな婚約者との関係は全くうまく行かず、ある理由からすぐに破滅を迎えてしまう事に…。
危ない愛人を持つあなたが王太子でいられるのは、私のおかげです。裏切るのなら容赦しません。
Hibah
恋愛
エリザベスは王妃教育を経て、正式に王太子妃となった。夫である第一王子クリフォードと初めて対面したとき「僕には好きな人がいる。君を王太子妃として迎えるが、僕の生活には極力関わらないでくれ」と告げられる。しかしクリフォードが好きな人というのは、平民だった。もしこの事実が公になれば、クリフォードは廃太子となり、エリザベスは王太子妃でいられなくなってしまう。エリザベスは自分の立場を守るため、平民の愛人を持つ夫の密会を見守るようになる……。
【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い
猿喰 森繁
恋愛
「アリシア。婚約破棄をしてほしい」
「婚約破棄…ですか」
「君と僕とでは、やはり身分が違いすぎるんだ」
「やっぱり上流階級の人間は、上流階級同士でくっつくべきだと思うの。あなたもそう思わない?」
「はぁ…」
なんと返したら良いのか。
私の家は、一代貴族と言われている。いわゆる平民からの成り上がりである。
そんなわけで、没落貴族の息子と政略結婚ならぬ政略婚約をしていたが、その相手から婚約破棄をされてしまった。
理由は、私の家が事業に失敗して、莫大な借金を抱えてしまったからというものだった。
もちろん、そんなのは誰かが飛ばした噂でしかない。
それを律儀に信じてしまったというわけだ。
金の切れ目が縁の切れ目って、本当なのね。
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
【完結】君の世界に僕はいない…
春野オカリナ
恋愛
アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。
それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。
薬の名は……。
『忘却の滴』
一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。
それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。
父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。
彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる