上 下
17 / 21

第8話 激動と激動 俯瞰視点(2)

しおりを挟む
「…………………………」「…………………………」「…………………………」

 自分達と同じ経験と行動をした者達が、消息不明になっていた。フランクが示したページを読み終えた三人は、言葉を失っていました。

「…………ひゅ、フランクよ。フランクよ」
「……はい……」
「お、お前は面白い話を書くではないか! 不謹慎ではあるがなかなかに良いホラーだったぞ!」
「……こちらは、わたくしめの創作ではございません……。数十年前に発行された、各地で起きた奇怪な事件をまとめた本でございます……」

 背面にある出版社名と、表紙にある執筆者の名前。力なく左右に首を振ったあと、それらをしっかりと三人に見せました。

「こちらは俗に言うオカルトが大半を占めており、まったく売れなかったため認知されておりませんでした。ただ確認をしたところ、今でもニッザーバルでは語り継がれていて――」
「なっ、なんだ! 驚かせるなフランク! ならばオカルトに決まっているだろう!」

 三人の表情は、再び一変。ドナルドは大きな息を吐いて笑いだし、カロルとクラリスもそれに続きました。

「やはりそいつは創作だっ。原因不明の失踪、そんなもの起きてはおらんよ!」
「村を有名するため、もしくは子どもに教育をするための嘘でしょうね。よくある話だわ」
「私は教育だと思う。わざわざ『物でさえも』ってつけてるトコが怪しいもん」
「わたしも同意見だ。……まったく、人騒がせな奴だな」

 三人は揃ってフランクに白目を注ぎ、気分を害したからデザートを用意しておけ、着替えを終えて戻るまでにな、と告げて歩き出します。

「旦那様っ、奥様っ、お嬢様っ。わたくしめは事実だと感じておりまし――」
「そうか、ならば一生そう思っているといい。……優秀な男だと思っていたのだがなぁ」
「こんな作り話を信じるだなんて。情けないわね」
「あんなマヌケが家令だなんて知られたら、恥ずかしい。直らないなら捨てて入れ替えた方がいいかも」

 三人はそんな言葉を交わしながら廊下を進み、

「ん? 今……」

 邸内に3つだけ存在する・・・・・・・・、着替え専用の部屋。そこを目指す途中で、不意にドナルドが立ち止まったのでした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おとなりさんが元彼だなんてツイテナイ!!

鳴宮鶉子
恋愛
一生独身で生きていくと駅前の高層マンションの低層階を分譲したのに、お隣さんが最悪な別れ方をした元彼で……

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

好きだと伝えたら、一旦保留って言われて、考えた。

さこの
恋愛
「好きなの」 とうとう告白をした。 子供の頃からずっーと好きだったから。学園に入学する前に気持ちを伝えた。 ほぼ毎日会っている私と彼。家同士も付き合いはあるし貴族の派閥も同じ。 学園に入る頃には婚約をしている子たちも増えるっていうし、両親に言う前に気持ちを伝えた。 まずは気持ちを知ってもらいたかったから。 「知ってる」 やっぱり! だってちゃんと告白したのは今日が初めてだけど、態度には出ていたと思うから、知られてて当然なのかも。 「私の事どう思っている?」 「うーん。嫌いじゃないけど、一旦保留」  保留って何?  30話程で終わります。ゆるい設定です!  ホットランキング入りありがとうございます!ペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+2021/10/22

その選択、必ず後悔することになりますよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ベルナール殿下、陛下、妃殿下、第2第3王子殿下。ご自身にとって都合が悪いからと、わたくし聖女ファニーの殺害を企まれていますよね?  ただちにお止めください。  このまま実行してしまいますと、貴方がたは激しく後悔する羽目になりますよ。  ※こちらはファンタジージャンルとなっておりますので、ファンタジー的な存在(異形)が登場する場面がございます。

その言葉はそのまま返されたもの

基本二度寝
恋愛
己の人生は既に決まっている。 親の望む令嬢を伴侶に迎え、子を成し、後継者を育てる。 ただそれだけのつまらぬ人生。 ならば、結婚までは好きに過ごしていいだろう?と、思った。 侯爵子息アリストには幼馴染がいる。 幼馴染が、出産に耐えられるほど身体が丈夫であったならアリストは彼女を伴侶にしたかった。 可愛らしく、淑やかな幼馴染が愛おしい。 それが叶うなら子がなくても、と思うのだが、父はそれを認めない。 父の選んだ伯爵令嬢が婚約者になった。 幼馴染のような愛らしさも、優しさもない。 平凡な容姿。口うるさい貴族令嬢。 うんざりだ。 幼馴染はずっと屋敷の中で育てられた為、外の事を知らない。 彼女のために、華やかな舞踏会を見せたかった。 比較的若い者があつまるような、気楽なものならば、多少の粗相も多目に見てもらえるだろう。 アリストは幼馴染のテイラーに己の色のドレスを贈り夜会に出席した。 まさか、自分のエスコートもなしにアリストの婚約者が参加しているとは露ほどにも思わず…。

求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。

待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。 父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。 彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。 子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。 ※完結まで毎日更新です。

不貞の末路《完結》

アーエル
恋愛
不思議です 公爵家で婚約者がいる男に侍る女たち 公爵家だったら不貞にならないとお思いですか?

処理中です...