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13 あたし達が、解決? (2)
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「映画を観ていたら、僕の理想通りの主人公が大活躍して……。僕もああいう風になりたいって、強く思って……。そのことばかり考えていたらもう一人の僕が現れて、はいと返事をしました……」
トラヒコくんは頭を下げたまま、お口を動かす。
「あの時の僕は、世界が変わると思って返事をしました……。けれど実際は、そんな事はなかった……」
「「…………」」
「確かに変わりはしたんだけど、それは悪い方にだった。自分のせいで多くの人に、なかでもキミには危ない目にあわせてしまった……」
まだ頭を下げたままで、トラヒコくんの声が震える。
あたしは平気だから大丈夫ってお声をかけたいけど、今はごめんなさいをしたい時。こーゆー時は相手の人が言いたいコトを言い終わってからお話する方が、いいよね。
「……僕は今、自分の行動を酷く後悔しています。キミ、キミ達、転ばせてしまったあの男の子、あの場にいた警備員さん、ショッピングモールの関係者さん、父さん、母さん……。色んな人に迷惑をかけたと、悔やんでいます……」
「「…………」」
「だから、あの判断も後悔していて……。あんなの、勇気じゃなくって……。そんなことも分からない自分なんて、ダメで……。もちろんあっちの自分よりダメなところは山ほどあるんだけど、以前の内気な自分でもいいと……。キミと関わって…………自分の足で進んで、成長していかないと意味がないって思うようになりました。それになにより本物の自分でちゃんと、迷惑をかけた人全員に謝りたいと思ってます」
トラヒコくんがそう口にしたら、ふわり。体が光りはじめて、もとに戻れるようになっちゃった!
「ふやぁ、もう解除できたんだぁ。嬉しいコトだけど、とってもはやいからビックリだよっ」
「命が関わる経験をして、貴方が命をかけて必死に動いてくれたんだもの。速やかに済むのは当然で、全て陽上さんのおかげよ」
「はい、そうですね。あっちの僕も、キミにとても感謝してました」
トラヒコくんはモミジちゃんに大きく頷いて、あたしを見つめる。
「あの時僕は、もう助からないと思いました。あんな状況で、助けようとしてくれる人がいるとは思いませんでした」
「あたしもね、気が付いたら動いてたんだー。お気になさらずに、だよっ」
「……キミは本当に、優しい人ですね。そんなキミに酷い迷惑をかけてしまい、改めてごめんなさい。あの時助けてくれて、本当にありがとうございました……!」
トラヒコくんは何度も何度も頭を下げてくれて、ここでお時間。あたしが振った手に振り返してくれて、幸せそうに消えた。
「ふにゅぅ。アコヘン問題、無事解決だねっ」
「彼はいい顔をしていて、自分なりに答えも出せたようね。……入る前から説得しやすいとは思っていたけど、まさかここまでとはね……」
にこやかにお返事をしてくれてたモミジちゃんは、途中で少し下を向いた。
ふにゃ? またボソボソになって、聞き取れないなぁ。
「……あのような性格に、なってしまう……あんな性格を経験してしまったら……。酷く失敗しても、『あんな風にできるなんてすごい』『今回は少しやりすぎただけで、次は大丈夫』『今の性格がやっぱり一番』と言い張って考え直しはしないものなのに……。やはり、陽上さんはすごいわ……」
「?? モミジちゃん? どーしたの、かな?」
「ごめんなさい。少し、今後の予定を考えていたの」
モミジちゃんはお顔をこっちに向け直して、トラヒコくんがいた場所を見つめた。
よてい? 予定って、なんだろー?
「このままだと彼はお店に強く叱られ、今後立ち入り禁止になってしまう。だから父や祖父に頼んで、色々誤魔化してもらわないといけないの」
「ぁそっか、そーだよね。上手くいきそー、かな?」
「こういう時のために日々動いていて、問題ないわ。けれど私も関係者として手伝わないといけないから、午後は一緒に買い物をできなくなるの」
モミジちゃんは、月下家さんの人。しょうがない、よね。
「陽上さんは私に気にせず、休日を楽しんで頂戴。風松さんの為にも、そうしてくれた方が嬉しいわ」
「………………ん、わかりました、だよ。そーしときます」
モミジちゃんが望むなら、あたしたちは遊ぶよーにする。
でも、予定外の遊びも追加。モミジちゃんへのプレゼントを買って、明日お渡ししに行こー。
「??? 陽上さん、ニコニコしてどうしたの?」
「あたしのほーも、なんでもないよー。残りのお仕事も、頑張ってね」
「ええ、ありがとう。今日は貴方達と過ごせて楽しかったわ」
そんな風に喋っている間にもとの世界に戻って、ここでモミジちゃんとはお別れ。
モミジちゃんはスマホでパパさんたちに連絡を始めて、あたしとユーカとユーナはお店巡りを始めたのでした。
トラヒコくんは頭を下げたまま、お口を動かす。
「あの時の僕は、世界が変わると思って返事をしました……。けれど実際は、そんな事はなかった……」
「「…………」」
「確かに変わりはしたんだけど、それは悪い方にだった。自分のせいで多くの人に、なかでもキミには危ない目にあわせてしまった……」
まだ頭を下げたままで、トラヒコくんの声が震える。
あたしは平気だから大丈夫ってお声をかけたいけど、今はごめんなさいをしたい時。こーゆー時は相手の人が言いたいコトを言い終わってからお話する方が、いいよね。
「……僕は今、自分の行動を酷く後悔しています。キミ、キミ達、転ばせてしまったあの男の子、あの場にいた警備員さん、ショッピングモールの関係者さん、父さん、母さん……。色んな人に迷惑をかけたと、悔やんでいます……」
「「…………」」
「だから、あの判断も後悔していて……。あんなの、勇気じゃなくって……。そんなことも分からない自分なんて、ダメで……。もちろんあっちの自分よりダメなところは山ほどあるんだけど、以前の内気な自分でもいいと……。キミと関わって…………自分の足で進んで、成長していかないと意味がないって思うようになりました。それになにより本物の自分でちゃんと、迷惑をかけた人全員に謝りたいと思ってます」
トラヒコくんがそう口にしたら、ふわり。体が光りはじめて、もとに戻れるようになっちゃった!
「ふやぁ、もう解除できたんだぁ。嬉しいコトだけど、とってもはやいからビックリだよっ」
「命が関わる経験をして、貴方が命をかけて必死に動いてくれたんだもの。速やかに済むのは当然で、全て陽上さんのおかげよ」
「はい、そうですね。あっちの僕も、キミにとても感謝してました」
トラヒコくんはモミジちゃんに大きく頷いて、あたしを見つめる。
「あの時僕は、もう助からないと思いました。あんな状況で、助けようとしてくれる人がいるとは思いませんでした」
「あたしもね、気が付いたら動いてたんだー。お気になさらずに、だよっ」
「……キミは本当に、優しい人ですね。そんなキミに酷い迷惑をかけてしまい、改めてごめんなさい。あの時助けてくれて、本当にありがとうございました……!」
トラヒコくんは何度も何度も頭を下げてくれて、ここでお時間。あたしが振った手に振り返してくれて、幸せそうに消えた。
「ふにゅぅ。アコヘン問題、無事解決だねっ」
「彼はいい顔をしていて、自分なりに答えも出せたようね。……入る前から説得しやすいとは思っていたけど、まさかここまでとはね……」
にこやかにお返事をしてくれてたモミジちゃんは、途中で少し下を向いた。
ふにゃ? またボソボソになって、聞き取れないなぁ。
「……あのような性格に、なってしまう……あんな性格を経験してしまったら……。酷く失敗しても、『あんな風にできるなんてすごい』『今回は少しやりすぎただけで、次は大丈夫』『今の性格がやっぱり一番』と言い張って考え直しはしないものなのに……。やはり、陽上さんはすごいわ……」
「?? モミジちゃん? どーしたの、かな?」
「ごめんなさい。少し、今後の予定を考えていたの」
モミジちゃんはお顔をこっちに向け直して、トラヒコくんがいた場所を見つめた。
よてい? 予定って、なんだろー?
「このままだと彼はお店に強く叱られ、今後立ち入り禁止になってしまう。だから父や祖父に頼んで、色々誤魔化してもらわないといけないの」
「ぁそっか、そーだよね。上手くいきそー、かな?」
「こういう時のために日々動いていて、問題ないわ。けれど私も関係者として手伝わないといけないから、午後は一緒に買い物をできなくなるの」
モミジちゃんは、月下家さんの人。しょうがない、よね。
「陽上さんは私に気にせず、休日を楽しんで頂戴。風松さんの為にも、そうしてくれた方が嬉しいわ」
「………………ん、わかりました、だよ。そーしときます」
モミジちゃんが望むなら、あたしたちは遊ぶよーにする。
でも、予定外の遊びも追加。モミジちゃんへのプレゼントを買って、明日お渡ししに行こー。
「??? 陽上さん、ニコニコしてどうしたの?」
「あたしのほーも、なんでもないよー。残りのお仕事も、頑張ってね」
「ええ、ありがとう。今日は貴方達と過ごせて楽しかったわ」
そんな風に喋っている間にもとの世界に戻って、ここでモミジちゃんとはお別れ。
モミジちゃんはスマホでパパさんたちに連絡を始めて、あたしとユーカとユーナはお店巡りを始めたのでした。
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