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11 あたし達が調査! (2)
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「んにゅにゅにゅにゅ……。この辺りには、男の子がいないなぁ……」
「ここは若い女性に人気のある店が多いから、家族連れが――男性は少ないわね。進む速度を上げましょう」
「んっ。だね」
詳しく調べなくてもいいので、スピードアップ。スタタタタっと進んで、男の子が増えてきたところでチェックを再開させる。
「さっき立ち寄ったお手洗いからは、そこそこ離れた。そろそろもう一度、目撃情報を集めてみてもいいかもしれないわね」
「離れたら、見てる人もいるかもだよねっ。あたしが、そこの女の人さんたちにお尋ねしてみるよ――んややっ! 前を歩いてる人、黒い服で茶色で短い髪の毛だよっ」
お声をかけようとしていた人たちの一つ前に、とくちょーがおんなじ男の子がいたっ。
「モミジちゃん! 行ってみよっ!」
「そうね。彼だと嬉しいのだけれど、どうかしら……?」
30メートルくらい先にいる人を目指して、ダッシュダッシュ。その人は歩いているからすぐに近づけて、回り込んでお顔を確認してみる。
どー、かな? トラヒコくん、かなぁっ?
「な、なになにっ!? 僕になにか用!?」
驚いた声を出したのは、そばかすのある男の子。
トラヒコくんにあるのはニキビで、ハズレでしたぁ……。
「ぁや、ビックリさせてごめんなさい。あたしたちは人を探していて、間違えました」
「あー、そうなんだ。キミらは、どういう人を探してるんだい?」
「貴方と似た服を着ていて、ニキビのある小学5年生の男の子なの。独りで動いていると思うのだけれど、ご存知ないかしら?」
「ああ。ニキビがあってそっくりな服のヤツなら、さっき見かけた。エスカレーターでこの階に来た時、下の階へのエスカレーターに乗ってたよ」
っっ!
トラヒコくんじゃなかったけど、目撃情報があった!
「やけに堂々と立ってたから、よく覚えてるんだ。あれは…………2~3分くらい前だから、急げば追いつけると思うよ」
「情報提供、感謝します。助かったわ」
「とっても助かったよーっ。ありがとーっ」
男の子くんにペコッとお辞儀をして、真っ直ぐ進んで右に曲がって、その先にあるエスカレーターで6階におりる。
トラヒコくんはもっと下に行ってるかもしれないけど、5階にはママさんがいるからね。調べるのはこの階なのです。
「さっきの情報を聞くに、やはりアコヘンは起きている。だとしたら彼は、怖いもの知らずで勇敢――この場合だと恐らくは、クラスメイトなどが怖いと感じているものを乗り越えようとするはず。6階で、そういう場所は……」
「んとんと。ゲームセンター、かなぁ?」
前にクラスの男の子たちが、対戦ゲームのコーナーは高校生や大人が多くて怖そう、って言ってた。
小学生にとっての安全エリアは、クレーンゲームコーナーとかメダルゲームコーナー。そういうところは入りにくくって、行きそーだと思うなぁ。
「その可能性は、あるわね。ゲームセンターの位置は、この階の反対側ね」
「エスカレーターで見かけて2~3分だから、あってたらそこで会えるっ。レッツゴーだよーっ!」
あたしたちは、もう1回シュタタタタ。ほんとは走っちゃダメなんだけど、一生懸命走ってゲームセンターを目指したのでしたっ。
「ここは若い女性に人気のある店が多いから、家族連れが――男性は少ないわね。進む速度を上げましょう」
「んっ。だね」
詳しく調べなくてもいいので、スピードアップ。スタタタタっと進んで、男の子が増えてきたところでチェックを再開させる。
「さっき立ち寄ったお手洗いからは、そこそこ離れた。そろそろもう一度、目撃情報を集めてみてもいいかもしれないわね」
「離れたら、見てる人もいるかもだよねっ。あたしが、そこの女の人さんたちにお尋ねしてみるよ――んややっ! 前を歩いてる人、黒い服で茶色で短い髪の毛だよっ」
お声をかけようとしていた人たちの一つ前に、とくちょーがおんなじ男の子がいたっ。
「モミジちゃん! 行ってみよっ!」
「そうね。彼だと嬉しいのだけれど、どうかしら……?」
30メートルくらい先にいる人を目指して、ダッシュダッシュ。その人は歩いているからすぐに近づけて、回り込んでお顔を確認してみる。
どー、かな? トラヒコくん、かなぁっ?
「な、なになにっ!? 僕になにか用!?」
驚いた声を出したのは、そばかすのある男の子。
トラヒコくんにあるのはニキビで、ハズレでしたぁ……。
「ぁや、ビックリさせてごめんなさい。あたしたちは人を探していて、間違えました」
「あー、そうなんだ。キミらは、どういう人を探してるんだい?」
「貴方と似た服を着ていて、ニキビのある小学5年生の男の子なの。独りで動いていると思うのだけれど、ご存知ないかしら?」
「ああ。ニキビがあってそっくりな服のヤツなら、さっき見かけた。エスカレーターでこの階に来た時、下の階へのエスカレーターに乗ってたよ」
っっ!
トラヒコくんじゃなかったけど、目撃情報があった!
「やけに堂々と立ってたから、よく覚えてるんだ。あれは…………2~3分くらい前だから、急げば追いつけると思うよ」
「情報提供、感謝します。助かったわ」
「とっても助かったよーっ。ありがとーっ」
男の子くんにペコッとお辞儀をして、真っ直ぐ進んで右に曲がって、その先にあるエスカレーターで6階におりる。
トラヒコくんはもっと下に行ってるかもしれないけど、5階にはママさんがいるからね。調べるのはこの階なのです。
「さっきの情報を聞くに、やはりアコヘンは起きている。だとしたら彼は、怖いもの知らずで勇敢――この場合だと恐らくは、クラスメイトなどが怖いと感じているものを乗り越えようとするはず。6階で、そういう場所は……」
「んとんと。ゲームセンター、かなぁ?」
前にクラスの男の子たちが、対戦ゲームのコーナーは高校生や大人が多くて怖そう、って言ってた。
小学生にとっての安全エリアは、クレーンゲームコーナーとかメダルゲームコーナー。そういうところは入りにくくって、行きそーだと思うなぁ。
「その可能性は、あるわね。ゲームセンターの位置は、この階の反対側ね」
「エスカレーターで見かけて2~3分だから、あってたらそこで会えるっ。レッツゴーだよーっ!」
あたしたちは、もう1回シュタタタタ。ほんとは走っちゃダメなんだけど、一生懸命走ってゲームセンターを目指したのでしたっ。
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