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10 あたし達の感謝の気持ちと、事件発生! (4)
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「……あ、それならボクとおんなじかも。ゲームとかが楽しくて、夢中になりすぎて聞こえてない可能性があり」
「んっ、それありそーっ。パパさんパパさん。トラヒコくんが好きそーな場所を調べてみましたか?」
「…………それがね。うちの子は将棋が唯一の趣味で、テレビゲームやおもちゃには全く興味がないんだよ。だからこのショッピングモールで、そこまで夢中になる事はないんだよね……」
あやぁ、そうなんだぁ。
ならなら、それも違うよね。
「念のために将棋の本がある本屋も見て回ったけど、いなくて……。どこにでもいる格好をした子供だから、他のお客さんも覚えてないみたいで……。おまけに息子はひとりで動き回ったりしない内気な子だから、行動を予想できなくて本当に参ってるんだ……」
「そー、ですかぁ。どーして急に、そんな風になって――ぁや。これって」
(私もずっと、そうではないかと考えていたの。いくつか質問をしてみるわ)
ずっと俯いていたモミジちゃんが、小さな声で喋ってお顔を上げた。
「お父様、笹本虎彦さんについて質問があります。彼は今まで1度も、単独で行動をした事はないのですか?」
「え、う、うん。こういう広いところでは、今まで1回もないよ」
「そう、ですか。では行方不明になる前は、なにをされていましたか?」
「その前は、家族で4階にある映画館に行っていたよ。今話題になっている、『冒険島』というお話を観てきたんだ」
ぼうけん、じま……?
知らない、なぁ。どんな内容なんだろ?
「冒険島は、とある少年が宝探しをするお話なの。その主人公はどんな困難にも負けない、怖いもの知らずの勇ましい男の子だから――。もともと彼が抱いていた人物像と一致して、憧れが強くなった可能性が高いわ」
トラヒコくんは、内気な子。人が憧れやすいのは、真逆の人、だもんね。
「??? 憧れ~? 憧れが、どうしたのかな~?」
「ごめんなさい、なんでもないわ。……とにかく今は非常事態なので、私達もお手伝いをします」
「えっ、いいのかいっ? キミ達は遊びにきてるんじゃ……」
「困った時はお互い様、ですっ。気にしなくていーんだよ、です」
もしアコヘンをしてたら、もとに戻さないといけない。
そーゆー力を持っている人としては、とーぜんのコトなのですっ。
「……その話を知った以上、見つからないと気になる。ボクも参戦」
「わたしも、お手伝いしますよ~。すでにお目当てのお店は回り終わっていますから、お気になさらずに~」
ユーカとユーナは、すごく優しい女の子。だからすぐに協力してくれた。
「キミ達、本当にありがとう……っ。妻が5階、僕がこの3階をさがしているから、みんなは他の階をお願いします」
「でしたら私達は二手に分かれて、片方が1階から上に、もう片方が7階から下へと調べていきましょうか。その方が効率がいいわ」
「……確かに、その通り。ペアは、ボクとユーナ、ハナと月下ちゃん、でいいね」
アコヘンだったら、2人一緒にいた方がいいもんね。
モミジちゃんあたしペア。ユーカユーナペアで、決まりですっ。
「私達は、7階から調べる。風松さん達は、1階からお願いするわ」
「はーい、わかったよ~。何かあったら連絡してね~」
ユーカとユーナは、ミャーちゃんさん――ふたりのお母さんのスマートホンをかりてきてるから、どこでもお話できる。
なのであたしたちはパパさんとお電話番号を交換して、シュタタタタ。みんなでトラヒコくんさがしを始めたのでしたっ!
「んっ、それありそーっ。パパさんパパさん。トラヒコくんが好きそーな場所を調べてみましたか?」
「…………それがね。うちの子は将棋が唯一の趣味で、テレビゲームやおもちゃには全く興味がないんだよ。だからこのショッピングモールで、そこまで夢中になる事はないんだよね……」
あやぁ、そうなんだぁ。
ならなら、それも違うよね。
「念のために将棋の本がある本屋も見て回ったけど、いなくて……。どこにでもいる格好をした子供だから、他のお客さんも覚えてないみたいで……。おまけに息子はひとりで動き回ったりしない内気な子だから、行動を予想できなくて本当に参ってるんだ……」
「そー、ですかぁ。どーして急に、そんな風になって――ぁや。これって」
(私もずっと、そうではないかと考えていたの。いくつか質問をしてみるわ)
ずっと俯いていたモミジちゃんが、小さな声で喋ってお顔を上げた。
「お父様、笹本虎彦さんについて質問があります。彼は今まで1度も、単独で行動をした事はないのですか?」
「え、う、うん。こういう広いところでは、今まで1回もないよ」
「そう、ですか。では行方不明になる前は、なにをされていましたか?」
「その前は、家族で4階にある映画館に行っていたよ。今話題になっている、『冒険島』というお話を観てきたんだ」
ぼうけん、じま……?
知らない、なぁ。どんな内容なんだろ?
「冒険島は、とある少年が宝探しをするお話なの。その主人公はどんな困難にも負けない、怖いもの知らずの勇ましい男の子だから――。もともと彼が抱いていた人物像と一致して、憧れが強くなった可能性が高いわ」
トラヒコくんは、内気な子。人が憧れやすいのは、真逆の人、だもんね。
「??? 憧れ~? 憧れが、どうしたのかな~?」
「ごめんなさい、なんでもないわ。……とにかく今は非常事態なので、私達もお手伝いをします」
「えっ、いいのかいっ? キミ達は遊びにきてるんじゃ……」
「困った時はお互い様、ですっ。気にしなくていーんだよ、です」
もしアコヘンをしてたら、もとに戻さないといけない。
そーゆー力を持っている人としては、とーぜんのコトなのですっ。
「……その話を知った以上、見つからないと気になる。ボクも参戦」
「わたしも、お手伝いしますよ~。すでにお目当てのお店は回り終わっていますから、お気になさらずに~」
ユーカとユーナは、すごく優しい女の子。だからすぐに協力してくれた。
「キミ達、本当にありがとう……っ。妻が5階、僕がこの3階をさがしているから、みんなは他の階をお願いします」
「でしたら私達は二手に分かれて、片方が1階から上に、もう片方が7階から下へと調べていきましょうか。その方が効率がいいわ」
「……確かに、その通り。ペアは、ボクとユーナ、ハナと月下ちゃん、でいいね」
アコヘンだったら、2人一緒にいた方がいいもんね。
モミジちゃんあたしペア。ユーカユーナペアで、決まりですっ。
「私達は、7階から調べる。風松さん達は、1階からお願いするわ」
「はーい、わかったよ~。何かあったら連絡してね~」
ユーカとユーナは、ミャーちゃんさん――ふたりのお母さんのスマートホンをかりてきてるから、どこでもお話できる。
なのであたしたちはパパさんとお電話番号を交換して、シュタタタタ。みんなでトラヒコくんさがしを始めたのでしたっ!
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