あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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10 あたし達の感謝の気持ちと、事件発生! (1)

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「お待たせしました。特製チョコレートパンケーキでございます」

 お昼ご飯を食べたあと。あたしたちは、フードコートの近くにあるお店に入りました。
 土曜日限定の、チョコクリームとフルーツがたっぷりのパンケーキ。
 これが昨日お電話の時に言ってくれてた、お礼だそーです。

「陽上さんには、個人的にお世話になったお礼。風松さん達には、今日突然お邪魔してしまったお詫び。どうぞ召し上がれ」
「……気にしなくて、いいんだけどね。そう言うなら遠慮なく」
「月下ちゃん、ありがと~。いただかせてもらうね~」
「あたしも、いただきますっ。あむっ」

 ナイフとフォークでパンケーキを切って、クリームと苺と一緒に食べる。
 もぐもぐするとお口の中に甘くてふわふわしたのが広がって、はやぁぁぁ~。幸せな気分になっちゃいますー!

「とってもおいしーっ。甘いものって、ご飯を食べても食べられるよねー」
「……甘いものは別腹。まさにそう」
「ね~。とっても幸せで、フルーツとチョコレートがいい組み合わせになってるね~」
「ここのパンケーキはとても人気があって、きっと気に入ってもらえると思ったの。予想通りでよかったわ」

 あたしの隣で一緒に食べていたモミジちゃんは微笑んで、ふや? あたしのお耳に、お口を近づけてきた。

(貴方と行動をして、様々な事を学べたわ。昨日は『1回だけ』と口にしていたけれど、その1回は大きな糧になったのよ)
(ぇへへぇ、そっかぁ。だったら嬉しいよぉ)

 大変なお仕事をしているモミジちゃんの、お役に立ててよかった。
 リョーコちゃんとはお友達になってクラスの人たちとも仲良くなれたし、ヨツバちゃんさんはオーディションに合格っ。ほんとに、とってもハッピーだよー。

(……このまま……。というのは残念だけれど……)
(んや? なーに?)
(……ごめんなさい。なんでもないわ)

 横を向いて何かを呟いていたモミジちゃんは、こっちにお顔を戻して、テーブルの下で右手を伸ばしてきた。

(パートナー関係はもうじき終わってしまうけれど、この関係は今後も続けたいと思っているの。これからも、私と親しくしてくれるかしら?)
(とーぜんだよっ。ずっとずっと仲良くしよーね、モミジちゃん)
(ありがとう、陽上さん。多々迷惑をかけてしまったけれど、こうして知り合えて本当によかったわ)

 あたしはモミジちゃんのお手手をしっかり握って、揃って笑う。
 そしてそのあとはまた一緒にパンケーキを食べて、ごちそうさま。
 楽しくってあったかいデザートの時間が、終わったのでしたっ。

     ○○○
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