あこがれチェンジ！

７ あたし達が、見つけた！ （３）

「月下ちゃんが言ってることは、ちゃんと理解できる。けどね、それはキミの考え。審査員がそう思ってるかは、わからないでしょ？」
「そ、それは、そうですが……。客観的に見れば――」
「客観的に見ても、審査員の目線じゃない。ソレはやっぱり月下ちゃんの目線で、予測、なんだよ」
「……………………」

　モミジちゃんは何も言えなくなって、少し俯いてしまう。
　けど。
　そうしていたのは５秒くらいで、「け、けれど」とお口を動かした。

「今の貴方は、偽りの貴方。そのままではどのような結果になっても、いずれ必ず、酷く後悔してしまいます……。どうか、私を信じて――」
「このオーディションには、アタシの夢がかかってるの。心配してくれるのはありがたいけどさ、アタシの好きにやらせてよ」

　ヨツバちゃんさんは優しく笑って、顔を左右に振った。
　……うにゅぅ。そう、だよね。最後のチャンスなんだから、自分が信じたやり方でやりたくなっちゃうよね……。

「それにこのアコヘンってのはさ、悪いものじゃないんでしょ？　アタシがそうなりたいと強く思ったから、もう一人の自分がそうしてくれた。アタシを困らせるためじゃなくて、アタシを応援しようとしてくれてるんでしょ？」
「え、ええ……。その通り、です」

　アコヘンは、自分の願いを叶えるために起きるもの。自分が願ったから、その声に応えてくれたもの。
　大事（おおごと）になっちゃうけど悪意は少しもないんだよ、ってナツキちゃんさんに教えてもらった。
　だから……。

「だったら、なおさら無理矢理戻す必要はないよね？　本人がこのままでいいって言ってるんだから、放っておいて」
「………………」

　だからモミジちゃんは、もう何も言えない。
　どうにかして考え直してもらいたいけど、できないでいる。