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「……はぁ。無駄足になってしまったわね」
あれから1時間とちょびっと。
あたしたちは一生懸命歩いて2つのお家を回ったけど、結果はブブー。ヨツバちゃんさんの姿はありませんでした。
「確かにガックシだけど、この辺りをしっかりチェックできたっ。そこまでムダじゃあなかったよ、モミジちゃんっ」
「…………そう、よね。気をつかわせてしまい、ごめんなさい」
「んーん、だーじょぶだいじょーぶ。他にありそーなところは、どこなのかな?」
「その人の、憧れや夢に関わる場所ね。今回は憧れに関して見当がつかないから、夢に関するところにいる可能性が高いわ」
にゅぅ、夢。
夢、かぁ。
「ヨツバちゃんさんはモデルさんを目指してるから、夢はモデルさん。モデルさん関係の何か、かなぁ」
「そう、なるわね。ただ……。唯一憧れている青島雛恵さんが、今の性格と真反対なのよね」
モデルさんが夢なのに、夢の切っ掛けになってる人は全然違う。
だとしたら、ふやぁ。夢は、関係ない?
「でもでもずっとあった夢だから、やっぱり関係あるはずだよね……。モデルさんの夢でそこ以外って、なんだろー……?」
「現在の状況から青島雛恵さんを省くと、他に精神に大きく影響するのは……。オーディションね」
ぁ、そだそだ。はじめて最終まで残った最後のものなんだから、それしかないよね。
「オーディションの最中に、全く憧れていなかった性格になる……。自分にとって最も大事な時に、目標にしていない性格になる……」
モミジちゃんは顎に右手をあてて、考え始めた。
「……通常オーディションというものは、一番自信のある状態で挑むもの……。だとしたら今の状態は、今までの自分より自信があるという事……」
「にゅぅ。そ、だよね」
「……それなら、その性格に自信を持った理由がどこかにあって……。最終審査まで残っている時に、心に大きく影響するものは……」
「も、もの、は……?」
「………………これから挑む壁を、すでに越えている者……。合格者の、情報……っ」
モミジちゃんの声が少し大きくなって、でも、すぐにまた難しい顔になる。
「もしこの読みが正しいのであれば、大原四葉さんは合格者が気になって調べているはず……。けれど、パソコンがある自宅や友人の家は違っていた……」
「そ、そだね……」
「だとしたら、彼女はどうやって調べたのかしら……? 他にはどんな形で、過去のオーディションについて調べられ――っっ!」
モミジちゃんのお目目が大きくなって、息をのんだ。
「分かった。大原四葉さんがいる場所が分かったわ」
「ふぇっ!? どこどこっ! どこなのっ!?」
「アコヘンしたタイミングを考えると、マンションの傍にあるあそこ。『前山田書店』という本屋だわ」
ほ、本屋さん? 本屋さんに、いる……?
「アコヘンの理由も含めて、おおよそ理解できた。もしもそこにいる――私の推理があたっていたら、間違いなく解決できるわ」
「っ! すごいよモミジちゃんっ! それじゃーっ」
「ええ。向かいましょう」
あたしたちは、今来た道をスタタタタ。誰もいない静かな道を、ワクワクしながら走ったのでしたっ。
あれから1時間とちょびっと。
あたしたちは一生懸命歩いて2つのお家を回ったけど、結果はブブー。ヨツバちゃんさんの姿はありませんでした。
「確かにガックシだけど、この辺りをしっかりチェックできたっ。そこまでムダじゃあなかったよ、モミジちゃんっ」
「…………そう、よね。気をつかわせてしまい、ごめんなさい」
「んーん、だーじょぶだいじょーぶ。他にありそーなところは、どこなのかな?」
「その人の、憧れや夢に関わる場所ね。今回は憧れに関して見当がつかないから、夢に関するところにいる可能性が高いわ」
にゅぅ、夢。
夢、かぁ。
「ヨツバちゃんさんはモデルさんを目指してるから、夢はモデルさん。モデルさん関係の何か、かなぁ」
「そう、なるわね。ただ……。唯一憧れている青島雛恵さんが、今の性格と真反対なのよね」
モデルさんが夢なのに、夢の切っ掛けになってる人は全然違う。
だとしたら、ふやぁ。夢は、関係ない?
「でもでもずっとあった夢だから、やっぱり関係あるはずだよね……。モデルさんの夢でそこ以外って、なんだろー……?」
「現在の状況から青島雛恵さんを省くと、他に精神に大きく影響するのは……。オーディションね」
ぁ、そだそだ。はじめて最終まで残った最後のものなんだから、それしかないよね。
「オーディションの最中に、全く憧れていなかった性格になる……。自分にとって最も大事な時に、目標にしていない性格になる……」
モミジちゃんは顎に右手をあてて、考え始めた。
「……通常オーディションというものは、一番自信のある状態で挑むもの……。だとしたら今の状態は、今までの自分より自信があるという事……」
「にゅぅ。そ、だよね」
「……それなら、その性格に自信を持った理由がどこかにあって……。最終審査まで残っている時に、心に大きく影響するものは……」
「も、もの、は……?」
「………………これから挑む壁を、すでに越えている者……。合格者の、情報……っ」
モミジちゃんの声が少し大きくなって、でも、すぐにまた難しい顔になる。
「もしこの読みが正しいのであれば、大原四葉さんは合格者が気になって調べているはず……。けれど、パソコンがある自宅や友人の家は違っていた……」
「そ、そだね……」
「だとしたら、彼女はどうやって調べたのかしら……? 他にはどんな形で、過去のオーディションについて調べられ――っっ!」
モミジちゃんのお目目が大きくなって、息をのんだ。
「分かった。大原四葉さんがいる場所が分かったわ」
「ふぇっ!? どこどこっ! どこなのっ!?」
「アコヘンしたタイミングを考えると、マンションの傍にあるあそこ。『前山田書店』という本屋だわ」
ほ、本屋さん? 本屋さんに、いる……?
「アコヘンの理由も含めて、おおよそ理解できた。もしもそこにいる――私の推理があたっていたら、間違いなく解決できるわ」
「っ! すごいよモミジちゃんっ! それじゃーっ」
「ええ。向かいましょう」
あたしたちは、今来た道をスタタタタ。誰もいない静かな道を、ワクワクしながら走ったのでしたっ。
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