あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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3 あたしが初仕事! (7)

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「それ、今朝のあたしに似てる。もしかして、これが……」
「アコヘンを拒絶した、証。説得に成功すればこの状態となって、姿が完全に消えたら解除は完了。数分後に私達は強制的に現実世界に戻されて、本物の世界にいる橋田涼子さんは元に戻っているわ」

 やっぱり、そうだったんだ。
 はふぅ。無事助かってよかったぁ。

「橋田涼子さん。互いに今回の出来事は全て覚えていて、さっきのやり取りも忘れないから安心して頂戴。あの約束は、きちんと守るわ」
「そう、なんですか……っ。ありがとうございます……っっ」
「リョーコちゃん、あたしもサポートするからねっ。あたし達はもうお友達で、一緒にもっともっと増やそーねっ」
「はいっ……。月下さん、陽上さんも、ありがとうございますっ」

 リョーコちゃんはスッキリしたお顔で何度も何度も微笑んで、泣いて、すぅ。
 からだが全部消えて、あっちにいるリョーコちゃんはアコヘンじゃなくなった。

「もう1人の自分が問いかけてくるのは、人生で1人1回。これで橋田涼子さんは、生涯大丈夫よ」
「とってもよかったよかったで、モミジちゃんお疲れ様っ。カッコよかったよー!」

 あたしは正面からガバッと抱き付いて、スリスリスリ。そんけー尊敬と嬉しいの気持ちを込めて、たっぷりほっぺをくっつけた。

「モミジちゃんの言葉はお胸にズキューンって届いて、あたしもかんどー感動しちゃったよー。素敵素敵ーっ」
「……あれは、大した事はないわ。そ、それはさて置き、陽上さんもお疲れ様」

 少し俯いていたモミジちゃんはゆっくりとあたしから距離を取って、丁寧に頭を下げてくれた。
 油絵をお褒めした時と同じだったから、これは照れ隠し、なのかな? あたしはそーゆー時『やわぁぁぁ恥ずかしいよぉぉぉっ!』って叫んじゃうから、こういうトコも大人っぽいなぁ。

「今のように私達は性格の変化を確認したらその人を詳しく調べて、そのデータを利用して、説得するの。……以上がアコヘンの対策に関する基本で、他の部分はそれに関する事が起きた時に補足させてもらうわ」
「はーいっ。ラジャーですっ」

 性格が違うのに気が付いたら理由とかを見つけて、こうして会って説得する。
 ちゃんと覚えましたっ。

「陽上さん、次からは貴方にもお手伝いしてもらう事になるわ。改めて今日から五月まで、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします、だよっ。モミジちゃんが少しでも楽になれるよーに、一生懸命お手伝いするねっ」

 差し出された右手をギューッと握って、その手をブンブン振る。
 こうしてあたしにとって初めてのお仕事は終わり、1ヶ月間のお手伝い生活がはじまったのでした――。

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