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3 あたしが初仕事! (4)
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「私は、貴方にとても興味があるの。性格関係以外で、いくつか質問していいかしら?」
ナツキちゃんさんが『アコヘンに打ち勝った人は、全国に5人もいないんだよ』って言ってたから、色々と気になってくれてるんだろうなぁ。
でも、ふやぁ……。あたしって、夢と勘違いして断わっただけなんだよねぇ……。
「陽上さん。構わないかしら?」
「ぇ、ぁ、ぅーん。タメにならないと思うけど、いーよ。なーに?」
「まずは、趣味と特技を知りたいわ。なんなのかしら?」
ぁれ? 思ってたのとは違って、普通の内容だ。
けどけど、月下家のモミジちゃんの質問だもん。きっとこういうのも、どこかに関係してるんだよね。
「……プライベートすぎる質問は、NGかしら?」
「ううん、そのくらいいつでもお答えするよっ。あたしの趣味は運動と、友達と遊ぶコト。特技は走るコトだね」
100メートル走もマラソン大会も、学年で1番。幼稚園の頃からずーっと選抜リレーの選手も務めてて、去年は怖い野良犬からも逃げ切ったよっ。
えへへぇ。
「毎日家からダッシュしてて、今ちょーど通ってる校門までの時間を計ってるんだー。今日は最高記録が出て、13分45秒だったよ」
「……なるほど。運動と、友人と遊ぶ。毎日測定していて、今日は最高記録の13分45秒……」
モミジちゃんはポッケから手帳とペンを取り出して、細かくメモしてる。
やっぱり、そーだ。こういう部分も、どこかで対アコヘンに関わるんだね。
「…………趣味と特技は、把握できたわね。次は家での過ごし方について、尋ねてもいいかしら?」
「うん、いーよ。なーに?」
「1日の流れ、を教えて欲しいの。昨日行動を、起きてから眠るまで聞かせて頂戴」
「オッケーだよー。まず昨日は朝の7時に起きて、洗面所で歯を磨いて、テーブルでママが作ってくれた朝ご飯を食べた。この日のメニューはトーストとハムエッグとポテトサラダとミックスジュースで、トーストはこれだけ食べたよ」
いつも通っている十字路を左に曲がりながら、指を3本立てる。
トーストはママ手作りのパンで、とーっても美味しいの。ふわふわもちもちで、とまらなくなっちゃうんだぁ。
「それから学校に行って、お家に帰ってきて、男の子に誘われたサッカーをしに行って、ちょっぴり帰りが遅くなってママに叱られて、夜ご飯。ハンバーグとコーンスープだったから沢山食べて、お風呂に入って、10時半くらいに寝たよ」
「…………なるほど。教えてくれてありがとう、感謝するわ」
「んーん、お礼なんていらないよー。他には、あるかな?」
「今日の所は、この辺りにしておくわ。一度に詰め込み過ぎてもよくないから」
「そっか。じゃーじゃー、今度はこっちが質問するね」
あたしも、モミジちゃんのコトを一杯一杯知りたい。このチャンスに、たっくさん教えてもらうぞーっ。
「質問その1っ。好きな食べ物、嫌いな食べ物はなんですかー?」
「私に詳しくなっても、意味はないと思うのだけれど……。好きな食べ物は、干物。苦手な食べ物は、特にないわね」
「ふむふむふむ、そっかそっか。ではでは質問その2で、あたしにも趣味と特技を教えてくださいっ」
モミジちゃんのこーゆートコは、学校の誰も知らないんだよねぇ。
なんだろー。わくわく。わくわく。
「趣味は推理小説の読書で、もう一つの趣味であり特技は油絵ね。私は幼い頃から、少し大人びたものに興味を示す子供だったのよ」
「ふぇー、そーなんだ。だからあんなに絵がお上手で、金賞をとってたんだねー」
「えっ、どうしてそれを……? 去年の作品は、学校で応募したものではないのだけれど……?」
「パパもそーゆーのが好きで、ええっと…………パパとママといっしょに、なんとか展、を観に行ったんだよー。そしたらね、モミジちゃんのお名前があってビックリしたんだー」
あれは、去年の10大ビックリの1つ。大人の人に混ざって展示されてたから、あの時はおっきな声を出しちゃったよ。
「……そ、そうだったの……。そう、なのね……」
「ぁや? 急に俯いて、どしたの?」
あたし、何か変なコトを言っちゃったのかな?
「い、いえ、何でもないわ。……もうそろそろ目的地に着くから、お喋りはやめておきましょうか」
「あ、そだね。大事な問題だしあたしは初めてだから、しゅーちゅーするよ」
両頬をぺちぺちって叩いて、気合を注入。自分なりに真面目な顔をして、あたしたちだけしかいない歩道を進んだのでした。
ナツキちゃんさんが『アコヘンに打ち勝った人は、全国に5人もいないんだよ』って言ってたから、色々と気になってくれてるんだろうなぁ。
でも、ふやぁ……。あたしって、夢と勘違いして断わっただけなんだよねぇ……。
「陽上さん。構わないかしら?」
「ぇ、ぁ、ぅーん。タメにならないと思うけど、いーよ。なーに?」
「まずは、趣味と特技を知りたいわ。なんなのかしら?」
ぁれ? 思ってたのとは違って、普通の内容だ。
けどけど、月下家のモミジちゃんの質問だもん。きっとこういうのも、どこかに関係してるんだよね。
「……プライベートすぎる質問は、NGかしら?」
「ううん、そのくらいいつでもお答えするよっ。あたしの趣味は運動と、友達と遊ぶコト。特技は走るコトだね」
100メートル走もマラソン大会も、学年で1番。幼稚園の頃からずーっと選抜リレーの選手も務めてて、去年は怖い野良犬からも逃げ切ったよっ。
えへへぇ。
「毎日家からダッシュしてて、今ちょーど通ってる校門までの時間を計ってるんだー。今日は最高記録が出て、13分45秒だったよ」
「……なるほど。運動と、友人と遊ぶ。毎日測定していて、今日は最高記録の13分45秒……」
モミジちゃんはポッケから手帳とペンを取り出して、細かくメモしてる。
やっぱり、そーだ。こういう部分も、どこかで対アコヘンに関わるんだね。
「…………趣味と特技は、把握できたわね。次は家での過ごし方について、尋ねてもいいかしら?」
「うん、いーよ。なーに?」
「1日の流れ、を教えて欲しいの。昨日行動を、起きてから眠るまで聞かせて頂戴」
「オッケーだよー。まず昨日は朝の7時に起きて、洗面所で歯を磨いて、テーブルでママが作ってくれた朝ご飯を食べた。この日のメニューはトーストとハムエッグとポテトサラダとミックスジュースで、トーストはこれだけ食べたよ」
いつも通っている十字路を左に曲がりながら、指を3本立てる。
トーストはママ手作りのパンで、とーっても美味しいの。ふわふわもちもちで、とまらなくなっちゃうんだぁ。
「それから学校に行って、お家に帰ってきて、男の子に誘われたサッカーをしに行って、ちょっぴり帰りが遅くなってママに叱られて、夜ご飯。ハンバーグとコーンスープだったから沢山食べて、お風呂に入って、10時半くらいに寝たよ」
「…………なるほど。教えてくれてありがとう、感謝するわ」
「んーん、お礼なんていらないよー。他には、あるかな?」
「今日の所は、この辺りにしておくわ。一度に詰め込み過ぎてもよくないから」
「そっか。じゃーじゃー、今度はこっちが質問するね」
あたしも、モミジちゃんのコトを一杯一杯知りたい。このチャンスに、たっくさん教えてもらうぞーっ。
「質問その1っ。好きな食べ物、嫌いな食べ物はなんですかー?」
「私に詳しくなっても、意味はないと思うのだけれど……。好きな食べ物は、干物。苦手な食べ物は、特にないわね」
「ふむふむふむ、そっかそっか。ではでは質問その2で、あたしにも趣味と特技を教えてくださいっ」
モミジちゃんのこーゆートコは、学校の誰も知らないんだよねぇ。
なんだろー。わくわく。わくわく。
「趣味は推理小説の読書で、もう一つの趣味であり特技は油絵ね。私は幼い頃から、少し大人びたものに興味を示す子供だったのよ」
「ふぇー、そーなんだ。だからあんなに絵がお上手で、金賞をとってたんだねー」
「えっ、どうしてそれを……? 去年の作品は、学校で応募したものではないのだけれど……?」
「パパもそーゆーのが好きで、ええっと…………パパとママといっしょに、なんとか展、を観に行ったんだよー。そしたらね、モミジちゃんのお名前があってビックリしたんだー」
あれは、去年の10大ビックリの1つ。大人の人に混ざって展示されてたから、あの時はおっきな声を出しちゃったよ。
「……そ、そうだったの……。そう、なのね……」
「ぁや? 急に俯いて、どしたの?」
あたし、何か変なコトを言っちゃったのかな?
「い、いえ、何でもないわ。……もうそろそろ目的地に着くから、お喋りはやめておきましょうか」
「あ、そだね。大事な問題だしあたしは初めてだから、しゅーちゅーするよ」
両頬をぺちぺちって叩いて、気合を注入。自分なりに真面目な顔をして、あたしたちだけしかいない歩道を進んだのでした。
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