9 / 68
3 あたしが初仕事! (2)
しおりを挟む
「ここで、いいんスよね? お話、始めましょうっか」
音楽室につくとすぐ、リョーコちゃんはニッカリと口を開けた。
改めて観察してみても、全然違和感がない。アコヘンってほんとすごくて、とっても怖い力だ。
「学校で有名な、『クール美少女』と『ドタバタお姉ちゃん』が一緒に来てビックリしたっスよ。ウチに何のご用っスか?」
にゅむぅ。これって、どっちがドタバタお姉ちゃんなのかな?
あたしは、クールでもびしょーじょでもないから……。こっちがあたしだよねぇ……。
「ドタバタお姉ちゃん、かぁ……。ドタバタしすぎてたかなぁ……?」
「大丈夫よ、陽上さん。それは、親しみを込めてつけられた呼び名だから」
そ、そーなんだ。
学校のみんなに親しんでもらえてるなら、いーかなぁ。
「ありがとーね、モミジちゃん。お仕事に戻りましょー」
「おし、ごと? なんなんスか?」
「橋田涼子さん。失礼するわ」
モミジちゃんは右の手を伸ばして、ピト。リョーコちゃんの胸元に、お洋服の上から掌をくっつけた。
「陽上さん。私の手を握って頂戴」
「う、うんっ。はいっ、ちゃんと握ったよっ」
「へっ? なんスか、これ? 2人ともなにをして――」
「『心の扉、開け』!」
モミジちゃんがそう叫ぶと、目の前が真っ白になる。そして同時に体から力が抜けていって、
ぷつり
テレビの電源が切れるような音がして、あたしの意識はなくなったのでした。
音楽室につくとすぐ、リョーコちゃんはニッカリと口を開けた。
改めて観察してみても、全然違和感がない。アコヘンってほんとすごくて、とっても怖い力だ。
「学校で有名な、『クール美少女』と『ドタバタお姉ちゃん』が一緒に来てビックリしたっスよ。ウチに何のご用っスか?」
にゅむぅ。これって、どっちがドタバタお姉ちゃんなのかな?
あたしは、クールでもびしょーじょでもないから……。こっちがあたしだよねぇ……。
「ドタバタお姉ちゃん、かぁ……。ドタバタしすぎてたかなぁ……?」
「大丈夫よ、陽上さん。それは、親しみを込めてつけられた呼び名だから」
そ、そーなんだ。
学校のみんなに親しんでもらえてるなら、いーかなぁ。
「ありがとーね、モミジちゃん。お仕事に戻りましょー」
「おし、ごと? なんなんスか?」
「橋田涼子さん。失礼するわ」
モミジちゃんは右の手を伸ばして、ピト。リョーコちゃんの胸元に、お洋服の上から掌をくっつけた。
「陽上さん。私の手を握って頂戴」
「う、うんっ。はいっ、ちゃんと握ったよっ」
「へっ? なんスか、これ? 2人ともなにをして――」
「『心の扉、開け』!」
モミジちゃんがそう叫ぶと、目の前が真っ白になる。そして同時に体から力が抜けていって、
ぷつり
テレビの電源が切れるような音がして、あたしの意識はなくなったのでした。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
フツーさがしの旅
雨ノ川からもも
児童書・童話
フツーじゃない白猫と、頼れるアニキ猫の成長物語
「お前、フツーじゃないんだよ」
兄弟たちにそうからかわれ、家族のもとを飛び出した子猫は、森の中で、先輩ノラ猫「ドライト」と出会う。
ドライトに名前をもらい、一緒に生活するようになったふたり。
狩りの練習に、町へのお出かけ、そして、新しい出会い。
二匹のノラ猫を中心に描かれる、成長物語。
がらくた屋 ふしぎ堂のヒミツ
三柴 ヲト
児童書・童話
『がらくた屋ふしぎ堂』
――それは、ちょっと変わった不思議なお店。
おもちゃ、駄菓子、古本、文房具、骨董品……。子どもが気になるものはなんでもそろっていて、店主であるミチばあちゃんが不在の時は、太った変な招き猫〝にゃすけ〟が代わりに商品を案内してくれる。
ミチばあちゃんの孫である小学6年生の風間吏斗(かざまりと)は、わくわく探しのため毎日のように『ふしぎ堂』へ通う。
お店に並んだ商品の中には、普通のがらくたに混じって『神商品(アイテム)』と呼ばれるレアなお宝もたくさん隠されていて、悪戯好きのリトはクラスメイトの男友達・ルカを巻き込んで、神商品を使ってはおかしな事件を起こしたり、逆にみんなの困りごとを解決したり、毎日を刺激的に楽しく過ごす。
そんなある日のこと、リトとルカのクラスメイトであるお金持ちのお嬢様アンが行方不明になるという騒ぎが起こる。
彼女の足取りを追うリトは、やがてふしぎ堂の裏庭にある『蔵』に隠された〝ヒミツの扉〟に辿り着くのだが、扉の向こう側には『異世界』や過去未来の『時空を超えた世界』が広がっていて――⁉︎
いたずら好きのリト、心優しい少年ルカ、いじっぱりなお嬢様アンの三人組が織りなす、事件、ふしぎ、夢、冒険、恋、わくわく、どきどきが全部詰まった、少年少女向けの現代和風ファンタジー。
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
せかいのこどもたち
hosimure
絵本
さくらはにほんのしょうがっこうにかよっているおんなのこ。
あるひ、【せかいのこどもたち】があつまるパーティのしょうたいじょうがとどきます。
さくらはパーティかいじょうにいくと……。
☆使用しているイラストは「かわいいフリー素材集いらすとや」様のをお借りしています。
無断で転載することはお止めください。
オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる