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3 あたしが初仕事! (1)
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先生に怒られたり授業を受けたりして、ついにほーかご。はじめてのお仕事、の時間になりました。
「……ハナ、バイバイ。また明日」
「ハナちゃん、バイバイ~。また明日ね~」
「2人ともバイバイっ。またねーっ!」
教室を出るユーカとユーナに手を振って、自分の席にいるあたしは身体の向きをぐるっと変更。後ろの席にいる、モミジちゃん――じゃなくて、パートナーさんに顔を向けました!
「にゅんっ、いよいよだね。これからどーするの?」
「まずは今回のターゲット、アコヘン状態になっている人のもとに行くわ。今日は――違う、わね。改めて、今日からお世話になります」
「うんっ、一緒に頑張ろーっ。案内ヨロシクねーっ」
あたしはランドセル、モミジちゃんは茶色い鞄を手に持って、いよいよ出発。廊下を並んでトコトコ進んで、階段を使って1階降りて。渡り廊下をトコトコ進んで今いる北校舎から南校舎に行って、4年5組の前で止まった。
「今回のターゲットは、教壇でお喋りをしている彼女。4年5組の、橋田涼子(はしだりょうこ)さんよ」
「最初のターゲットさんは、4年生かぁ。ねーねーモミジちゃん。あの子は、ほんとにアコヘンしちゃってるのかな?」
知らない子だから、どうなのかわかんない。明るくケラケラ笑ってるあの性格は、アコヘンの影響なのかなぁ?
「私達は定期的に全生徒の性格を調べていて、間違いはないわ。始業日までの彼女は内向的で、あんなに笑わない子だったのよ」
「はぇぇ、そーなんだぁ。全生徒を調べるのって、大変そうだねぇ……」
先生やお友達、今年からはお姉さんも頼れなくなっちゃったんだもん。すっごく疲れる作業だよね。
「生徒間の噂なども利用するから、そこまで大変ではないわ。他校の生徒を調べるよりは、遥かに楽よ」
「ぁそっか、他の小学校には入れないもんね。そーゆーところは、どーやって調査をしてるのかな?」
「各都道府県のPTAに一族の人間が居て、その立場を活用して学校の生徒をチェックしているの。父と母も長年そうしているし、今年から姉さんは『中学生の目線で小学生達にアドバイスをする』という名目で動いているわ」
「そ、そーなんだ……」
月下一族さんは、そんなとこにもいたんだね。恐るべし、だよ。
「それでも常に人手不足で、父も母も滅多に家にいないくらいなの。だから私も早く一人前にならないといけなくて、その為にも確実に彼女を救わないといけないわ」
「だねっ。モミジちゃん、ここからはどーするの?」
「救出作業はターゲットの心に入って行うから、まずは接触しないといけない。陽上さん、ついてきて頂戴」
「は、はいだよっ」
心に入るって部分にドキドキしながら、4年5組にお邪魔しました。
他の人に見られると困るそうなので、あたしたちはまずリョーコちゃんにお声をかけて、場所を変更。この時間は誰もない、音楽室に移動をすることになったのでした。
「……ハナ、バイバイ。また明日」
「ハナちゃん、バイバイ~。また明日ね~」
「2人ともバイバイっ。またねーっ!」
教室を出るユーカとユーナに手を振って、自分の席にいるあたしは身体の向きをぐるっと変更。後ろの席にいる、モミジちゃん――じゃなくて、パートナーさんに顔を向けました!
「にゅんっ、いよいよだね。これからどーするの?」
「まずは今回のターゲット、アコヘン状態になっている人のもとに行くわ。今日は――違う、わね。改めて、今日からお世話になります」
「うんっ、一緒に頑張ろーっ。案内ヨロシクねーっ」
あたしはランドセル、モミジちゃんは茶色い鞄を手に持って、いよいよ出発。廊下を並んでトコトコ進んで、階段を使って1階降りて。渡り廊下をトコトコ進んで今いる北校舎から南校舎に行って、4年5組の前で止まった。
「今回のターゲットは、教壇でお喋りをしている彼女。4年5組の、橋田涼子(はしだりょうこ)さんよ」
「最初のターゲットさんは、4年生かぁ。ねーねーモミジちゃん。あの子は、ほんとにアコヘンしちゃってるのかな?」
知らない子だから、どうなのかわかんない。明るくケラケラ笑ってるあの性格は、アコヘンの影響なのかなぁ?
「私達は定期的に全生徒の性格を調べていて、間違いはないわ。始業日までの彼女は内向的で、あんなに笑わない子だったのよ」
「はぇぇ、そーなんだぁ。全生徒を調べるのって、大変そうだねぇ……」
先生やお友達、今年からはお姉さんも頼れなくなっちゃったんだもん。すっごく疲れる作業だよね。
「生徒間の噂なども利用するから、そこまで大変ではないわ。他校の生徒を調べるよりは、遥かに楽よ」
「ぁそっか、他の小学校には入れないもんね。そーゆーところは、どーやって調査をしてるのかな?」
「各都道府県のPTAに一族の人間が居て、その立場を活用して学校の生徒をチェックしているの。父と母も長年そうしているし、今年から姉さんは『中学生の目線で小学生達にアドバイスをする』という名目で動いているわ」
「そ、そーなんだ……」
月下一族さんは、そんなとこにもいたんだね。恐るべし、だよ。
「それでも常に人手不足で、父も母も滅多に家にいないくらいなの。だから私も早く一人前にならないといけなくて、その為にも確実に彼女を救わないといけないわ」
「だねっ。モミジちゃん、ここからはどーするの?」
「救出作業はターゲットの心に入って行うから、まずは接触しないといけない。陽上さん、ついてきて頂戴」
「は、はいだよっ」
心に入るって部分にドキドキしながら、4年5組にお邪魔しました。
他の人に見られると困るそうなので、あたしたちはまずリョーコちゃんにお声をかけて、場所を変更。この時間は誰もない、音楽室に移動をすることになったのでした。
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