あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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2 あたしをスカウト!? (1)

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 ママの美味しい朝ご飯をたっぷり食べて、通学路をダッシュ。
 いつものように全力で走って学校を目指して、今日の記録は13分45秒。今までで1番いいタイムでついたあたしは、ニッコニコで教室に入った。

《5年3組》

 ここがあたしのクラスで、席は窓際の真ん中。
 ここだけの話なんだけど、この席は魔の席なの。お日様がぽかぽかで気持ち良くって、すでに2回も授業中に寝ちゃったんだ……!

「今日も、負けないようにしないとだよね。勝負だよ、太陽さん!」

 窓から外を見上げて、でも直接見ちゃうと眩しいから、ちょこっとだけ見て勝負のご挨拶。頬っぺたを両手でぺしぺし叩いて気合を入れていると、右の肩をちょんちょんって突っつかれた。

「……おはよ、ハナ。今日も元気一杯だね」
「おはよ~、ハナちゃん~。今日もいい天気だね~っ」

 話しかけてきてくれたのは、あたしの幼馴染のユーカとユーナ。
 2人は双子で、ボブヘアーでボソボソ喋る方がお姉ちゃんの風松優歌(かぜまつゆうか)。ロングヘアーでおっとりしてる方は妹の優奈(ゆうな)で、幼稚園からの親友なの。

「ユーカもユーナも、おはよっ。いつも通り太陽が――ってありゃ? ユーカは元気がないよね? どーかしたの?」

 いつもむひょーじょー無表情なんだけど、今日は普段よりも暗い気がする。なにかあったのかな?

「やっぱり、ハナちゃんは鋭いね~。実はそ~なんだよ~」
「……朝ご飯に、嫌いな納豆が出たの。健康にいいからって言われて残せなくて、つらかった」
「あ~、つらいよねぇ。その気持ちよくわかるよー」

 あたしは生のトマトが苦手で、お皿にあったら泣きたくなっちゃう。
 体にいいんだよ、って言われても……。嫌、なんだよねぇ……。

「……歯磨きをしても、口の中に納豆の臭いがある気がする。早く給食を食べたい」
「今日の給食は、ユーカちゃんの好きなミートスパゲッティーだもんね~。あと4時間くらいだから、頑張れ~」
「4時間我慢できたら、あたしの分をわけたげるよ。ママから教えてもらった言葉、困った時はお互い様。支え合いの精神、だもんっ」

 あたしもミートスパは好きだけど、元気がないままは嫌。友達が明るくなれるなら、量が減っても問題はないのですっ。

「……ユーナ、ハナ、ありがとう。つらくなくなってきた」
「ハナちゃんのおかげ、だね~。それじゃあいつもみたいに、先生が来るまでお喋りしよっか~」
「だねーっ。今日は2人に、とっておきのお話があるんだよ」

 内容はもちろん、朝の夢。あたしが出てくる夢です。

「……とっておき、楽しみ。どんなの?」
「気がついたら目の前にもう1人のあたしがいてね、『憧れてる自分に、なってみたくないっ?』って言ってくる夢なんだよー。知らない間に真っ白な場所にいてね、戸惑ってると――」
「陽上さんっ、ちょっといいかしらっ!」

 ふえっ!?
 あたしが喋っていると、後ろで大きな声がした。

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