22 / 28
第9話 そんな…… ドニ視点(3)
しおりを挟む
「はぁ、とことんおめでたいヤツだな。頭を使えば解決できると、本気で思ってやがる」
思考回路が悲鳴をあげる寸前まで頭を酷使していたら、大きなため息と嘲笑がやって来た。
「ドニ・リートアル。お前は彼女に、どんなことをした? あの日自分がやったことを、分かっていないのか?」
「分かっているとも――分かっております!! だからこそ心の底っ、根底より反省と後悔をしっ、こうしてまずは誠意を伝えようとしたのです!」
地面に落ちている100本の薔薇と、300万もする指輪が入った箱。それらを一瞥して、再び顔を上げる。
そうして――
「だか」
「だからこそ、まずは誠意を? 違うだろ? おかしいだろ、それは」
更に続けようとした俺の声は、低くなった声に遮られてしまった。
「なあ、ドニ・リートアル。お前は、反省と後悔を、したんだよな?」
「あ、ああ――ええっ! しております! 反省と後悔をしております! 海底ほど深く!!」
「だったらよ、どうして『まず』なんて言えるんだ? 『説明もなしに一方的に婚約を解消する』『その際には、選択ミスの挽回などと暴言を吐く』――。こんなことをしておいて、どうして関係を修復しようと思うんだ?」
「そっ、それは! さっき申し上げたようにっ、真に愛する人だと気付いたからでっ! 今度こそリゼットを幸せにしたいと強く思ったからで」
「違うな。アンタは、自分が幸せになりたいだけだ」
また遮られて、っっ!
さっきよりも更に低く、鋭さが増した声になった……。
「兄さんと義姉さんの時と、おんなじだ。自分が愛したいからそうしているだけで、相手の気持ちなんてどうでもいい。押し付けなんだよ、それは」
「そうじゃない!! 俺は愛する人にっ、世界一の幸せを与えてやりたくて――」
「そう、それだ。そいつがその『証』なんだよ」
それが、あかし……? なにを、言って……?
「『与えてやりたくて』。なんなんだ、その上から目線は? 幸せってのは、与えてやるものなのか?」
「こ、これはっ! 言葉のアヤのようなもので――」
「言葉のアヤでも、『つい』でも、本当にその人を想ってるんなら出るはずがないんだよ。大切な人を下に見るような言葉はな」
「っ、それは貴方の私見でしょう!? 真実を語ったような素振りはやめていただきたい!!」
こんなの、揚げ足取りだ! 一種の詭弁だ!
リゼットが更に幻滅してしまうように、俺の言葉を利用しているだけだ!!
「恋にはっ、愛には様々な形があるのですよ!! 俺の感情に余計な口を挟まないでいただきたい!!」
「…………そうか。ま、そうだよな。会話で解決できるようなヤツなら、こうなってはいないよな」
「なっ、何をブツブツ言っているのですか!! ご理解いただけたのであればっ、そこをおどきください!! 俺は俺の方法で、リゼットを幸せにするべく関係修復の術(すべ)を――なっ!? なんなのですかこれは!?」
突如大柄の男が5人現れ、あっという間に取り囲まれてしまった。
な⁉ なんなんだ!?
思考回路が悲鳴をあげる寸前まで頭を酷使していたら、大きなため息と嘲笑がやって来た。
「ドニ・リートアル。お前は彼女に、どんなことをした? あの日自分がやったことを、分かっていないのか?」
「分かっているとも――分かっております!! だからこそ心の底っ、根底より反省と後悔をしっ、こうしてまずは誠意を伝えようとしたのです!」
地面に落ちている100本の薔薇と、300万もする指輪が入った箱。それらを一瞥して、再び顔を上げる。
そうして――
「だか」
「だからこそ、まずは誠意を? 違うだろ? おかしいだろ、それは」
更に続けようとした俺の声は、低くなった声に遮られてしまった。
「なあ、ドニ・リートアル。お前は、反省と後悔を、したんだよな?」
「あ、ああ――ええっ! しております! 反省と後悔をしております! 海底ほど深く!!」
「だったらよ、どうして『まず』なんて言えるんだ? 『説明もなしに一方的に婚約を解消する』『その際には、選択ミスの挽回などと暴言を吐く』――。こんなことをしておいて、どうして関係を修復しようと思うんだ?」
「そっ、それは! さっき申し上げたようにっ、真に愛する人だと気付いたからでっ! 今度こそリゼットを幸せにしたいと強く思ったからで」
「違うな。アンタは、自分が幸せになりたいだけだ」
また遮られて、っっ!
さっきよりも更に低く、鋭さが増した声になった……。
「兄さんと義姉さんの時と、おんなじだ。自分が愛したいからそうしているだけで、相手の気持ちなんてどうでもいい。押し付けなんだよ、それは」
「そうじゃない!! 俺は愛する人にっ、世界一の幸せを与えてやりたくて――」
「そう、それだ。そいつがその『証』なんだよ」
それが、あかし……? なにを、言って……?
「『与えてやりたくて』。なんなんだ、その上から目線は? 幸せってのは、与えてやるものなのか?」
「こ、これはっ! 言葉のアヤのようなもので――」
「言葉のアヤでも、『つい』でも、本当にその人を想ってるんなら出るはずがないんだよ。大切な人を下に見るような言葉はな」
「っ、それは貴方の私見でしょう!? 真実を語ったような素振りはやめていただきたい!!」
こんなの、揚げ足取りだ! 一種の詭弁だ!
リゼットが更に幻滅してしまうように、俺の言葉を利用しているだけだ!!
「恋にはっ、愛には様々な形があるのですよ!! 俺の感情に余計な口を挟まないでいただきたい!!」
「…………そうか。ま、そうだよな。会話で解決できるようなヤツなら、こうなってはいないよな」
「なっ、何をブツブツ言っているのですか!! ご理解いただけたのであればっ、そこをおどきください!! 俺は俺の方法で、リゼットを幸せにするべく関係修復の術(すべ)を――なっ!? なんなのですかこれは!?」
突如大柄の男が5人現れ、あっという間に取り囲まれてしまった。
な⁉ なんなんだ!?
26
お気に入りに追加
875
あなたにおすすめの小説

結婚式間近に発覚した隠し子の存在。裏切っただけでも問題なのに、何が悪いのか理解できないような人とは結婚できません!
田太 優
恋愛
結婚して幸せになれるはずだったのに婚約者には隠し子がいた。
しかもそのことを何ら悪いとは思っていない様子。
そんな人とは結婚できるはずもなく、婚約破棄するのも当然のこと。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。


殿下に裏切られたことを感謝しています。だから妹と一緒に幸せになってください。なれるのであれば。
田太 優
恋愛
王子の誕生日パーティーは私を婚約者として正式に発表する場のはずだった。
しかし、事もあろうか王子は妹の嘘を信じて冤罪で私を断罪したのだ。
追い出された私は王家との関係を優先した親からも追い出される。
でも…面倒なことから解放され、私はやっと自分らしく生きられるようになった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる