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第6・5話 セリア説得作戦スター(アンナの挑戦編) 何も知らないと思い、逆鱗に触れてしまうアンナ セリア視点
しおりを挟む「セリア、大切なお話があるの。聞いて頂戴」
ファルラン様が来てくださった日の、翌日。いつもより、なぜか調子が良い日。窓を眺めながら3人を罪に問う方法を考えていたら、ノックの音が3回響いた。
((ソフィ―の復讐をするために、やっぱり今日仕掛けてきた。昨日みたいに返事をして、返り討ちにしてあげるわ))
全部、予想通り。
作戦の改良はしてる? 用意したどの作戦を使えばいい? 準備できてるからと言って油断は禁物。しっかり話を聞いて、臨機応変に対処していこう。
そう言い聞かせつつ、
「はい、お聞きします。扉の傍に移動するので、待っていてください」
私は返事をして、対話を始めた。
そうして――。
扉を隔てたやり取りが始まって、およそ2分後のことだった。
違う意味で、予想外。感情が昂ってしまう言葉が、扉の向こう側から聞こえてきた。
「『独りでは立ち直れないくらい、弱い心の持ち主だから』。アナタは昨日、ソフィ―にそう言ったんですってね?」
「ええ、そうです。それが、どうかしましたか……?」
「セリア、それは大間違いよ。アナタは、とっても強い子。だって、イザベラさんの死を乗り越えたんですもの」
アンナが私を外に出すために用意したのは、『お母様』。
この人とイザベラお母様は、幼い頃から面識がある。そのため、葬儀に参列した際の様子などを出してき始めて……。それだけなら、まだマシだった。
あげく、
「あの時アナタは、まだ5歳。お母様を悲しませないために一生懸命涙を堪えて、本当に強い子だって思ったの」
「セリアがそうやって落ち込んでいたら、天国にいるイザベラさんも悲しむわ。わたしは彼女と付き合いが長いから、分かる。『自信を持って』『違うよ』って、言っているわ」
と、訴えかけてきた。
かつて牢屋の前で、
『実はね、昔からイザベラが憎かったの。全ては、復讐なのよ』
『生前からドナルドと浮気をしていて、実はあの女が死ぬ前に、お腹の中にソフィ―はいたの。とっくに心を奪われていたって知らないで逝くなんて、哀れな人』
『夫を奪われていた上に、愛娘が罠にはまった。あの世できっと、ハンカチを噛んで悔しがっているでしょうねっ! ねえ見てるっ、イザベラっ? 親子そろって負け犬になった気分はどうっ?』
って、大笑いしていたのに。
((…………アンナがどう思ってるかは、知っていた……。知っていたけど…………。こんなことを平然とされたら、黙っていられなくなる))
本心を隠して。お母様を想うふりをして、利用するなんて。許せない。
((………………アンナ。用意していた作戦に、急遽おまけをつけるわ))
覚悟、しなさいよ。
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