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第10話 護るものがなくなった時 ベルナール視点(2)

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「マルゴ!! 早く立つのだ!! 追いつかれるぞ!!」
「城門を突破してから動きが速くなっています! マルゴっ、早く立ちなさい!!」
「う、うん! 待って――…………」

 立ち上がろうとしていたマルゴが止まった。
 アイツっ! なにしてるんだ!?

「母上やライナの言っていることが分からないのか!? 早く立て! 死にたいのか!?」
「違うよ! だめなの!! 立てないの! 足を挫いちゃったぁ!!」

 そうか……そういうことか……。
 ……最悪だ……。

「助けて!! おんぶして!! おぶんしてボクを運んで!!」
「「「「………………」」」」
「お父様!? お母様!? ベルナール兄様!? ライナ兄様!? なんで返事をしてくれないの!? どうして来てくれないのっ!?」

 引き返して、マルゴを担いで、マルゴを背負ったまま走る。
 そんなことをしていたら、ヤツらに追いつかれてしまう。

「「「「………………」」」」
「ねえ! お父様お母様ベルナール兄様ライナ兄様! ねえ!! 来てよ!! 助けてよっっ!!」
「「「「………………」」」」
「わあああああ!! アイツらが近づいてくる!! 早くしないと間に合わないよ! 早くたすけてぇええ!!」

 …………そう、だな。ヤツらは近づいて来ていて、いつまでもこうしていると間に合わなくなってしまう。
 だから――

「悪く思うな!」
「すまんマルゴ!」
「ごめんなさいマルゴ!」
「仕方がないことなんですよ!」

 ――俺達は、走る。マルゴに背を向け、城を目指して。

「助けてよ!! 嫌だぁあああ!! 死にたくないぃぃいいい!! 見捨てっ、見捨てるなぁあああ!! 人殺しいいいいいいいいい!! 人間のくずううううううううううううううううううううううううううううう!!」
「うるさい!! 元はと言えばお前が悪いんだ! 人のせいにするな!!」

 コイツが転ばなかったら何も起きていないんだ。
 なにもかも自業自得。自分の責任だ。

「むしろお前のせいで俺達の足は止まって迷惑をしたんだ!! そこで犠牲になって足止めしろ! そいつらに食われて時間を稼げ!!」
「っっ!! いつか必ずっ、仕返ししてやるからな!! 覚えてろよ!! このくそど――ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 振り返るとアンデッド共がマルゴを囲み、一斉に群がり始めた。
 いいぞ! そのまま貪っていろ!

「父上母上ライナ!」
「うむ!」「ええ!」「はい!」

 俺達はこのチャンスを活かして全力疾走をして…………………………よし! 城に着いたぞ!!
 急いで扉を開けて中に――

「「「「「うううううううううう!!」」」」」

 ――え……?
 この声は――
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