演劇とトラウマと異世界転移~わたしが伯爵令嬢のフリ!?~

柚木ゆず

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第13話 今度はわたしの番

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「エリスさん。よろしくお願い致します」
「はい、任せてください。会場中の人を騙しますよ」

 今日で暮らし始めて5日目になる、ステファニーさんのお部屋。その中でわたしは、制服――じゃなくてパーティー用のドレスを着ているわたしは、しっかりとエリスさんの両手を握った。
 今日はこれから、レファイル家の馬車に乗ってロブフェン家のお屋敷――パーティー会場に向かう。
 今からステファニーさんとはしばらく別行動になるので、改めて約束をした。

「この日のために、何度も何度も練習をしてきました。しっかり演じて、婚約者のジャックさんを油断させておきますね」

 こんな素敵なステファニーさんを、何度も陥れてきた人。
 わたしにとっても嫌いな人を、今夜絶対に捕まえる。
 辛くて苦しいループを、終わらせる!

「ありがとうございます、エリスさん。わたくしの方も、抜かりなく行動します。午後の7時ごろには着くと思いますので、それまでパーティーを楽しんでください・・・・・・・・・・・・・
「はいっ。貴族のパーティーに参加するなんて、日本にいたら絶対にできないことですもん。楽しませてもらいます」

 今のわたし達は、演技が必要な場所をそんな風に言える。
 わたし達はいたずらっぽく笑って、念のためにもう一回細かい部分の最終確認を行う。そうしていると出発時間になったので、まずはわたしが部屋を出た。

「調子が戻ってよかったよ。無理はしていないね?」
「生誕パーティーはとても大事だけれど、無理はできないわ。ステファニー、本当に平気なのね?」
「お父様、お母様、わたしは大丈夫です。ジャック様のもとへまいりましょう」

 今夜あるのは娘の婚約者の誕生日パーティーだから、お二人も一緒。
 わたし達は本物のステファニーさんを残して馬車に乗り込み、馬車で3時間くらいの場所にあるというロブフェン侯爵邸を目指して――

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