8 / 30
第6話 矛盾だね マエル視点
しおりを挟む
((アメリ。君は、良いマリオネットだよ))
『もちろんですっ。わたしはお姉様を誰よりも尊敬しています。大好きな人が嫌がる真似なんて、絶対にしませんっ』、などなど――。
即答しながらロゼに抱き付き、現在も必死になって大好きアピールをするリスのような少女。外は健気な小動物、中は醜い獣な人間を眺め、心の中で拍手を送っていた。
こうして明らかに自らの意思によって抱き付き、お姉ちゃんが一番と繰り返す。
なにより、姉と同様のイヤリングを誕生日プレゼントとして買ってもらう。
姉からイジメを受けているのなら、こんなことはしない。
君がこうやって動いてくれたおかげで、僕をはじめ大勢の生徒がそう思うんだよ。だから3日後に被害を訴えても、誰一人として信用しない。
『この子は、何を言っているんだ……?』
もしも実行したら全員の頭上にハテナマークが浮かび上がり、所謂おかしな子扱いされるだろうね。
「お姉様は世界で一番優しくて綺麗で、わたしの憧れの人なんですっ。目標なんですっ」
そうとは知らず、アメリは引き続き懸命に取り繕っている。
この姿は、とても滑稽。いつまでも見ていたいのだけれど、彼女が『大失敗』に気付かないと次の段階に移れない。
そこで、
「ロゼ、アメリ、ちょっとごめん。……ニック会長。相談の件だけど、明後日でなく明々後日――3日後なら、時間を作れると思うよ」
ちょうど前生徒会長として現生徒会長に相談を持ち掛けられていたため、ソレを使って『3日後』という数字を出す。
昨日4日後に決行となっていたのなら、今日は1日引かれて3日後。アメリにとってその日は、とても大事な日だもんね? それを聞いたら――
「っっ!」
――満面の笑みを浮かべていた顔が固まり、しきりに行っていた頬ずりも一瞬にして止まってしまった。
そう。君は自分がした言い訳によって、折角の計画に矛盾を生んでしまったんだよ。
((さあて。どうする?))
そういえば――。君達は利害の一致によって、表向きは優しい『あの人』に協力を頼んでいたね。このままでは作戦の継続が不可能となって、実際はこわ~い人を怒らせる羽目になっちゃうよ?
『もちろんですっ。わたしはお姉様を誰よりも尊敬しています。大好きな人が嫌がる真似なんて、絶対にしませんっ』、などなど――。
即答しながらロゼに抱き付き、現在も必死になって大好きアピールをするリスのような少女。外は健気な小動物、中は醜い獣な人間を眺め、心の中で拍手を送っていた。
こうして明らかに自らの意思によって抱き付き、お姉ちゃんが一番と繰り返す。
なにより、姉と同様のイヤリングを誕生日プレゼントとして買ってもらう。
姉からイジメを受けているのなら、こんなことはしない。
君がこうやって動いてくれたおかげで、僕をはじめ大勢の生徒がそう思うんだよ。だから3日後に被害を訴えても、誰一人として信用しない。
『この子は、何を言っているんだ……?』
もしも実行したら全員の頭上にハテナマークが浮かび上がり、所謂おかしな子扱いされるだろうね。
「お姉様は世界で一番優しくて綺麗で、わたしの憧れの人なんですっ。目標なんですっ」
そうとは知らず、アメリは引き続き懸命に取り繕っている。
この姿は、とても滑稽。いつまでも見ていたいのだけれど、彼女が『大失敗』に気付かないと次の段階に移れない。
そこで、
「ロゼ、アメリ、ちょっとごめん。……ニック会長。相談の件だけど、明後日でなく明々後日――3日後なら、時間を作れると思うよ」
ちょうど前生徒会長として現生徒会長に相談を持ち掛けられていたため、ソレを使って『3日後』という数字を出す。
昨日4日後に決行となっていたのなら、今日は1日引かれて3日後。アメリにとってその日は、とても大事な日だもんね? それを聞いたら――
「っっ!」
――満面の笑みを浮かべていた顔が固まり、しきりに行っていた頬ずりも一瞬にして止まってしまった。
そう。君は自分がした言い訳によって、折角の計画に矛盾を生んでしまったんだよ。
((さあて。どうする?))
そういえば――。君達は利害の一致によって、表向きは優しい『あの人』に協力を頼んでいたね。このままでは作戦の継続が不可能となって、実際はこわ~い人を怒らせる羽目になっちゃうよ?
13
お気に入りに追加
3,127
あなたにおすすめの小説
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
その言葉はそのまま返されたもの
基本二度寝
恋愛
己の人生は既に決まっている。
親の望む令嬢を伴侶に迎え、子を成し、後継者を育てる。
ただそれだけのつまらぬ人生。
ならば、結婚までは好きに過ごしていいだろう?と、思った。
侯爵子息アリストには幼馴染がいる。
幼馴染が、出産に耐えられるほど身体が丈夫であったならアリストは彼女を伴侶にしたかった。
可愛らしく、淑やかな幼馴染が愛おしい。
それが叶うなら子がなくても、と思うのだが、父はそれを認めない。
父の選んだ伯爵令嬢が婚約者になった。
幼馴染のような愛らしさも、優しさもない。
平凡な容姿。口うるさい貴族令嬢。
うんざりだ。
幼馴染はずっと屋敷の中で育てられた為、外の事を知らない。
彼女のために、華やかな舞踏会を見せたかった。
比較的若い者があつまるような、気楽なものならば、多少の粗相も多目に見てもらえるだろう。
アリストは幼馴染のテイラーに己の色のドレスを贈り夜会に出席した。
まさか、自分のエスコートもなしにアリストの婚約者が参加しているとは露ほどにも思わず…。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる