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第6話 矛盾だね マエル視点

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((アメリ。君は、良いマリオネットだよ))

『もちろんですっ。わたしはお姉様を誰よりも尊敬しています。大好きな人が嫌がる真似なんて、絶対にしませんっ』、などなど――。
 即答しながらロゼに抱き付き、現在も必死になって大好きアピールをするリスのような少女。外は健気な小動物、中は醜い獣な人間を眺め、心の中で拍手を送っていた。

 こうして明らかに自らの意思によって抱き付き、お姉ちゃんが一番と繰り返す。
 なにより、姉と同様のイヤリングを誕生日プレゼントとして買ってもらう。

 姉からイジメを受けているのなら、こんなことはしない。
 君がこうやって動いてくれたおかげで、僕をはじめ大勢の生徒がそう思うんだよ。だから3日後に被害を訴えても、誰一人として信用しない。

『この子は、何を言っているんだ……?』

 もしも実行したら全員の頭上にハテナマークが浮かび上がり、所謂おかしな子扱いされるだろうね。

「お姉様は世界で一番優しくて綺麗で、わたしの憧れの人なんですっ。目標なんですっ」

 そうとは知らず、アメリは引き続き懸命に取り繕っている。
 この姿は、とても滑稽。いつまでも見ていたいのだけれど、彼女が『大失敗』に気付かないと次の段階に移れない。
 そこで、

「ロゼ、アメリ、ちょっとごめん。……ニック会長。相談の件だけど、明後日でなく明々後日――3日後なら、時間を作れると思うよ」

 ちょうど前生徒会長として現生徒会長に相談を持ち掛けられていたため、ソレを使って『3日後』という数字を出す。
 昨日4日後に決行となっていたのなら、今日は1日引かれて3日後。アメリにとってその日は、とても大事な日だもんね? それを聞いたら――

「っっ!」

 ――満面の笑みを浮かべていた顔が固まり、しきりに行っていた頬ずりも一瞬にして止まってしまった。
 そう。君は自分がした言い訳によって、折角の計画に矛盾を生んでしまったんだよ。

((さあて。どうする?))

 そういえば――。君達は利害の一致によって、表向きは優しい『あの人』に協力を頼んでいたね。このままでは作戦の継続が不可能となって、実際はこわ~い人を怒らせる羽目になっちゃうよ?

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