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第8話 今夜は最高の夜に―― カミラ視点(1)
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((くふふ、ふふふふふ。ふふふふふふっ))
左右の頬は緩みきっていて、心の中では常時笑っている。今日のわたくしは、朝目覚めた時からこんな調子。
このように非常に上機嫌になっている理由は、もうすぐ婚約披露パーティーが始まるから、ではありませんわ。正しい理由は、もちろん――
忌々しいキャロラインに大きな精神的ダメージを与えられるから、ですわ!!
((目の前で最愛の人が他の女を愛していると繰り返し、締めに口づけを交わす。そんなさまを見てしまったら?))
そんなぁ――。いやだ――。見たくない――。ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……――。となって、で・も。この場に入る以上、目を背けることはできない。
わたくし達の姿をしっかりと見ないといけなくて、更には拍手と共に祝福の言葉を贈らなければならない。
((そんなことになってしまったら? 心はボロボロになる))
これまで必死に取り繕っていたけれど、招待状のダメージと合わさって、あっさりと崩壊。今まで見せていたニコニコ笑顔はあっという間に消え去って、無様な泣き顔がひょっこり顔を出してくれるんですわぁ。
((そうして悪女キャロラインはボロボロになり、肩を落として帰る――なんて風にはさしてあげませんわよぉ?))
だって、散々わたくしを苦しめたんですもの。しっかりと追い打ちをかけますわ。
((キャロライン。パーティーが終わった後は二人きりで、た~っぷりとイジメてあげますからねぇ。楽しみにしていてくださいましぃ))
追撃を受けて泣きじゃくる姿を想像して今一度笑って嗤い、ふふふふふ。合わせて21回目の想像をしたところで時間になり、わたくしは控え室をあとにして、ウィリアム様と共に会場へと向かう。
そうして――
「「「「「おめでとうございますっ!」」」」
「「「「「おめでとうございます!!」
――わたくし達は参加者による沢山の祝福を浴びながら、会場の前方――今夜の主役が座る席へと移動し、この国の伝統に則りスピーチが始まった。
わたくし主演によるショータイムが、ついに幕を開けたのですわ……!!
左右の頬は緩みきっていて、心の中では常時笑っている。今日のわたくしは、朝目覚めた時からこんな調子。
このように非常に上機嫌になっている理由は、もうすぐ婚約披露パーティーが始まるから、ではありませんわ。正しい理由は、もちろん――
忌々しいキャロラインに大きな精神的ダメージを与えられるから、ですわ!!
((目の前で最愛の人が他の女を愛していると繰り返し、締めに口づけを交わす。そんなさまを見てしまったら?))
そんなぁ――。いやだ――。見たくない――。ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……――。となって、で・も。この場に入る以上、目を背けることはできない。
わたくし達の姿をしっかりと見ないといけなくて、更には拍手と共に祝福の言葉を贈らなければならない。
((そんなことになってしまったら? 心はボロボロになる))
これまで必死に取り繕っていたけれど、招待状のダメージと合わさって、あっさりと崩壊。今まで見せていたニコニコ笑顔はあっという間に消え去って、無様な泣き顔がひょっこり顔を出してくれるんですわぁ。
((そうして悪女キャロラインはボロボロになり、肩を落として帰る――なんて風にはさしてあげませんわよぉ?))
だって、散々わたくしを苦しめたんですもの。しっかりと追い打ちをかけますわ。
((キャロライン。パーティーが終わった後は二人きりで、た~っぷりとイジメてあげますからねぇ。楽しみにしていてくださいましぃ))
追撃を受けて泣きじゃくる姿を想像して今一度笑って嗤い、ふふふふふ。合わせて21回目の想像をしたところで時間になり、わたくしは控え室をあとにして、ウィリアム様と共に会場へと向かう。
そうして――
「「「「「おめでとうございますっ!」」」」
「「「「「おめでとうございます!!」
――わたくし達は参加者による沢山の祝福を浴びながら、会場の前方――今夜の主役が座る席へと移動し、この国の伝統に則りスピーチが始まった。
わたくし主演によるショータイムが、ついに幕を開けたのですわ……!!
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