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第6話 次の日~それは、追放の日~ ゴーチェ視点

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「……ゴーチェ……。どうなっているのですか……?」

 馬車を降りたジュリエットは、顔を強張らせて俺へと身体全体を向けた。

『今日はとっておきの場所に連れて行くよ。サプライズだから、場所は着いてからのお楽しみ』

 と俺に誘われて午前6時半すぎに馬車に乗り込み、景色を見ないまま6時間ほど移動。そうして到着して降りてみると、そこは得体のしれない森の入り口。
 しかもその場所には父上、母上、ブレーズまでいるんだから、そうなってしまうよな。

「こちらはとても楽しめるような場所ではありませんし、みなさんがいらっしゃるなんて初耳です。ゴーチェ、どうなってるのですか……?」
「……ジュリエット、お前に謝らないといけないことがある。今日サプライズがあるというのは、嘘なんだよ」

 できることなら、大笑いをしたい。だがそうしてしまうと、俺の嘘がバレ兼ねないからな。
 複雑な思いを抱いていると3人が感じるように、重々しい口調で言葉を紡いでゆく。

「うそ……? どうして貴方は、そんな嘘をついたのですか……?」
「それはな……。ジュリエット、お前をウチから追放するためだよ」

 我慢の限界になり、家族の縁を切って屋敷から追い出すと決めた――。家族全員の了承を得ていて、すでに絶縁の書類も提出済みとなっている――。
 コイツが知らない間に起きていた出来事を、心の中でたっぷりと嗤いながら告げた。

「そんな……。ゴーチェっ、わたしはそんな真似はしていません!! そうしていたのはむしろ貴方の方ではありませ――」
「言い訳は無駄だ。父上達に何を言っても意味はなく、この決定が覆ることはないよ」

 当然この女の反論は想定していて、何を言い出しても3人が聞く耳を持たないようにしている。
 ザンネンだったな、ジュリエット。反撃するチャンスなんて、これっぽっちもないんだよ。

「………………ゴーチェ……。貴方は、間違ったことをしています。こんなことをしていては、ロクな人生にはなりません。今ならまだ、最悪の事態だけは回避できますよ……」
「はぁ、君は相変わらず演技が達者だな。……父上、これ以上話しをしても得るものはありません。追放を行いましょう」

 こんな時まで偉そうにしやがって――と怒りがこみ上げてくるが、まあいい。これからコイツは全てを失い野に放り出されるんだから、特別に許してやろう。

「…………ゴーチェ……。本当に、よいのだな……?」
「彼女はこの期に及んでも一切反省の色を見せず、あまつさえ自身を正当化させようとしました。そんな人間に容赦は要りませんよ」

 これまで散々、俺を苦しめ苛立たせてきたんだからな。コイツは俺が選んだ場所――森の中に無一文で捨て、路頭に迷わせる。
 それ以外の選択肢なんて、あるわけがない。

「…………そうだな。ではお前達、これより追放を行う。連れて行ってくれ」

 父上が険しい表情で指示を出し、それに対して3人の護衛が一様に頷く。そうして彼らは当主の命を受け――

((くくくっ。新しい人生が始まるのは、今回で2度目だよな? ジュリエット、3度目の人生をたっぷりと楽しんでくれ――))「――は……?」

 ――俺は、3人の護衛によって拘束されてしまったのだった。


 ……………………。え……?



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