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第2話 変貌の理由 ゴーチェ視点(3)
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※この国の通貨シテイラは、1シテイラ=1円の価値となっております。
「ゴーチェ、ブレーズ、お前達に大事な話がある。我が家は、ジュリエットくんを引き取り娘とすることにした」
再び俺の中で、怒りの炎が燃え上がり始めた理由。それは、父上と母上がトンデモナイことを考えていたからだ。
「引き取る!? 娘!? 養女――養子にするのですか!?」
「ああ、その通りだゴーチェ。……今のあの家に居続ければ、待っているのは悲劇だけ。彼女のためにも、『友』のためにも放ってはおけんよ」
「そ、それは、そうですがっ! あちらはっ、次男のイアサントが実権を握っているのでしょう!? そんな真似をしてしまえばっ、新生テリフェリア家と敵対関係になってしまうのではないのですか!?」
「無論、そこは対策済みだ。醜い言い方となってしまうが、私がジュリエットくんを買っているのでな」
ジュリエットは、老いぼれジジイに献上される寸前だったらしい。そこで父上は、信じられないことをしていた。
アイツを救うために、なんと5000万シテイラも払っていたんだ!!
せっかく苦労して稼いだ金を……! あんなヤツのために使ってしまっていた……!!
「ジュリエットくんは今、心身ともに消耗している。こういう時は、同世代の方がなにかと吐露しやすいだろう。お前達には不要な言葉だとは思うが、頼んだぞ」
「「はい、父上!」」
とブレーズと共に返事をしたが、納得できるはずがない。
今まで散々ぬるま湯に浸かってきて、あげく何もしなくても周りに助けてもらえるだんて! あり得ないだろう!?
ますます不公平で、ジュリエットを助けたくなんてない。
((だが、俺以外は迎える気が満々……。そうしておかないと、面倒なことになってしまう……))
なので仕方なく認め、でも、このままヤツの味方にはなってやらない。今この胸にある怒りを、違う形であの女にぶつけることにした。
『ジュリエットっ、さっさと来い! 俺の分の書類も処理しておけよ!』
『今日からは、ここで暮らすんだよな? だったらちゃんと弁えろよ』
怒りをぶつける方法、それは『主従関係を作る』。
――お前は戸籍上は家族になっているが、所詮は居候に過ぎない――。
――住まわせてもらっているんだから、決して逆らうな――。
――これからはゴーチェ様を敬い、父上達が居ない時は第二の使用人となれ――。
ジュリエットがやって来てまもなく『ルール』を伝え、ふふふ。アイツに呑む以外の選択肢はないから、素直に忠誠を誓った――と思っていたが、それは大間違いだった……!!
『それはできません』
『そちらを私が処理してしまえば、将来崩壊を招いてしまいます。どうかご自分でなさってください』
アイツはもうなんの後ろ盾もない、無価値な女。にもかかわらず事あるごとに反論をしてきて、心の広い俺は我慢してきてやったが……。
それも、今日までだ。
「もう我慢の限界だ!! 居候女のくせに生意気なんだよ!! 俺に従わないのならこの屋敷から追い出すぞ!!」
イスから立ち上がるとヤツにグラスをぶつけ、そのあと思い切り突き飛ばして部屋を出る。そうして俺は、父上のいる第一執務室を目指し――
「ゴーチェ、ブレーズ、お前達に大事な話がある。我が家は、ジュリエットくんを引き取り娘とすることにした」
再び俺の中で、怒りの炎が燃え上がり始めた理由。それは、父上と母上がトンデモナイことを考えていたからだ。
「引き取る!? 娘!? 養女――養子にするのですか!?」
「ああ、その通りだゴーチェ。……今のあの家に居続ければ、待っているのは悲劇だけ。彼女のためにも、『友』のためにも放ってはおけんよ」
「そ、それは、そうですがっ! あちらはっ、次男のイアサントが実権を握っているのでしょう!? そんな真似をしてしまえばっ、新生テリフェリア家と敵対関係になってしまうのではないのですか!?」
「無論、そこは対策済みだ。醜い言い方となってしまうが、私がジュリエットくんを買っているのでな」
ジュリエットは、老いぼれジジイに献上される寸前だったらしい。そこで父上は、信じられないことをしていた。
アイツを救うために、なんと5000万シテイラも払っていたんだ!!
せっかく苦労して稼いだ金を……! あんなヤツのために使ってしまっていた……!!
「ジュリエットくんは今、心身ともに消耗している。こういう時は、同世代の方がなにかと吐露しやすいだろう。お前達には不要な言葉だとは思うが、頼んだぞ」
「「はい、父上!」」
とブレーズと共に返事をしたが、納得できるはずがない。
今まで散々ぬるま湯に浸かってきて、あげく何もしなくても周りに助けてもらえるだんて! あり得ないだろう!?
ますます不公平で、ジュリエットを助けたくなんてない。
((だが、俺以外は迎える気が満々……。そうしておかないと、面倒なことになってしまう……))
なので仕方なく認め、でも、このままヤツの味方にはなってやらない。今この胸にある怒りを、違う形であの女にぶつけることにした。
『ジュリエットっ、さっさと来い! 俺の分の書類も処理しておけよ!』
『今日からは、ここで暮らすんだよな? だったらちゃんと弁えろよ』
怒りをぶつける方法、それは『主従関係を作る』。
――お前は戸籍上は家族になっているが、所詮は居候に過ぎない――。
――住まわせてもらっているんだから、決して逆らうな――。
――これからはゴーチェ様を敬い、父上達が居ない時は第二の使用人となれ――。
ジュリエットがやって来てまもなく『ルール』を伝え、ふふふ。アイツに呑む以外の選択肢はないから、素直に忠誠を誓った――と思っていたが、それは大間違いだった……!!
『それはできません』
『そちらを私が処理してしまえば、将来崩壊を招いてしまいます。どうかご自分でなさってください』
アイツはもうなんの後ろ盾もない、無価値な女。にもかかわらず事あるごとに反論をしてきて、心の広い俺は我慢してきてやったが……。
それも、今日までだ。
「もう我慢の限界だ!! 居候女のくせに生意気なんだよ!! 俺に従わないのならこの屋敷から追い出すぞ!!」
イスから立ち上がるとヤツにグラスをぶつけ、そのあと思い切り突き飛ばして部屋を出る。そうして俺は、父上のいる第一執務室を目指し――
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