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第11話 内輪揉め、そして 俯瞰視点(2)
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「………………」
「………………」
掴み合いが始まってから、3時間後のこと。髪の毛も顔もボロボロになってしまった2人は、抜け落ちた毛が散乱する床で――争いの跡が残った床にへたり込み、石像のように固まっていました。
ダリアとファビオがこうなってしまった理由。それは『怒る』『どうにか落ち着く』『また我慢できなくなって怒る』を何度も何度も繰り返したこともありますが、何よりの理由は――
「……すまない、ダリア……。やはり……隠し切れなかった……」
ファビオに渡す予定だった報酬や蒸発に必要な手配などの存在が、明るみになってしまったから。
ダリアの父・ポールが、拘束されて部屋に現れたため――ようやく『喧嘩などしている場合ではない』と理解したため、2人はそうなってしまったのでした。
「我々の調査により、計14点の証拠を確保。それにより、お二人の内通が確認されました」
「その結果ポール殿は観念し、先程白状したのですよ」
「この計画を主導したのは、ポールダリア親子。ファビオ・オキユテは誘いを受けた、協力者」
「ポールダリア親子は長年嫉妬により、理不尽な復讐を企んでいた。ファビオ・オキユテは現状に大きな不満を抱いており、家族を『家』ごと陥れ自分は蒸発しよう企んでいた」
「そのため浮気をでっち上げていたのですね」
ダリアとファビオには、見覚えのある5人――聴取の際に同行していたあの5人によって説明がなされ、彼らによって2人の手首にも手錠がはめられました。
「貴方がた3人は現在判明しているだけでも、捏造や名誉棄損など6つの罪を犯しています。そしてそんな貴方がたには言わずもがな、貴族法が適用されます」
――貴族が罪を犯した場合は、平民よりも大きな罪を負う――。
力ある者の暴走や内乱の芽などを摘むべく、この国『ニオック』にはそのような法が存在していました。
「ですのでこの瞬間を以てまずは、貴族籍が剥奪となります。貴方がたは子爵でも子爵家令嬢でも、男爵令息でもなくなります」
「そっ、そんな……っ。わ、わたくしは、未来ある、次を担う若者ですので……。ご慈悲を……」
「お、オレ――わたしも、未来ある若者でございます! どうかご慈悲を……!!」
「わっ、わたくしは有能な当主を自負しております故! 御国の為にも――」
「法を覆す事はできませんし、そもそも、貴方がたのような人間は不要ですよ」
3人は胸の前で手を組みますが、それが認められるはずはありません。そのため留置場への連行が始まり――
「お願いしますっ! 一度だけっ、わたくしにチャンスをぉぉぉぉ!!」
「いやだぁぁぁぁぁぁ!! 嫌だ嫌だいやだぁぁぁぁぁ!!」
この言葉も、認められはしません。
逆恨みをしたダリア、ファビオ、そしてポール。そんな3人の企みは大失敗に終わり、自分達の人生のみが180度変化をしてしまったのでした――。
「………………」
掴み合いが始まってから、3時間後のこと。髪の毛も顔もボロボロになってしまった2人は、抜け落ちた毛が散乱する床で――争いの跡が残った床にへたり込み、石像のように固まっていました。
ダリアとファビオがこうなってしまった理由。それは『怒る』『どうにか落ち着く』『また我慢できなくなって怒る』を何度も何度も繰り返したこともありますが、何よりの理由は――
「……すまない、ダリア……。やはり……隠し切れなかった……」
ファビオに渡す予定だった報酬や蒸発に必要な手配などの存在が、明るみになってしまったから。
ダリアの父・ポールが、拘束されて部屋に現れたため――ようやく『喧嘩などしている場合ではない』と理解したため、2人はそうなってしまったのでした。
「我々の調査により、計14点の証拠を確保。それにより、お二人の内通が確認されました」
「その結果ポール殿は観念し、先程白状したのですよ」
「この計画を主導したのは、ポールダリア親子。ファビオ・オキユテは誘いを受けた、協力者」
「ポールダリア親子は長年嫉妬により、理不尽な復讐を企んでいた。ファビオ・オキユテは現状に大きな不満を抱いており、家族を『家』ごと陥れ自分は蒸発しよう企んでいた」
「そのため浮気をでっち上げていたのですね」
ダリアとファビオには、見覚えのある5人――聴取の際に同行していたあの5人によって説明がなされ、彼らによって2人の手首にも手錠がはめられました。
「貴方がた3人は現在判明しているだけでも、捏造や名誉棄損など6つの罪を犯しています。そしてそんな貴方がたには言わずもがな、貴族法が適用されます」
――貴族が罪を犯した場合は、平民よりも大きな罪を負う――。
力ある者の暴走や内乱の芽などを摘むべく、この国『ニオック』にはそのような法が存在していました。
「ですのでこの瞬間を以てまずは、貴族籍が剥奪となります。貴方がたは子爵でも子爵家令嬢でも、男爵令息でもなくなります」
「そっ、そんな……っ。わ、わたくしは、未来ある、次を担う若者ですので……。ご慈悲を……」
「お、オレ――わたしも、未来ある若者でございます! どうかご慈悲を……!!」
「わっ、わたくしは有能な当主を自負しております故! 御国の為にも――」
「法を覆す事はできませんし、そもそも、貴方がたのような人間は不要ですよ」
3人は胸の前で手を組みますが、それが認められるはずはありません。そのため留置場への連行が始まり――
「お願いしますっ! 一度だけっ、わたくしにチャンスをぉぉぉぉ!!」
「いやだぁぁぁぁぁぁ!! 嫌だ嫌だいやだぁぁぁぁぁ!!」
この言葉も、認められはしません。
逆恨みをしたダリア、ファビオ、そしてポール。そんな3人の企みは大失敗に終わり、自分達の人生のみが180度変化をしてしまったのでした――。
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