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第11話 ロティナのその後 俯瞰視点(3)
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「先日のお嬢様の行動が、何者かの手によって出回っておりまして……。他貴族や領民の間で、急速に広まっているようなのでございます……」
誰かしらが写真をばら撒き、各貴族や平民の手に渡ってしまっていること。その写真には、『これは1か月前に撮影された、ロティナ・メイダルンとシモン・ハヌエだ』というメッセージがついていること。変装した男女がメイダルン邸から出てくる写真があるため、全員がそのメッセージを信じていること。1か月前というメッセージにより、シルヴィー・アルゼルとの婚約解消はこれが原因か? という噂も立っていること。
ジュールは声を震わせながら、硬直する3人に告げました。
「どうやらその行動は、早朝より始まっていたようなのですが……。その者の行動力は、異常なほどでして……。爆発的な勢いで、認知度が高まっております……」
その流布や吹聴を行っている『影』は、独りではありません。そのため僅か6時間程度しか経っていないにもかかわらず、すでに大騒ぎとなっていたのです。
「一体いつの間に……!? 気付かなかった――そこを気にしている場合ではない! 写真機を持てる存在は限られている! 敵対貴族の仕業――違うっ、それも今はどうでもいいんだっ! この問題を早く収取させないと大事(おおごと)になってしまう!!」
侯爵家令嬢と子爵家令息が秘密裏に交際をしていた。同列および上級貴族からは鼻で嗤われてしまいますが、それはさしたる問題。何よりも困るのは、ジュールが口にした最後の噂。『浮気が解消の原因か?』というものです。
「婚約中の相手に近づき、奪ってしまった。これが確定してしまうと、大変だ……!」
当人のロティナの評判は急落し、言わずもがな、そんな悪評のある者に交際の話など来るはずがありません。
そして更には、シモンと時と同じ。『子の罪は親にもある』がこの国の常識なため、グレンにも白い目が注がれるようになります。非常に肩身が狭い思いをする羽目となりますし、ハヌエ家のように弟達が黙ってはいません――当主の座を失う危険性もあります。
「駄目だっ、それだけは何としても回避せねばならんっ。ジュールっっ!」
「は、はい……っ」
「人員も金も、好きなだけ使っても構わん! これは、単なるボーイフレンドと出掛けていただけっ! 1度きりのことっ!! 関係解消とは無関係で、元学友として慰めていただけっ! などなどっ!! とにかく否定をして回るんだっ!!」
「お願い、ジュールっ!! 上手くやりすごしてっ!!」
「かっ、畏まりました旦那様お嬢様!! いっ、行ってまいります!!」
そうしてジュールは邸内の人間に指示を出し、大量の工作員が動き始めました。
ですが――。
残念ながら、状況が改善することはありません。
なぜならば――
誰かしらが写真をばら撒き、各貴族や平民の手に渡ってしまっていること。その写真には、『これは1か月前に撮影された、ロティナ・メイダルンとシモン・ハヌエだ』というメッセージがついていること。変装した男女がメイダルン邸から出てくる写真があるため、全員がそのメッセージを信じていること。1か月前というメッセージにより、シルヴィー・アルゼルとの婚約解消はこれが原因か? という噂も立っていること。
ジュールは声を震わせながら、硬直する3人に告げました。
「どうやらその行動は、早朝より始まっていたようなのですが……。その者の行動力は、異常なほどでして……。爆発的な勢いで、認知度が高まっております……」
その流布や吹聴を行っている『影』は、独りではありません。そのため僅か6時間程度しか経っていないにもかかわらず、すでに大騒ぎとなっていたのです。
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侯爵家令嬢と子爵家令息が秘密裏に交際をしていた。同列および上級貴族からは鼻で嗤われてしまいますが、それはさしたる問題。何よりも困るのは、ジュールが口にした最後の噂。『浮気が解消の原因か?』というものです。
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当人のロティナの評判は急落し、言わずもがな、そんな悪評のある者に交際の話など来るはずがありません。
そして更には、シモンと時と同じ。『子の罪は親にもある』がこの国の常識なため、グレンにも白い目が注がれるようになります。非常に肩身が狭い思いをする羽目となりますし、ハヌエ家のように弟達が黙ってはいません――当主の座を失う危険性もあります。
「駄目だっ、それだけは何としても回避せねばならんっ。ジュールっっ!」
「は、はい……っ」
「人員も金も、好きなだけ使っても構わん! これは、単なるボーイフレンドと出掛けていただけっ! 1度きりのことっ!! 関係解消とは無関係で、元学友として慰めていただけっ! などなどっ!! とにかく否定をして回るんだっ!!」
「お願い、ジュールっ!! 上手くやりすごしてっ!!」
「かっ、畏まりました旦那様お嬢様!! いっ、行ってまいります!!」
そうしてジュールは邸内の人間に指示を出し、大量の工作員が動き始めました。
ですが――。
残念ながら、状況が改善することはありません。
なぜならば――
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