私を捨てた元婚約者は、新しい恋人に飽きられてきたらしい

柚木ゆず

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第2話 勝利した! ……した、のよね……? ロティナ視点(3)

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((……あら? あら……?))

 楽しいはずの時間が、あまり楽しく感じなくなってきた。そんな私に、もう一つの『不思議』がやって来た。

((どうしてなのかしら……? シモンが……。あまり、カッコよく見えなくなってきたような気がする……?))

 サラサラのブラウンの髪の毛。細いフレームの眼鏡が良く似合う、爽やかな印象を受ける顔。乗馬を趣味としていることによる、引き締まった肉体。
 わたしが好きになった要因は目の前にあるのに、あの時のような、お茶を始めた時のような興奮がなくなってきたように思える。

((?? ??? シモンは…………。どこも、変わってないわよね……?))
「??? ロティナ様? どうされたのですか?」
「ちょっと考え事よ。静かにしていて」

 首を傾げているシモンを黙らせて、じっと観察する。
 ………………やっぱり、どこも変わっていない。というか、2人でのお茶が始まってから1時間程度しか経っていないんだもの。変わるはずがないわよね。

((だとしたら……。なぜ……?))

 容姿に変化がありはしない。鼻毛がチラッと出ているなどもなくて、幻滅をしてもいない。話は実際に面白かった。彼は常に気を遣っていて、不愉快な出来事もなかった。
 マイナスになる要素は1つもないのに、なんでこんな風に感じるの?

((……………………。分からない))

 だって、原因になりそうなものが1個もないんだもの。特定どころか推理すらできるはずがないわ。

((……だったら、考えていても意味はないわね。やめましょっか))

 そうするしかないから思案をストップして、シモンとのお茶を再開させる。
 でも。
 こんな違和感があるから、なのでしょうね。さっきまでのようには楽しめなくって――

「シモン、ちょっと用事を思い出したわ。少し早いけどお開きにしましょ」
「わ、分かりました。ロティナ様。次にお会いするのは、いつにしましょうか?」
「明日からは暫く予定が詰まっているから、そうね……。次は、一週間後。ここでまたお茶をしましょ」

 三十分程度早めに切り上げて、次の約束をしてシモンと別れたのだった。


 ……シモンと行う今日のお茶は、前の日からずっと楽しみにしていたのに……。
 急に、どうしてしまったのかしら……?

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