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第9話 フィリップ・ライナス視点(5)
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「王ダイスルと王妃ミラン、第1王子フィリップと第2王子サラス、そしてエミ・ナーズ。この5人は、今すぐ王の間に来い」
化け物の目的は、俺達だった。
ど、どういうことだ……!? なぜ俺達を、しかもエミまで求める……!?
「詳細は、来れば分かる。ただちに来い」
「……で、殿下……っ。ど、どうすれば……」
「だっ、大丈夫だよっ。こっちには地下通路があるんだっ! 急いで逃げれば、アイツには気付かれずに――」
「言っておくが、地下通路を使う暇は与えない」
っっ!
「この姿の時は、人の気配がハッキリ分かるんだ。王太子フィリップとエミ・ナーズは、そこの窓の傍に居る。こんな風にな」
っっっ!
「少しでも逃げる素振りを見せたら、その瞬間に城ごとお前達を殺す。……大人しく来る気になったかな?」
………………。
アイツの言葉は、ハッタリじゃない。俺達の位置を、明確に把握している……。
だったら……。だったら……っ。断れる、はずがない……っっ。
「で、殿下……」
「き、キミは、俺が守るから……。い、行こう……」
愛する人に、格好悪い姿は見せられない。冷たくなった左手を強く握り、俺達は指示に従い王の間に移動した。
「「フィリップ……」」
「兄さん……」
辿り着くと青褪めた顔が3つあって、3人の向こうには夜空が見える。
見知っている光景のはずなのに、今あるのは異常ばかり。現実逃避したくなる状況が広がっていた。
「1、2、3、4、5。全員、揃ったみたいだね。それじゃあ始めようか」
「「「「「ひぃっ!!」」」」」
竜は、崩れ落ちた部分に顔を突っ込み――こちらに大きな顔が迫ってきて、化け物の全身が真っ黒に輝く。そうすればヤツの身体が徐々に縮んでいって…………ぇ?
竜の代わりに現れたのは、タキシード姿の男。そして、もう一つ。
そこにいたのは、見覚えのある女。タキシードの男が大切に抱きかかえていた女は、
アリシア・ロッザだった。
化け物の目的は、俺達だった。
ど、どういうことだ……!? なぜ俺達を、しかもエミまで求める……!?
「詳細は、来れば分かる。ただちに来い」
「……で、殿下……っ。ど、どうすれば……」
「だっ、大丈夫だよっ。こっちには地下通路があるんだっ! 急いで逃げれば、アイツには気付かれずに――」
「言っておくが、地下通路を使う暇は与えない」
っっ!
「この姿の時は、人の気配がハッキリ分かるんだ。王太子フィリップとエミ・ナーズは、そこの窓の傍に居る。こんな風にな」
っっっ!
「少しでも逃げる素振りを見せたら、その瞬間に城ごとお前達を殺す。……大人しく来る気になったかな?」
………………。
アイツの言葉は、ハッタリじゃない。俺達の位置を、明確に把握している……。
だったら……。だったら……っ。断れる、はずがない……っっ。
「で、殿下……」
「き、キミは、俺が守るから……。い、行こう……」
愛する人に、格好悪い姿は見せられない。冷たくなった左手を強く握り、俺達は指示に従い王の間に移動した。
「「フィリップ……」」
「兄さん……」
辿り着くと青褪めた顔が3つあって、3人の向こうには夜空が見える。
見知っている光景のはずなのに、今あるのは異常ばかり。現実逃避したくなる状況が広がっていた。
「1、2、3、4、5。全員、揃ったみたいだね。それじゃあ始めようか」
「「「「「ひぃっ!!」」」」」
竜は、崩れ落ちた部分に顔を突っ込み――こちらに大きな顔が迫ってきて、化け物の全身が真っ黒に輝く。そうすればヤツの身体が徐々に縮んでいって…………ぇ?
竜の代わりに現れたのは、タキシード姿の男。そして、もう一つ。
そこにいたのは、見覚えのある女。タキシードの男が大切に抱きかかえていた女は、
アリシア・ロッザだった。
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